気になる子どもの姿勢。
正しい姿勢を保つためにできることと、
悪い姿勢を矯正する方法とは?

気になる子どもの姿勢。正しい姿勢を保つためにできることと、悪い姿勢を矯正する方法とは?

正しい姿勢を手に入れるためには、姿勢をよくしようと意識することはもちろん、普段から体を柔軟にしておくことも大事です。後編では、姿勢や骨盤の歪みのチェック方法、正しい姿勢を保つための簡単な柔軟体操など今すぐ取り組めることを、日本体育大学・野井真吾先生に教えていただきました。

よい姿勢、悪い姿勢ってどんなもの?

子どもの姿勢 正しい姿勢
よい姿勢をご存知ですか?
よい姿勢とは横からみた時に、耳、肩、骨盤、くるぶしが一直線になることです。
子どもの姿勢をチェックするには、壁の前に立った状態を横から見るといいでしょう。
子どもの姿勢 悪い姿勢
上記のように
・ 肩が壁につかず、前に出ている
・ 背中が丸くなる
・ あごが前に出る
・ 頭が下がる
といった状態になっていたら、悪い姿勢の中で最も多い「猫背」です。
猫背になると
・階段を上り下りするだけの運動でも息が切れる
・肩や腰の筋肉がこり固まって痛む
・布団に入っても、体に痛いところがあり、なかなか眠れない
・通学途中や授業など、よくお腹が痛くなる
といった影響もでてきます。このようなことが、よく起こる子どもは猫背が原因かもしれません。

この他、壁の前に立った時に、腰と壁の隙間が広く、お腹がつきでている「ワニ型」や、背中全体が壁につき、下腹がぽっこりしている「ペンギン型」の場合も、悪い姿勢といえるでしょう。


姿勢を左右する骨盤。歪みをチェックする方法は?

正しい姿勢を保つには、背骨とつながっている骨盤が重要です。肩と骨盤が平行になり、骨盤が立っている状態であれば、背骨も正しい位置になります。一方、骨盤が後ろに倒れてしまう(歪んでいる)と、背骨が曲がってしまうのです。

その場足踏み
骨盤の歪みは「その場足踏み」でチェックすることができます。
立って目をつぶり、その場で1分間足踏みをします。足踏みを終えた後、始めた時と同じ位置にいれば骨盤は正常な位置に。元の位置から左右どちらかにずれていたら、骨盤が歪んでいる可能性があるでしょう。

骨格は姿勢を記憶するものです。背中に棒のような1本の軸があるイメージで日常生活を送れば、自然と姿勢がよくなるはずです。また、座る時は、背もたれを使わず、両足を床にしっかりつけ、お尻をぐいっと引き締めると、骨盤の向きが正しい位置になります。


運動不足の子は、土踏まずがないことも!

"子ども<br 土踏まずがないと、姿勢のバランスが保てなくなるのはもちろん、足の指の働きが悪くなり、歩く、走る、飛ぶ時に地面をしっかりと蹴れなくなってしまいます。
土踏まずがない場合は、外遊びやウォーキングなどで足をしっかり使うことが大事です。そうすれば、自然と土踏まずはできていくでしょう。

また、姿勢にとって、体(胴体)の中心にある筋肉「体幹」も重要です。体幹がしっかりしていると、体重を支えることができ、自然と背筋が伸びて、正しい姿勢を保つことができるのです。さらに、骨の歪みが整ったり、体のバランス力が高まることにもつながります。

実は、子どもの体幹は、筋トレをしなくても、鬼ごっこやけんけんぱ、だるまさんがころんだなど、何気なく遊んでいる中で鍛えられています。ジャングルジムやブランコ、すべり台など、同じ動きを繰り返す遊具でも体幹はアップします。正しい姿勢を手に入れるためにも、日頃からこうした遊びを思い切り楽しむとよいでしょう。


姿勢を直す!悪い姿勢を矯正する方法とは?

悪い姿勢 矯正する方法
姿勢は、骨の形状ではなく、骨を覆っている筋肉が影響します。姿勢が悪くなってしまうのは、一部の筋肉が固くなり、体のバランスが崩れてしまうことが原因の一つです。そのため、正しい姿勢を手に入れるためには、全身の筋肉をやわらかくすることも大切です。

最後に、正しい姿勢に導く簡単な柔軟体操をご紹介します。日々の生活の中に取り入れて、柔軟な体を目指しましょう。

<柔軟体操の方法>
※各2回ずつ繰り返しましょう。【上半身】
首をのばす
①頭に手をかけて、左に首を傾け向け、15秒間キープ。右も同様に行う。
②頭の後ろに両手をかけて、前に首を倒し、15秒間キープ。背中とお腹をのばす
①膝を伸ばしたまま立ち、上半身を前に倒し、15秒間キープ。
②腰に手をあてて立ち、上半身を後ろに倒し、15秒間キープ。体の側面をのばす
①右腕を横から上へ振り上げ、体を左へ曲げ、15秒間キープ。
②左腕を横から上へ振り上げ、体を右へ曲げ、15秒間キープ。【下半身】
太ももの裏をのばす
①片方の足のかかとをイスにのせて、ひざを伸ばす。
②息を吐きながら、上半身を前に倒し、15秒間キープ。反対の足も行う。腰をひねる
①仰向けになり、息を吸いながら片方の膝を上げる。
②上げた膝を横に倒す。顔は倒した足と逆側に向け、15秒間キープ。反対の足も行う。

内ももをのばす
①床に座り、両足の裏を合わせて体に引き寄せ、股関節を開く。背中はまっすぐに。
②上半身をゆっくり前に倒し、15秒間キープ。

 

前編はこちら

取材・文:サカママ編集部 イラスト:此林ミサ 取材協力:野井真吾(日本体育大学 体育学部 健康学科教授。子どものからだと心・連絡会議議長) 参考文献:野井真吾著『大人になってこまらない マンガで身につく正しい姿勢で元気な体』(金の星社)、『子どもの“からだと心”クライシス』(かもがわ出版)

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