子どもの便秘予防、便秘解消のために!
「腸活」をはじめよう(前編)

子どもの便秘予防、便秘解消のために!「腸活」をはじめよう(前編)

日々気にかけている子どもの体調。中でも、子どもの便秘を気にしているというママは多いのではないでしょうか。そこで今回は、子どもの便秘予防、便秘解消にもつながる「腸活」についてお届けします。

「腸活」をはじめる前に。腸の役割とは?

腸の役割

腸活とは、食事やマッサージ、運動を行って腸内環境を整えること。まず、腸活をはじめる前に知っておいてほしいのが、腸の役割です。
「腸=排便機能」と思いがちですが、もう一つ忘れてはいけないのが、腸には栄養吸収の役割があるということです。

ストローをイメージし、口がストローの入口、肛門がストローの先だと想像してみてください。口から肛門まで、なんの吸収機能も働かなければ、水を飲んだらそのまま水が出てしまいますよね。

しかし、人間の身体の中では、食べた物を胃で消化し、腸の中で腸内細菌という生き物が、身体にいい要素に変えたり、分解をして、栄養を吸収してくれているのです。従って腸は身体の中でも、とりわけ重要な働きを担っているということです。

腸は第二の脳

「腸脳相関」という言葉を知っていますか?
腸には多くの神経系が集まり、脳と密接に影響し合っていることから、「腸は第二の脳」とも呼ばれています。そのため、腸内環境はメンタルや集中力にも関わっているのです。

免疫細胞の7割が腸にあるといわれているほど、免疫機能においても重要な役割を担っています。また、アレルギーや風邪、睡眠、肥満なども腸が関わっているといわれ、体調を管理するためにも腸内環境を整えること、すなわち腸活を行うことは大事なのです。

腸内細菌のベースは3~5歳で決まる

子どもの腸活 腸内細菌

お腹の中には、どれくらいの腸内細菌がいるかをご存知ですか?なんと約1000種類もの腸内細菌が生息し、1.5㎏ほどあるといわれています。

ママのお腹の中にいる時、赤ちゃんは無菌状態です。産道を通る際、菌に触れ、その後、おっぱいを飲んだり、ママとのスキンシップや家にいる常在菌などを通して腸内細菌を獲得していきます。

腸内細菌の種類や数、量は人により異なり、腸内細菌のベースは3~5歳で決まるといわれているのです。
幼少期にいろいろな腸内細菌を得るには、じつは除菌をしすぎないことが重要。悪いウィルスは排除しなければいけませんが、子どもの腸内環境にとっては除菌をしすぎてしまうと、いろいろな種類の菌が獲得できず、結果、大人になってから、アレルギー症状が発生したり、肥満になる場合もあると研究では報告されています。

また、自閉症の子どもやコロナウィルスで重症化した人、様々な疾患のある人の腸内細菌を調べると、菌の種類や数が少なかったと報告されていることもあることから、幼少期にたくさんの種類の菌を獲得しておくことは重要なのです。

腸に優しい菌とは?

腸内にいる約1000種類もの菌。中でも、身体によい成分を作り出してくれるのが「善玉菌」です。例えば、ビタミンやアミノ酸を作ったり、免疫力をコントロールする働きを担っています。
腸内を顕微鏡で見ると、たくさんいる菌がお花畑(英語でflora(フローラ))のように種類ごとにびっしりと広がっていることから、「腸内フローラ」「腸内細菌叢(さいきんそう)」と呼ばれています。
腸内細菌は、菌の種類により役割が異なるので、たくさんの種類の菌をお腹の中で飼ってあげることが大事です。ただし、腸内細菌の中には、腸内環境のバランスを乱す「悪玉菌」もいます。また、歯周病菌や虫歯菌などの一部は、腸まで届き、腸内環境のバランスを乱す原因になってしまいます。そのため、歯みがきをしっかり行い、口の中のケアをすることが重要です。
善玉菌、悪玉菌にも属さないのが「日和見菌」です。日和見菌は、善玉菌、悪玉菌の多い方の味方となり、身体が弱っていると悪い働きをすることがあります。


子どものうちから腸活をするメリットとは

先にも述べたように、腸内環境はメンタルや集中力、免疫機能、アレルギー、風邪、睡眠などにも関わっていることがわかっています。また、最近では、筋肉や持久力にも腸内細菌が関わっていると言われています。そのため、子どもの頃から腸活を習慣にして腸内環境を整えておけば、健康面やメンタル面など、子どもが成長していく中で嬉しいメリットがたくさんあると言えるでしょう。

免疫力が強くなる

腸内には酪酸菌という免疫力をコントロールしてくれる菌が存在します。免疫力は低いと風邪をひきやすかったりしますが、高すぎてもアレルギーなどの症状を起こしてしまいます。ですので免疫力を調整し、バランスよく保ってくれる酪酸菌を増やせば、健康面でメリットになるのです。
酪酸菌を増やす方法は、食物繊維を多く含む食べ物(高食物繊維食)を摂ること。汁物や鍋物を具だくさんにしたり、食後のデザートにみかんなどの果物を食べるだけでも、食物繊維の摂取量は増えるものです。1日を通していろいろな食材から食物繊維を積極的に摂れば、酪酸菌をはじめとする免疫力をコントロールする菌が増えていくでしょう。

太りにくくなる

腸内細菌が私たちの体調と関わっていることが大きく世の中に広まったきっかけには「デブ菌・痩せ菌」の発見があります。
「デブ菌・痩せ菌」は、FB比率と言われ、この比率のバランスが太りやすさに関わると言われています。つまり、痩せ菌が増えれば、太りにくい体質が手に入るというわけです。
痩せ菌を増やすには、食生活が大事。ポイントは、水溶性食物繊維やオリゴ糖を積極的に摂ることです。水溶性食物繊維は、長芋やオクラ、納豆などのネバネバ系食材や、果物(ドライフルーツ含む)、海藻類などに豊富に含まれています。オリゴ糖は、たまねぎ、ごぼう、にんにく、はちみつなどに多く含まれていますし、オリゴ糖の商品もたくさんあるので、一部、砂糖の代わりに使用してもいいでしょう。

メンタルが安定しやすくなる

先にもの述べたように「腸脳相関」と言われるくらい、腸と脳、そしてメンタルとの関係は密接であると言われています。また、うつ病や自閉症との関連やストレスにも関わるといった論文も数多く発行されています。子どものうちから腸活をして腸内環境を整えていれば、メンタルの安定にもつながると言えるでしょう。


腸活で子どもの腸を元気に!

腸活で大事なのは、「菌を摂る・育てる・守る」を継続して行うことです。発酵食品をたくさん摂取することで菌を摂ることができ、食物繊維やオリゴ糖を摂取し続けることで菌を育てることができます。また、菌を守るためには、お腹まわりを温めること、病原菌を口から腸に侵入させないことが重要です。

お腹の深部体温を上げる!

子どもの腸活 お腹の深部体温

腸活にとって大事なことの一つは、腸内細菌が活動できる温度にすることです。腸内細菌が活発になるのは、37度前後だといわれています。夏になると菌が増殖しやすいように、腸活には、お腹の深部体温をあげることが重要なのです。

簡単に深部体温をあげるには腹巻をすること。とくに寝るときに腹巻をすると、お腹が温まり、ぐっすり眠れるものです。リラックスしてぐっすり眠れる=(イコール)副交感神経が優位に働くので、腸の動きも活発になるのです。

ただし、日頃から体温の高い子どもの場合、夏に腹巻をして寝ると汗をかいてしまうことも。汗をかくと身体を冷やしてしまい逆効果になるので、その場合は、ムリに腹巻をせず、お腹を出して寝ていないかチェックしてあげるといいでしょう。

腸活には適度な運動、体操も大切

一般の方とプロのアスリートの腸内環境を比べたところ、アスリートの方が、たくさんの種類の腸内細菌がいる(腸内細菌の多様性が高い)ことがわかっています。

それは、アスリートとして、意識して様々な栄養素をとったり、いろいろな人と触れ合う中で腸内細菌を獲得していることが考えられます。また、運動をすることで、腸内環境が活性化していることもその要因だと考えられています。

運動をすると深部体温が約2℃上がるといわれているので、腸活に重要とされる温度にあげるため、適度な運動も大切だといえるでしょう。 簡単な体操で構いませんので、「腸活」を意識して生活の中に取り入れてみては。

しっかりと水分を摂る

水分不足になると便の形成がうまくできないので、腸活のためには、水分をたくさん摂りましょう。ただし、お茶やジュースは腸活には適していません。

入浴をしてリラックスする

腸活にとって重要なのが、腸内環境が変化しやすい睡眠時です。入浴してリラックスすることで、ぐっすり眠れ、副交感神経が優位に働くため、腸のぜん動運動が促されます。また、入浴により外側からお腹を温めることで腸内細菌が活性化するので、腸活のためにも湯船にゆっくり浸かるようにしましょう。


簡単な腸活から取り入れよう!

子どものための「腸活」というと、「ヤクルトを飲むの?」「食生活を改善すべき?」「便をチェックするの?」など、あれこれ考えがちですよね。でも、腹巻や入浴などでお腹の深部体温を上げたり、適度な運動や体操をするだけでも、腸活につながるのです。子どもの腸内環境を整えるために、簡単なことから取り入れてみるといいでしょう。


いかがでしたか?前編では、腸の役割の再認識と身近に取り入れられる腸活をご紹介しました。後編では、腸活にとり入れたい食べ物や子どもとの関わり方など便秘解消に向けてのあれこれをご紹介します。

後編はこちら

取材・文:サカママ編集部  取材協力:元サッカー日本代表・鈴木啓太氏が代表を務める、AuB株式会社 の上田麻実さん。AuBでは、アスリートを腸内環境からサポートしている。

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