春は門出の季節。スポーツをがんばっている子どもたちも、6年生の3月は一つの節目に。そんなわが子を持つママに、これまでを振り返り、今、思うことを聞いてみました。スポーツキッズのママならではの醍醐味とは?
後にも先にもない、切ない個別卒団式
埼玉県の少年団に在籍していたIさん、今年の3月、息子さんがその少年団を卒団。残念ながら、新型コロナウイルスの影響で、予定していた卒団式はできなかったそうです。
「卒団生の喜ぶ顔を想像しながら、長い時間をかけて、卒団式の準備をしていたんです。でも結局、それらをキャンセルすることになり、正直、本当にやりきれなかったです。
卒団式を予定していた日には、少年団の代表が卒団生の各家庭の玄関先に来て、記念品、文集、在団生からの色紙、代表・監督からのプレゼントを渡してくださいました。その時に代表が『こんな形になってごめんね』と謝ってくださって……。
誰が悪いわけでもないのに、その言葉は切なく、潤んでいる代表の目を見た時、私も泣きそうになりました。毎年、卒団式はしんみりとするものですが、こんなにも切ない個別卒団式は、後にも先にもないと思います」
卒団式で伝えたかったこと
Iさんは、卒団式で子どもたちに伝えたかったことがあるそう。
「無事に卒団できるのは、決して自分一人の力ではない――と卒団生には伝えたいですね。いつも美味しいおにぎりを持たせてくれたお母さん、暑い日も寒い日も審判や設営をしてくれたお父さんたちはもちろん、自分の余暇の時間を削って作業をしてくれていた役員の方々がいたこと。
そして、どんなときも選手の味方であり、指導をし続けてくれたコーチたち。誰一人、欠けてもサッカーは続けられなかったはず……。卒団生からは見えなかったところで、たくさんの人たちが動いて成り立っていたことを決して忘れずにいてほしいと思います」
子どもたち、父母、指導者が“ONE TEAM” に
お子さんが、サッカーを通して成長したと感じることを聞くと「サッカーを通して、他のことの大切さを学べたと思います」とIさん。
「笛がなるまで諦めないで走り続けることや、途中で放り出さないことはもちろん、あいさつや礼儀、食事、コミュニケーション力、感謝の心なども大切にしなければならないことを学び、成長できたと感じます」
そして、スポーツキッズのママでよかったと思うこともたくさんあったそう。「ライバルのチームに負けて、皆で泣き、母ももらい泣き。そしてそのチームに勝ったときは、子どもたち、指導者、父も母も一緒になって喜びました。まさに“ONE TEAM”だったように思います。
自分のことに精一杯だった子がいつの間にか上級生になり、下級生の面倒を見たり、優しいサポートができているのを見て、ほっこりしたこともありました。わが子だけでなく、チームの他の子たちの成長を感じることもでき、とても充実した日々でした」
子どもたちのがんばる姿を見ると、一緒に戦っている気持ちに
埼玉県在住のMさんも、息子さんが少年団を卒団し「貴重な4年間だった」と振り返ります。
「入団したころはできないことばかりで親の私も不安でした。それでも『サッカーが好き』という息子の気持ちを大切にしてあげたくて、『がんばってね』と声をかけるのをやめ、『楽しんで!』と送り出すように心掛けたんです。
その想いが息子に通じたのか、息子はどんなに辛くても苦しいときでも楽しむことを忘れずにサッカーと向き合うように。そんな姿を見て、不安だった私も一緒に楽しめるようになりました。サポートしていたつもりでしたが、逆にたくさんのことに気づかせてもらいましたね。
試合に向けての体調管理や食事のサポート、お当番や合宿のお手伝いなど大変なことも多かったのですが、子どもたちのがんばる姿を見るたびに一緒に戦っている気持ちになれました。
息子を通して勝つことの嬉しさや負けることの悔しさなどが経験できたのも貴重でしたね。この4年間でたくさんの子どもたちや保護者の方に出会うことができて、本当に充実した時間を送ることができました」
スポーツキッズのママは大変そう……と思いがちです。でも、わが子のスポーツを通して得る感動や喜びは、他では体験できないこと。そしてわが子はもちろん、チームメイトの成長を感じながら見守ることができるのが、何よりの魅力なのかもしれませんね。
取材・文/サカママ編集部 写真協力/伊澤久美、森田未来
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