前編

いろんな世界を経験してきたのは、
自分の人間力を高めたいから

鈴木 愛さん(静岡県在住)

中学1年生の男の子と小学4年生の女の子のママ。大学で教員免許を取得した後、大手予備校に講師として就職。その後はさまざまな仕事を経験し、2018年3月にくもんの先生として教室を開設。仕事と子育てを両立しながら、自分の時間も全力で楽しんでいます。

今回登場するママは、「その時のチャンスを逃さない!」をモットーとする鈴木さん。ご自身の生き方や物事との向き合い方、両立のコツ、そして趣味のことまで、毎日を楽しく過ごしている鈴木さんならではのお話を伺いました。

目の前で起きた偶然には必ず意味があるから、
それを活かす

中学生の頃から将来は教員になりたいと思っていて、学生時代は塾でアルバイトし、大学では教員免許も取得しました。卒業後は大手予備校に就職し、東京から静岡に移り住んで塾講師をしていたんです。これまでずっと教育関係で働いていたのでこのまま続けていくのもよかったんですが、子どもたちに勉強を教えるのは決して簡単なことではなくて…。挫折もありましたし、自分自身に子どもたちを惹きつけるものがないとダメだなと。教える内容だけではなく、その人が発する言葉だからこそ聞きたいと思ってもらえる、そんな人間力が必要だと感じたんです。

例えば、いろんな仕事を経験して得られる見識だったり、視野の広さ、一人の女性としての魅力を磨くことも、人間力につながると思っています。そうした人間力を高めるためにも、全く別の世界で働くことを選びました。転職したブライダルの会社ではウェディングプランナーや衣装担当、経理、秘書などいろんな業務を経験。結婚後は個別指導の塾でアルバイト講師もしましたし、出産後はヤクルトで宅配スタッフの仕事もしていました。

ヤクルトの仕事を始めたのは本当に偶然で、家の前でヤクルトの方に声をかけてもらったのがキッカケ。託児所も完備されていたので、1日中家にいるのが苦手なタイプだからちょうどよいかなと。それに「その時のチャンスを逃さない!」ことを私は常に大切にしているんです。偶然と向き合い、活かしていくことで人間力を高められるはずですし、目の前で起きた偶然には何か意味があると思っています。そして、必ず自分の人生に繋がっていくと信じていますね。

鈴木先生 くもんの先生01

何事も自分の頭で考えられる子に育ってほしい

くもんの先生の仕事は、下の子が小学校に入学するタイミングで始めました。実は、下の子が生まれて落ち着いた頃から、将来はくもんの先生になろうと考えていたんです。教室で指導するのは週2日ですし、わが子との時間もしっかり確保しながら働けるので、子育てと両立できる仕事なんじゃないかと思っていました。私がくもんの先生として働き始めてからも、わが子たちが寂しさを感じるようなことはなかったと思いますね。主人は日中は家にいられる仕事なので子どもたちを病院に連れて行ってくれたり、昼ごはんを作ってくれたりとフレキシブルにサポートしてくれています。低学年の頃は地域のファミリーサポートの方に児童クラブのお迎えもお願いしていました。家族の助けはもちろん必要ですが、公的な支援を積極的に活用することも子育てと仕事を両立するポイントだと思います。

現在、長男は中学1年生、長女は小学4年生です。それぞれ自由に毎日を楽しく過ごしていますが、親としては何事も自分の頭で考えられる子に育ってほしいと思っています。何でも揃っている世の中ですし、与えられることの多い時代だからこそ、自分の価値観で自分の幸せを見つけることが重要だなと。本当にやりたいことを見つけるのは決して簡単なことではないので、見つけた時は全力でサポートしたいですね。

鈴木先生 くもんの先生02

時間やお金を自分のために使うことも大切

くもんの先生の仕事は平日の3日間を自由に使えるので、仕事や子どもの学校の準備、家事などの時間もしっかりと取ることができています。学校行事に無理なく参加できるのも、この仕事ならではですね。限られた時間の中ですから、自分のやるべきことや家事などをなるべく効率よくできるように努力しようとしています。私の場合はウェディングプランナーをしていたときに、常に15分先、30分先のことを考えておくことが必要だったので、その経験が役に立っていると感じることもあるんです。そのおかげで仕事も家事も段取りよくできていますし、趣味の時間にも没頭できるようになっていますね。

実は2年ほど前からジムに通っていて、JPOPやラテン系のダンスエクササイズにハマっているんです。45分間踊り続けて思いきり汗をかいて、みんなで喋って「また明日ね!」なんて言いながら帰るんですが、もう楽しくて仕方なくて。60〜70代の方が多くて同世代の方は少ないですが、本当にみんなキラキラと輝いているんです。「こんな歳の重ね方ができればいいな」って憧れを抱いてしまうほど。それに私自身の心と体もすごく元気になりますし、楽しみながら人間力も磨けているような気がしますね。

30〜40代のワーキングママは子育てに仕事に忙しい毎日を過ごしていると思いますが、時間やお金を自分自身のために使うことも大切だなと改めて実感しています。ジムの費用がもったいないと感じるか、自分への投資だと思うかは人それぞれですが、私は後者を選択して正解だなと。今得ている体験や喜びは、きっと将来の自分の楽しみにも繋がっていくと思えているので。だからと言うわけではないですが、最近はホットヨガにもハマっていて…。健康になって気持ちいいのはもちろん、そこでかく汗や呼吸法も全て自分のためのものなんです。好きな音楽を聴きながら好きなことに夢中になる、そんな時間はとても贅沢だなって思います。

鈴木先生02

撮影:栗原 康 イラスト:宮城 奈月  文:前出 明弘

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