秋といえば、食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋、読書の秋など、「◯◯の秋」と言われるものがたくさんありますよね。ここでは、子どもに伝えたい秋の食べものやレシピ、紅葉狩りで拾った落ち葉や木の実の工作アイディアなど、人気イラストレーターの杉浦さやかさんに、さまざまな秋の楽しみ方教えていただきました。
<教えてくれた人>
杉浦さやかさん
絵本やママ雑誌などでイラストレーターとして活躍中。文章にも定評があり、イラスト&エッセイの著書多数。著書『おたのしみ歳時記』(ワニブックス)は、季節ごとの小さな幸せ、家族と楽しむ年中行事などを杉浦さんのスケッチにより紹介している。同シリーズとなる新刊『わたしたちの歳時記』(ワニブックス)を12月発売予定。
Instagram:@sayaka_sugiura
「◯◯の秋」の由来、知ってる?
秋分の日を過ぎると、少しずつ夜の時間が長くなります。暑さも徐々にやわらぎ、何をするにもちょうど快適な気温。ここでは、さまざまな「◯◯の秋」の由来について解説します。
1.食欲の秋
お米をはじめ、さまざまな農作物が収穫シーズンを迎える季節です。秋に旬を迎える食べものといえば、さつまいも、かぼちゃ、秋刀魚、栗、ぶどう、りんご、きのこ、柿など、おいしい食べ物ばかり。
2.行楽の秋/紅葉狩り
日本の秋は、見事な紅葉が楽しめます。この景色を楽しむため、登山やハイキング、ピクニック、キャンプなど、外で過ごすアクティビティがぴったり。また、全国各地で大規模イベントも多く、旅行にも適した季節です。
3.芸術の秋、アートの秋
美しく豊かな自然を身近に楽しめる時期。「芸術の秋」という言葉は、1918年に発行された文芸誌が由来とされています。展覧会や芸術祭など、多くのアートイベントが開催されています。
4.スポーツの秋
運動会や体育祭も多く、スポーツを行いやすい気候ですが、もともとの由来は、1964年に開催された東京オリンピック。開会式が行われた10/10であったことから、10/10が「体育の日」として祝日が制定されました。現在は、10月の第2月曜日になり、名称も「スポーツの日」に変わっています。
5.読書の秋
秋の夜長で、静かに過ごせる時間が増えることから読書にぴったり。もともとは、8世紀ごろ中国から伝わった「時秋積雨霽 新涼入郊墟 燈火稍可親 簡編可卷舒(秋になって長雨が終わって空も晴れ、涼しさが丘陵にもきている。ようやく夜の灯に親しんで、書物を広げられる)」という詩に由来するといわれています。これを夏目漱石が引用し、「読書の秋」という言葉が定着したそうです。
ここからは、親子におすすめしたい秋の楽しみ方を杉浦さんに教えていただきます。
【簡単親子工作】秋の落としもので遊ぼう
秋の公園やお庭には、きれいに紅葉した落ち葉や木の実、枝など、宝物がいっぱい。つくる時間も完成したものもスペシャルになる、とっておきの工作アイディアを教えてもらいました。
1.押し葉
きれいな落ち葉を見つけたら、押し花のように保存してみよう。
つくり方:図鑑などの重い本のページにティッシュを広げて葉っぱを並べ、その上にもう一枚ティッシュをのせて本を閉じ、その上に何冊か本をのせて重しにする。1週間ほどで水分が抜けてきれいな押し葉になる。
2.貼り絵
落ち葉や木の実を主役にして、好きなモチーフを完成させよう!
つくり方:つくりたいものを決めて、落ち葉や木の実を画用紙に貼り付ける。クレヨンなどの画材で、背景を追加したら、完成度がUP。
3.リース
クリスマスのリースのように、秋バージョンもつくってみよう!
つくり方:100円ショップで小さいサイズのリース台を用意する。落ち葉や木の実を、木工用ボンドで貼る。木の実を貼るときは、しばらく手で押さえて固定させると◎。
4.オーナメント
秋の落としものたちをつなげて、世界にひとつのオーナメントづくり。
つくり方:100円ショップで買えるコットンレース糸(色もきれいで、しなやかで強く、結びやすくておすすめ)を用意する。好きな色でOK!枝や茎に、糸を5回くらいくるくる巻いて、2回固結びする。松ぼっくりは、傘の上の方に糸をぐるっと引っ掛けて結ぶ。オーナメントをひもで結ぶのは、大人がやる。
【レシピ】秋の食べもので簡単スイーツ&ジャムづくり
甘くて、ほくほくのかぼちゃは、秋を代表する食べものです。免疫力向上、風邪予防、疲労回復など、豊富な栄養素がたっぷり。そんなかぼちゃが主役のマフィンと、さらに、秋のくだもののりんごとぶどうを使ったフルーツジャムのレシピを教えていただきました。特にジャムは、フルーツを切って煮るだけなので、子どもとのお菓子づくり入門にぴったり!
材料(6個)
・かぼちゃ(種、ワタなし)…180g
・ホットケーキミックス…150g
・卵…1個
・砂糖… 50g
・牛乳…100ml
・バター… 40g
つくり方
1.皮をむき、乱切りに切ったかぼちゃを電子レンジ600wで4分加熱する。皮は細く切ったものを6つ分つくっておく。
2.1をフォークでつぶし、溶かしバターを混ぜる。
3.ボウルに砂糖、牛乳、溶き卵を入れ、ホイッパーでよく混ぜる。
4.2とホットケーキミックスを入れ、ゴムベラでさっくりと混ぜる。
5.4を型に入れ、真ん中に1の皮をさす。180℃に予熱したオーブンで20分焼く。
「ホットケーキミックスを使うので、簡単にできますよ。かぼちゃの皮も活用して、かわいくておいしいかぼちゃマフィンを作ってみてくださいね。ハロウィンスイーツにもおすすめです!」(杉浦さん)
材料(つくりやすい分量)
・りんごまたはぶどう(ぶどうは種無しで皮ごと食べられるもの)…好きな量
・砂糖…フルーツの分量の30%
・レモン汁…1/2個
つくり方
1.りんごはよく洗い、皮ごとイチョウ切りにする。ぶどうは1粒を2~4つに切る。
2.鍋に入れてレモン汁と砂糖をまぶし、1時間ほど置いて水分を出す。
3.中火にかけて煮立ったら弱火で20分ほど煮る。もし、水分が足りなくなったら、100%のフルーツジュースを足す。
※ジャムを保存する瓶は、煮沸消毒後よく乾かしてから、ジャムを入れてください。
「フルーツは、単体で作っても、いくつか混ぜてもおいしくなりますよ。完成したジャムは、クリームチーズと一緒にクラッカーにのせたり、ジャムパフェをつくれば贅沢なおやつに!」(杉浦さん)
旅行やお出かけで、芸術の秋を堪能しよう!
「娘が幼児の頃、一緒に絵画展に連れて行ったことがありますが、静かにさせられて何もできず退屈な娘と、ゆっくり落ち着いて鑑賞できない私。お互いにストレスがたまっただけでした。そんな時、親子一緒に思い切り楽しめたのが“現代アートの展覧会”。参加体験型の展覧会なら、自由に作品に触れることができたり、体験したり、小さい子もうんと楽しめる!秋は、展覧会や芸術祭があちこちで開かれるので、気になるものを探して出かけてみてくださいね」(杉浦さん)
1.インスタレーションを探す
空間全体を作品として体験できる芸術、インスタレーション。「インスタレーション 展示 地域名」と検索して、探してみましょう。開けたり、覗いたり、描き込んだり……と作品に参加して、忘れられない体験ができるかも。
2.旅先で現代アートの美術館に行く
全国各地には現代アートの美術館がたくさんあります。たとえば、青森県『十和田市現代美術館』、石川県『金沢21世紀美術館』、鹿児島県『霧島アートの森』、群馬県『原美術館ARC』など。ぜひ旅のついでに訪ねてみましょう。特に、神奈川県『箱根 彫刻の森美術館』はアスレチックのように遊べる作品もあり、子どもも大喜び間違いなしです!
3.芸術祭やアートフェアへ
新潟県の『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』のような大規模なものから、地域の魅力を感じる小規模なものまで、全国各地でさまざまな芸術祭やアートフェアが開催されます。近くで開催された時は、お散歩がてら、街の日常の風景に突然アートが現れるおもしろさを堪能してみてください。
秋だからこそ楽しめるたくさんの素敵な過ごし方をご紹介しました。杉浦さんが教えてくれたアイディアを参考に、家族でとっておきの秋を楽しんでみてくださいね。