後編
失敗を恐れず、やってみよう。私が、そばにいるから(後編)
村越 由香さん(埼玉県在住)
大学卒業後、航空会社に勤務。結婚、出産、復職を経て、2013年10月にくもんの先生として教室を開設。常にまずはやってみよう精神を大切にして、自分らしく輝く毎日を過ごしています。
村越さんの後編は、くもんの先生になることを決意したエピソードや生徒さんたちと接する中で感じたことなど、ママの顔とはまた違う一面をクローズアップ。オンライン取材を実施した中で、一人の女性として働くことへの思いをたくさん語っていただきました。
悩んでは諦めて、11年も想い続けた憧れの仕事だった
昔からおっちょこちょいで、計算間違いや小さなミスの多い子だったんです。そんな私を見かねて親に勧められたのが、KUMONでした。小学校5年生から通い始め、中学受験の際もほぼKUMONで培った力だけで合格できました。子どもながらに「公文式ってすごい!」と感じましたし、自分の力に合わせて学年関係なく先へ進んで行ける学習スタイルが自分にマッチしていたんだと思います。
当時お世話になった先生は、本当にほめ上手!いつも私のモチベーションを高めてくれていたので、いつしか「くもんの先生になりたい!」という想いが芽生えていましたね。高校時代からは数学の先生になることを考え始め、大学でも教職課程を履修していましたが、理工学部の学業との両立が難しくなり断念。航空会社に就職しました。でも、頭の片隅には先生になりたい想いが常にある状態で、出産を経験したことでわが子と離れずにできる仕事として、育休中にあらためてくもんの先生が思い浮かんだんです。
すると不思議なもので、くもんの先生の説明会チラシが偶然ポストに入っていて。これも縁だと思って参加してみたものの、その時はまだ踏ん切りがつかず、結局は復職しました。ただ、説明会に参加した人に届く茶話会やイベントへのお誘いが来るたびに参加し、悩んで諦めるという期間が11年も続いたんです(笑)どうしても諦めきれない想いがあったのと、KUMONとの繋がりを維持していたくて。そして、先生になるための試験だけでも受けてみようとチャレンジしたら…、なんと合格!ちょうど仕事で抱えていたプロジェクトもひと段落がついたタイミングで、教室開設のお話もいただけたので、何かに突き動かされるような感覚で数日後には「やります!」とお返事していました。これまでの私を見ていた主人が、ついに来たかというような表情で「実現できて良かったね!」と快く背中を押してくれたのも大きかったですね。
前職時代の経験を生かして、ママたちにも寄り添う
11年間も悩んでは諦めていた年月を経た分、生徒さんたちの成長のお手伝いができることは本当に幸せなことだと実感しました。以前はできなかったことが今日はできるようになったという短期的な成長もうれしいですが、前年と比べてできることが増えたりと、長いスパンで成長に寄り添えるのがこの仕事の醍醐味だと思うんです。顔つきや取り組む姿勢、話し方など、本当に変わりますからね。くもんの先生という立場ですが、気持ち的には親戚のような感覚。だから、学校の先生とはまた一線を画す仕事だなと思っています。
私の場合、前職時代にママ社員の働き方に関するいろんな相談に乗ってきたことも、役に立っています。最近はフルタイムで働くママも多いので、実体験をアドバイスしたり、家庭での宿題の進め方やママの負担を軽減するアイデアをできるだけ具体的に提案しています。働いて家事もして子育てもしてと、ママの大変さを分かっているからこそ、少しでも心を軽くしてあげたいなと。生徒さんの成長を導くだけではなく、ママたちに共感し、支えになることも、同じ経験をしてきた私だからできることなのかなと思います。
教室運営は、終わりのないプロジェクトなのかも
私が運営している教室には、スローガンがあります。それは、「KUMONの学習はいくつからでも、いつからでも、誰でも!」です。子どもたちだけではなく、保護者の方も、おじいちゃんもおばあちゃんも、そして社会人の方にも来てもらえるような教室にしていきたいという想いを込めています。以前、別の教室で80代のおばあちゃんが、お孫さんとハワイに行くために英語を学習していることを知り、本当に素敵だなと感じたので、このスローガンを作りました。人はいくつになっても成長できますし、そのための開かれた環境を作っていきたいですね。
コロナ禍という現状もあったり、教室運営をする上では次から次へと課題も出てきますが、それは目標を持って続けているからこそ。私がくもんの先生を引退するまで、乗り越えるべき課題は尽きることがないと思っています。だから、立ち止まることなく、私自身も教室もどんどんアップデートして進化していきたい。そう考えると、教室運営は終わりのないプロジェクトなものかもしれません。
くもんの先生としての目標を言えば、私が小学生の頃からお世話になった先生のように、子どもたち一人ひとりの存在を丸ごと受け入れられる先生になること。失敗を恐れる子どもたちは多いですが、失敗したって全然いいんです。それも大事な経験ですし、一緒に乗り越える誰かがそばにいることが重要。その誰かが、私でありたいなと。これからもたくさんの子どもたちに寄り添い、成長を支えていきたいと思っています。