子どもの片づけが習慣化する整理・収納術
【整理収納アドバイザー水谷妙子さんに学ぶ】

子どもの整理・収納術

育ち盛りの3児の子育てをしている、整理収納アドバイザー・水谷妙子さん。忙しい毎日のなかで大きな助けとなるのは、わが子が片づけできるようになることだと話します。おもちゃや絵本、乾いた洗濯物などを子どもが自主的に片づけることができれば、大人がやるべき家事も減り、家族の時間にゆとりが持てます。おもちゃ棚、絵本棚、洋服棚の3箇所にフォーカスして、水谷さんが実践している整理・収納術を見せていただきました。毎朝子どもが1人で身支度できるようになるコツも必見です。

<教えてくれた人>
整理収納アドバイザー・水谷妙子さん

整理収納アドバイザー水谷妙子さん

無印良品を運営する株式会社良品計画の生活雑貨部企画デザイン室に13年間所属し、主に生活雑貨の企画・デザインを行ったのち、整理収納アドバイザーへ転身。5人家族が整う片づけ&モノ選びを発信している著書やSNSが大人気。10歳8歳6歳の3きょうだいを子育て中。
https://taekomizutani.com/


わが子が片づけられない問題は、きっと多くの方が悩んでいると思います。「片づけなさい!」と毎回言うことも、お互いイヤな気持ちになりますよね。実は、片づけの邪魔をしてしまっているのは、今の収納方法かもしれません。片づけまでのプロセスが複雑化するほど、片づけ=マイナスのイメージに。どの収納でも “大人に聞かなくても、所定の位置に戻せるようになること”に意識を向けてみましょう。


アイディア #01
おもちゃはざっくり分類して収納する

おもちゃの収納
▲水谷家のおもちゃ収納棚のラベルは、写真上からブロック、お人形、いろいろ、くるま、カププラ(電車のおもちゃ)、プラレールの6種類にジャンル分け。

おもちゃ収納を分類するときは、できるだけ広義的に、近しいもの同士でざっくりと分類するようにするようにしているそう。大人が良かれと思って、細かく分類してしまうと、子どもはどこに何を戻したらいいのか混乱します。水谷家では、おもちゃを全6つに分類し、それぞれラベリング。

「片づけに慣れていないうちは、分類は1〜3つくらいで様子見を。また分類を決めるときは、ぜひお子さんと一緒にやってみてください。『このおもちゃはどこに分けられる?』『どの仲間になるかな?』などと1つずつ聞きながら。子どもがおもちゃに対して責任を持ち、物の住所を把握しやすくなります」

<水谷さん流・おもちゃ棚のラベリング術>

クリアの養生テープ+油性ペンを愛用。養生テープは、すぐに剥がせて、跡が残りにくいのがポイントです。子どもに合わせて、ひらがなやカタカナで分類を記入し、合わせてイラストも書いておくと、よりわかりやすくなります。

・POINT・
ジャンルが分けにくい「いろいろボックス」も作る


分類が難しいものは、全て1つにまとめて「いろいろ」に。片づけする際、これはどこに入れる?という疑問をなくしましょう。

「おもちゃを収納ボックスの中に戻せても、子どもにとっては、収納ボックス自体を棚などに戻すことは意外と難しかったりします。おもちゃの分類を収納ボックスにラベリングしたあと、それを戻すべき場所を決めて、スペース自体にも直接ラベリングしましょう。これをするだけでも、子どもが1人でボックスまで元に戻せるようになります。子どもの収納のイメージは、保育園や児童館のような公共施設だと考えるとわかりやすいと思います。実際に私も公共施設をヒントにして、棚自体にもラベリングをするようにしました」


アイディア #02
収納は10cm以上の隙間を空けて
ものを投げ込めるようにする

子どもの整理収納術

棚からボックスを引き出すことですら、子どもにとっては大変だと感じてしまう要因になります。水谷家では、収納棚とボックスの間に10cm以上の隙間を空けて、上からおもちゃをぽいぽいと放り込める仕組みにしています。

「隙間が充分に空いていれば、ボックスを引き出すことなく、遊んだおもちゃをそのまま収納ボックスに入れることができます。10cm以上、空けられるだけ空けるようにしてください。これだけで片づけのハードルが大きく下がりますよ」


アイディア #03
絵本は出し入れしやすさを重視!
ずれない工夫をする

絵本の整理収納
▲ファイルボックスは、ワイドな15cm幅のものを愛用中。棚のサイズや本の量に合わせて、ファイルボックスの個数やサイズの調整を。無色でインテリアにもあまり影響しないところもポイント。

絵本や図鑑などは、大きく厚みがあり、子どもにとって重いものも多いですよね。できるだけスムーズに、本が出し入れできる収納を心がけているそう。水谷さんは、書類整理のためのファイルボックスをブックエンドとして活用しています。ファイルボックスの背が下、底が奥側になるように、倒して使うのがおすすめだそうです。

「大人も経験があると思いますが、本棚で倒れた本を直すのは億劫ですよね。倒れた結果どんどん平積みになってしまったり、読みたい本が見つからなかったりする原因になります。ファイルボックスを使えば、本をしっかり支えてくれるので自立しやすくなります。さらに、転倒防止用のジェルマットなどで固定すると、ずれないので使いやすいと思います」


アイディア #04
洋服棚は子ども目線の棚選び&
ラベリング

洋服棚の整理収納 ラベリング
▲きょうだい3人で、1人につき1列の棚を使用。おもちゃ収納同様、剥がしやすい養生テープを活用してラベリング。

子どもが乾いた洗濯物を片づけたり、毎朝1人で身支度できる環境を整えるために、棚選びも重要です。水谷さんは、子どもたちが使うことを考えて、引き出しの軽さを重視しました。引き出しがプラスチック製なので、養生テープ+油性ペンを使って、引き出しの中身をラベリング。

「小さな手でも握りやすく、引き出しやすいものを選ぶようにしましょう。さらに引き出しが浅いものなら、衣服が埋もれていかずに一目でわかります。こちらの棚は、引き出しの上部に隙間があるので、閉まっていても中身が少し見えるところも、子どもの片づけを助けてくれるポイントです」

・POINT・
マイカラーを決めて、きょうだいで色分け


水谷家は3人きょうだいなので、それぞれ担当の色を決めてラベリング。子どもの成長に合わせて、表記も変えてくださいね。


アイディア #05
全ての衣服を「子どもが」
把握できる量にする

衣類の整理収納
▲引き出しが浅い分、収納力は下がりますが、 “ここに入る量だけ”を徹底。

特に衣服は、子どもが自分のものをきちんと覚えられるくらいの量だけを持つことが大切だと話す水谷さん。水谷家では、洗い終わった自分の洗濯物を棚に戻すのは、子どもたちの役目。毎朝、カゴの中に入れられた自分の洗濯物をそれぞれが洋服棚へ収納してから、登校&登園するのがルール。

「たたみ方は完璧ではないですが、全く問題なし! まずは所定の位置に戻してもらうだけでも、大人の負担は一気に減ります。できるようになるコツは、いきなりやってもらうのではなく、できるところから少しずつレベルアップさせてください。マンションか戸建てか、間取りによっても変わるものなので、住環境に合わせて、親子で話し合いながらルールを決めていきましょう」

朝やるべきことのルール表
▲水谷家の子どもたちが朝やるべきことのルール表

また、スムーズに片づけることができれば、1人で身支度することも自然とできるようになるという水谷さん。

「わが家では、その日に着る服も自分で選んで着替えています。組み合わせが気になるときもありますが、1人でできるようになることを重視し、干渉しないように気をつけています」


[コラム]
身支度グッズを忘れない工夫

身支度グッズを忘れないための工夫

ハンカチやティッシュなど、園や学校で必要な身支度グッズ。忙しい朝はついつい忘れがちです。水谷さんは長女と相談しながら、ハンカチ・ティッシュ・移動ポケットを入れている引き出しに、毎日必ず履く靴下を1つにまとめて収納することにしました。すると、身支度グッズを忘れることがなくなったそうです。

「子どもが忘れものをしたとき、『忘れちゃだめ!』と言って終わりにしがちなのですが、『どうして忘れたのか?収納場所を変えることで、忘れないようにできないかな』と、現在の収納について、子どもと一緒に解決策を考えてみてください。親子ともに、客観的に物事を考えるトレーニングにもなりますよ」


水谷家の子ども部屋の整理・収納術をご紹介しました。片づけができる能力は、大人になっても必ず役に立ちます。子どもの疑問や負担をなくし、スムーズに片づけできる環境を整えてあげることが大人の役割。水谷さんが実践している工夫や仕掛けを取り入れて、家族みんなで協力しながら、忙しい日々を乗り切りましょうね。

次回は、水谷さんがキッチンで実践している整理・収納アイディアを教えていただきます。

撮影/川村恵理 編集・文:阿部里歩

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