「卒団式」って、聞いたことありますか? 卒団式は、わが子がスポーツをやっているからこそ体験できるセレモニーです。今年、卒団式を経験したママにその内容や、スポーツを通して感じたわが子の成長について聞いてみました。
卒団式は、新たな門出を祝うセレモニー
サッカー、野球、バスケットボールやソフトボールなど、スポーツをやっている子どもたちは、主にスポーツ少年団(以下、少年団)やクラブチームに所属して活動しています。その多くは6年生の3月が節目に。所属しているチームから卒業することを「卒団」と呼び、新たな門出を祝うセレモニーが「卒団式」です。
学校の卒業式とは異なり、卒団式の形式や内容は各チームによって様々。アルバムなどの記念品があったり、これまでの試合を編集して映像にして流したり、コーチや親への感謝の手紙があるチームも。どんな内容であれ、スポーツをがんばってきた子どもたち、そしてママたちには、心に残る思い出になるといえるでしょう。
厳しかったコーチの涙に、選手も親も感動
では、実際にどんな卒団式が行われているのでしょうか。今年、息子さんが卒団式をした2人のママに聞いてみました。
「卒団式では、初めて見るコーチの涙に、子どもたちも保護者も泣いてしまいました」と語るのは、息子さんが埼玉県の少年団を卒団したM.Mさん。
「今年は、新型コロナウイルスの影響により3月から練習が中止。みんなで行う最後のサッカーも学校の校庭が使えずできずじまい……。そんな中、なんとか卒団式は開催されました。
息子が所属していた少年団の卒団式のプログラムは、毎年コーチ陣が考え、当日の進行もしてくれます。開式の言葉から始まり、代表、コーチ陣から卒団生一人ひとりに総評、5年生の保護者が制作してくれたスライドショーの上映もありました。わが子から親へ感謝状が渡された時は、感動して思わずハグしちゃいましたね(苦笑)。
中でも一番心に残ったのは、4年生から3年間担当してくださったコーチの涙です。選手たちをいつも叱咤激励してくれていたのですが、卒団式では泣きながら子どもたちに話をしてくれて……。厳しかったコーチの涙は、子どもたち、そして親の心に響きました」
サッカーで学んだことが、学習面でもいかされている
お子さんがサッカーを通して得たことを聞いてみると「サッカーで学んだことが、学校生活や学習面でもいかされていることですね」とM.Mさん。
「4年生の時にキャプテンに任命されてからは、コーチから怒られることも多く、思ったプレーができなかったり。辛くて胃が痛くなった時もあったのですが、キャプテンとしての責任感が芽生え、練習には必ず参加していました。とにかく4年間、サッカーをやり通すことができたのが、一番よかったと思っています。
また、サッカーを通して『諦めないこと』『目標を持って努力すること』『やった分だけ結果として表れること』を身をもって学べたように感じています。それが学校生活や学習面でもいかされているわが子の姿を見て、サッカーを続けていて本当によかったと思いましたね」
思い出がすべて詰まった卒団アルバムは宝物
「卒団式は簡略化したものになってしまいましたが、内容の濃い卒団アルバムは一生の宝物になりました」と話すのは、息子さんが東京都の少年団に在籍していたKさん。
「今年は、親子サッカー、卒業証書授与、コーチからの卒団を祝う言葉、全体写真撮影と、通年とは異なり簡略化した卒団式に。主人は親子サッカーに参加したのですが、子どもたちのサッカーがとても上手くなっていたのを体感し、感動していました。
私が感動したのは、記念品の卒団アルバム。幼稚園の頃から6年生までの写真、選手の紹介、すべての試合の展開や結果、ゴールを決めた選手の名前、合宿の様子、コーチからのメッセージなど思い出がすべて載っているんです。
こんなに内容の濃い卒団アルバムができたのは、1人の選手のお父さんがわが子だけではなく、幼稚園の頃から全ての選手を追って写真を撮り続けてくれていたからこそ。プロのカメラマンが撮ったような卒団アルバムは、本当に素晴らしくて、見てほしいくらいです」
サッカーを通して培われた、仲間を大切に思う心
スポーツキッズのママ歴10年のKさん。これまでを振り返り、お子さんの成長やスポーツキッズのママでよかったことも語ってくれました。
「息子は年中の時から同じ仲間とサッカーをやってきたこともあって、仲間を思いやる気持ちが成長するごとに強くなっていったように思います。泣いたり笑ったり、時に悔しんだり。苦楽を共にしたサッカー仲間との絆は、学校の友達よりはるかに固いように感じますね。私自身は、息子だけではなく、チームメイトの成長をみられたことが、何よりもよかったと思います」
今年は、残念ながら卒団式が中止になったチームも多いようです。けれど、チームみんなで頑張ってきた思い出は、子どもたち、そしてママたちの心にも残っているはずです。
取材・文/サカママ編集部 写真協力/森田未来
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