後編

子どもたちの成長や自立に
楽しい思い出もプラスさせたい

山田 英世さん(岡山県在住)

kumon_yamadasensei_main

小学5年生の長女、3年生の長男、1年生の次女をもつママ。企業での営業事務職を経て、結婚を機に退職。2019年11月にくもんの先生として教室を開設。新しいことにどんどんチャレンジするのがモットーで、仕事も子育てもアクティブに楽しむ。

山田さんの後編では、くもんの先生としての日々に迫ります。生徒たちや保護者の方々への想い、理想の教室像、そして地域の小学校とも関係を構築しながら取り組む日々には、山田さんが大切にしている“毎日を楽しむこと”があふれています。

教室スタッフや同期の先生がいたから
悩みも解決できて、前向きでいられた

kumon_yamadasensei_main
教室を開設する際は、今まであった教室を引き継ぐか、新しく教室を立ち上げるかを選べるのですが、私は新しく教室を開設することを選びました。その理由は、初めてKUMONを学習する生徒ばかりの中で、これまでもKUMONに通っていた娘の学習進度が最も進んだ状態だったからです。いきなり高いレベルの教材を使うことがなく、生徒たちと一緒に成長しながらスタートできるなと。そして、気心の知れたママ友たちに教室スタッフとして働いてもらえるようにお願いしたことで、コミュニケーションも取りやすく、お互いの性格を熟知している関係だったため、業務も適材適所で振り分けることができました。仲が良くてついついおしゃべりしてしまうこともありましたが、ママ友ネットワークのおかげで開設当初からたくさんの生徒たちが体験に来てくれて、KUMONの担当スタッフの方にもお手伝いしていただくほど忙しかったのを覚えています。

kumon_yamadasensei_pc

でも、開設して数ヶ月でコロナ禍になり、教室スタッフとも話し合いをしながら、生徒数が増える中でどう対応するべきか。運営責任者としての判断や決断は私にあるため、毎日すごく悩んでいましたね。そんな時、頼りになったのが同期のくもんの先生たち。グループLINEでこまめに情報交換して、悩みを打ち明けたり相談できたことでいろんな解決策も生まれました。世の中全体が落ち込んでいた時期だったので、悩みを分かち合える仲間がいたことは、くもんの先生としても私自身としても本当に大きかったと思いますね。

また、教室を開設してから私の視野もどんどん広がっていきました。これまではわが子だけを考えていた生活だったので、ダメだと分かっていても人と比べてしまう自分がいたんです。SNSが普及して、情報が大量に入ってくるようになったのも要因だったかもしれません。でも、くもんの先生になっていろんな生徒たちを見て、保護者の方々と話すようになったことで、比べるんじゃなくて個性を大切にしたいと思うようになりました。だからこそ、生徒一人ひとりをちゃんと見つめ、性格も理解することで、必然的に声のかけ方や接し方も変わっていきました。そして、保護者の方々からもたくさん学ばせてもらっています。どんな時でもわが子の成長を考えられている姿を見ていると、励みや刺激をもらうことも多々あり、3人の子どもをもつ母親としての私自身の成長や変化も実感していますね。

もっとほめたい気持ちをガマンして
一歩引いて成長を見守る

KUMONの教室スタッフ時代も子どもたちの成長には驚かされていましたが、くもんの先生になって成長の瞬間を間近に見ると、喜びがもっと自分ごとになっているんです。保育園の年少から通ってくれていた生徒が年長になり、私宛に手紙を書いてくれた時も「こんな手紙が書けるようになったんだ!」と目頭が熱くなりました。生徒たちは私にとってわが子のような存在なので、保護者の方々と一緒に成長を見守れることが本当にうれしくて。他の学習塾には通わずにKUMONで高校受験に臨む生徒が「先生と一緒に受験したい!」と言ってくれたり、保護者の方からも「先生にお任せします!」という言葉を受けた時なども、改めてくもんの先生になってよかったなって思います。信頼関係はそんなに簡単に構築できるものじゃないからこそ、そこを実感できる瞬間はかけがえのないものですね。

実は、子どもたちの成長や自立を支えるために、意識してガマンしてることがあるんです。みんな可愛いからつい手を差し伸べたくなるんですが、あえて一歩引いて見守るようにしています。学習していると、生徒それぞれに覚醒する瞬間があるんです。ゾーンに入った瞬間は、「あ!今入ったね」と教室スタッフとも共有して、そこからじっと見守ります。過剰にほめたり、「今日はできたね」「もう先生がいなくても大丈夫だね」なんて言葉はかけません。理論ではなく感覚の話になってしまいますが、子どもたちをずっと見ていると分かるようになるんです。

保護者の方々に報告する時も「今日はいつもと違いました。新たな一面が見えましたよ」と、あえてラフな言葉で伝えるようにしています。それは軽い感じに済ませておくことで、ゾーンに入ったことを変に意識させず、子どもたちにプレッシャーを与えたくないから。私たちの役目は子どもたちを支えて見守り、成長や自立へ導くことなので、過剰にほめたい気持ちをグッとガマンすることも大切だと思っています。そこにも、くもんの先生ならではの楽しさがあるなと感じていますね。

人に優しくできる子どもたちを育み、
地域に貢献していきたい

開設当初から、ずっと目指している理想の教室のカタチがあります。それは、生徒と保護者の方々、そして教室スタッフを含めた私たちの3つの想いが一致して、トライアングルが構築できている教室です。生徒たちの気持ちを理解することはもちろんですが、私たちの存在が生徒と保護者の方々の架け橋にもなりたいと思っています。だから教室内だけではなく、小学校の参観日や運動会でも生徒たちとコミュニケーションを重ねたり、保護者の方々と一緒になって応援したり、とにかく関わることを心がけているんです。そうやって気持ちの部分もちゃんと繋がることで、信頼関係はできていくんだと思っています。

開設して5年目に突入し、今はまだ理想に向けて発展途上の状態。これまでは私自身も他の先生と比べてしまうことがあり、「あの先生みたいになりたいけど…」と悩むこともあったんです。でも、自分にしかできないことがあると信じて、今では「おもしろい先生になる!」と宣言しています。私自身も含めて、みんなが今を楽しめるようにするのが自分らしいですし、子どもたちの成長や自立にも必ず楽しい思い出をプラスさせていく。そんなくもんの先生になっていくことが目標です。

私は小学校の役員もしているので、教員の方々ともいい関係が構築できていて、「山田先生、KUMONでも子どもたちをお願いしますね!」と言われることもよくあるんです。だから、夏休みなどの時期には生徒たちに「この教材を頑張って、学校の先生たちを驚かせよう!」と声かけすることもあります。生徒たちからは学校の話もよく聞きますし、KUMONで培った学力が心にも余裕を生んでいるようで、問題が解けなくて悩んでいる子に率先して教えてあげることもあるようです。そうやって人に優しくできる気持ちをもった子どもたちを育てていくことで、地域に貢献したいと思っています。KUMONの教室の中だけではなく、もっと広い視点で取り組めている今は、本当にやりがいが尽きません。悩むことはもちろんありますが、「くもんの先生になるんじゃなかった」なんて一度も考えたことがないので、私はすごく素敵な仕事に出合えたと実感しています。

kumon_yamadasensei_01

撮影:栗原 康 イラスト:宮城 奈月  文:前出 明弘

あわせて読みたい

前へ
次へ

新着記事

前へ
次へ