子どもの便秘予防、便秘解消のために!
「腸活」をはじめよう(後編)

子どもの便秘予防、便秘解消のために!「腸活」をはじめよう(後編)

健康でいるためにも大切な、腸内環境を整えるための活動「腸活」。後編では、どんな食べ物をとり入れるべきかなど、具体的な腸活の方法をご紹介します。家族の体調維持のためにも、できることからとり入れてみましょう!

腸活にいい食べ物。プロバイオティクスとプレバイオティクスとは?

腸活にとって大事なのは「菌を摂る」「菌を育てる」「菌を守る」、この3つです。菌を摂る=プロバイオティクス、菌を育てる=プレバイオティクスと呼ばれています。

腸活にいい食べ物 納豆

プロバイオティクス

ヨーグルトのパッケージなどから「プロバイオティクス」という言葉を目にしたことはありませんか?「プロバイオティクス」とは、食事などにより、腸内環境にとっていい菌を直接摂り入れることです。
プロバイオティクスの代表的な食べ物は、ヨーグルトやキムチ、チーズ、納豆、味噌、塩麹などの発酵食品です。菌が入っているものを継続して食べることによって、それらに含まれる菌が身体の中で定着し、よい働きをするようになると言われています。

プレバイオティクス

「プレバイオティクス」とは、菌のエサを摂り入れ、育てることです。水溶性食物繊維やオリゴ糖を摂ることで腸内細菌のエサとなり、腸内で発酵し、菌が代謝物(短鎖脂肪酸)を生み出して育っていきます。腸内細菌は、それぞれで好みのエサが異なるため、たくさんの菌を増やすには、多様な種類の食材から菌のエサ(水溶性食物繊維やオリゴ糖)を摂ることが重要です。


腸内環境を整えるなら食物繊維が必須!

食物繊維には、水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維の2種類があります。腸内環境を整えるには2種類の食物繊維をバランスよく摂ることが大切です。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維は、便の量を増やして、便通をよくする働きがあります。大豆やきのこ、ごぼう、穀類、完熟野菜などに多く含まれています。

水溶性食物繊維

菌のエサを摂り入れて、育てるためにも欠かせないのが水溶性食物繊維。腸内環境を整えて、便を柔らかくする働きがあります。水溶性食物繊維は、長芋・オクラ・納豆・めかぶ・なめこなどのネバネバ系食材、もち麦、押し麦、プルーンなどのドライフルーツ、熟したキウイ・オレンジ、アボカド、海藻類に多く含まれています。
なお、納豆には、水溶性・不溶性の食物繊維がバランスよく含まれているので、腸活には最適な食材です。


水溶性食物繊維をとらないと、腸に異変が!?

子どもの腸活 水溶性食物繊維

腸内細菌は、ネバネバした水溶性食物繊維が大好きです。
腸壁の内側の膜は、ムチンといわれるネバネバした成分で覆われているため、水溶性食物繊維をとらないでいると、腸内細菌は、腸壁からネバネバした成分を食べはじめてしまいます。その結果、腸に穴があいてしまい、腸から毒素や菌が漏れる「リーキーガット」と呼ばれる病気になってしまうなど、体に悪影響を起こしてしまう場合があるのです。

同様のことが、じつは便秘でも起こります。便秘で腸内にうんちがとどまっていると、そこにいる菌にエサが届かないため、結局、腸壁を食べはじめてしまい、腸に穴があくことに…。

腸内細菌にエサを与えるためにも、水溶性食物繊維をしっかりとることが重要というわけです。


子どもの腸内環境を整える食事は?

腸内環境を整えるためには、何よりも「菌を摂る」「菌を育てる」を、バランスよく継続することが重要です。そのためには、いろいろな発酵食品を摂り、さまざまな食材から食物繊維やオリゴ糖を摂り入れ、お腹を温めるような食事を心がけましょう。

腸に優しい食事

腸活にとって大事なのは、お腹を温めること。ですので、味噌汁やスープなど汁物を積極的に摂るようにしましょう。例えば、野菜をたっぷり入れて具だくさん味噌汁にすれば、味噌から菌が摂れ、具だくさんの食材により菌を育てることができ、温かな汁で菌を守ることができますよね。具だくさん味噌汁は、腸活に大事なことすべてを叶えることができる食事なのです。

腸にあまりよくない食事

腸に悪いのは、どんな食事であれ食べ過ぎてしまうことです。食べ過ぎると、腸内細菌の多様性を低下させる原因になってしまいます。とくに、お菓子やジュースを摂りすぎてしまうと、その分食事の量が減ってしまうため、便の量が減ってしまい、お腹に溜まりやすくなったり、お菓子には脂質を多く含むものもあるため、便秘の原因になる可能性もあるのです。
また、油をたくさん使った食事が続くのも腸にはよくありません。油の使用量は、「揚げる・炒める > 焼く >蒸す・茹でる」と、揚げる・炒める調理法が最も多く使うので、1食の中で揚げる・炒める調理が重ならないようにしましょう。揚げ物はフライやてんぷらのように衣があるものよりも、から揚げの方が油が少量に抑えられます。
オイルドレッシングやマヨネーズなど脂質の高い調味料の使い過ぎにも気をつけましょう。


継続できる「腸活」の方法を見つけよう!

腸活 ヨーグルト

腸の中には、腸内細菌が約1000種類もいると言われていますが、できるだけ多くの種類の菌を獲得することが大切です。例えば、ヨーグルトから菌を摂取する際には、毎日同じヨーグルトを食べるのではなく、違う種類のヨーグルトを食べることがベストです。

とはいえ、日々の食事のこと。負担になってしまうと続かないですよね。日常的にヨーグルトを食べていない人はまずは毎日食べることから。食べている人は2種類のヨーグルトをローテーションにするなど、継続できる方法を見つけてみましょう。

また、約1000種類もの腸内細菌は、それぞれに好きなエサが異なります。そのため、「プレバイオティクス」もできるだけ多くの種類を摂取することが大切です。水溶性食物繊維だからといってワカメばかり食べていると、ワカメを好む菌は増えるものの、他の菌が減ってしまうのです。

先にあげた食材の他に、もち麦や雑穀は白米に比べて水溶性食物繊維が豊富なので、ご飯を炊く際に10%程度、もち麦や雑穀を加えることもおすすめです。最近はコンビニで、もち麦入りのおにぎりも売っているのでそういったものを選んだりするなど、できることから腸活を始めるといいでしょう。


食事以外で効果的な腸活方法は?

子どもの腸活 「の」の字マッサージ 

食事以外にも、気軽に取り組める子どもの腸活があります。その一つが「の」の字マッサージです。簡単なマッサージですが、腸を動かしてあげることが大事なので、時々、お子さんにやってあげるといいでしょう。その際、お子さんのお腹に直接触れてみてください。本来、子どものお腹は、柔らかくて、温かい状態です。お腹がかたい、はっている、軽く押してみて「痛い」といったら、うんちが溜まっているサイン。また、ストレスを抱えていると、お腹がかたくなることもあります。

前編でご紹介したように、お腹の温度は、37度前後がいいといわれているので、手をあててみて、冷たいと感じるなら冷えている証です。腹巻をしたり、入浴などでお腹を温めてあげるようにしましょう。


腸活では子どものうんちをチェックすることも大切!

赤ちゃんの時は、うんちをみて健康状態を確認していましたよね。それが、トイレを自分でできるようになると、子どものうんちをみなくなるものです。

うんち=「便」は、「便り」とも読むように、うんちは体からのお便りであり、健康の指標にもなるので、ぜひ子どものうんちをチェックしてみてください。また、スッキリしたかどうかを確認したり、昨日との違いを聞いたりするなど、うんちの会話をすることも大切です。


排便日誌をつけるのもおすすめ

排便日誌とは、便の形や硬さ、臭い、頻度などを記録するものです。
理想的な便は、長さ30cm以上、バナナ状、黄土色、するっとでる(いきまない、痛みなし)、少し酸っぱいようなお漬物のような臭い、1日1回以上出ることです。色が黒っぽかったり、かたいようであれば水分不足、逆に量が少なく、水っぽいようであれば、食物繊維の量が足りていない証拠です。お子さんの年齢が上がっていくにつれて、親子の間で便に関する話題が減っていきがちなので、排便日誌をつけて、親子で便について話すのもいいでしょう。


一番手っ取り早い腸活は、便を観察すること

以上、あれこれと「腸活」についてお届けしましたが、最も簡単な腸活は、日々、便を観察することです。便を観察すれば、お子さんの身体の状態も把握できるものです。
また、ママが子どものうんちをチェックして一緒に会話をすることが、子どものための、一番手軽な「腸活」と言えるでしょう。
腸内環境は、免疫やアレルギーなど、子どもの健康面でも多いに関わってきます。子どもはもちろん、大人も腸活をして、家族みんなで健康的な身体を手に入れましょう。

前編はこちら

取材・文:サカママ編集部  取材協力:元サッカー日本代表・鈴木啓太氏が代表を務める、AuB株式会社 の上田麻実さん。AuBでは、アスリートを腸内環境からサポートしている。

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