成長期の子どもに欠かせない
「カルシウム」の摂り方と「間食」の役割

成長期の子どもに欠かせない 「カルシウム」の摂り方と「間食」の役割

毎日の食事でカルシウムをしっかり摂れていますか?成長期の子どもにとって欠かせないカルシウムの必要摂取量や効率的な摂り方、さらに間食について、日本スポーツ協会・日本栄養士会公認スポーツ栄養士で、管理栄養士でもある河村美樹さんに教えていただきました。

<教えてくれた人>
河村美樹さん
管理栄養士 河村美樹さん

日本スポーツ協会・日本栄養士会公認スポーツ栄養士、管理栄養士。2012年から2019年まで名古屋グランパス管理栄養士として、選手への個人アドバイス、献立調整などを行った。愛知医科大学の非常勤講師も務める。現在はHPCJCスポーツ栄養士として自転車競技の日本代表選手の強化に携わっている。


子どもが1日に必要なカルシウム量とは?

牛乳

丈夫な身体を作るには、バランスよく食べることが食事の基本。とりわけ、身長が伸びるピークを迎える頃(男子は14歳前後、女子は11歳前後)までに意識して欲しいのは「カルシウム」です。カルシウムの働きは、骨や歯を作るだけでなく、筋肉の収縮や細胞分裂にも使われます。そのため、背が伸びたり、身体が大きくなる成長期には不可欠なのです。

とはいえ、たくさんカルシウムを摂ることで背が伸びるというわけではありません。この時期に不足してしまうと発育・発達に影響がでてしまう可能性があると捉えておきましょう。

では、子どもは1日にどれくらいのカルシウムを摂ればいいのでしょうか?

カルシウム 食事摂取基準表
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

上記のカルシウム摂取推奨量を見ると、一番多いのが12~14歳で男性は1日に1000mg、女性は800mgと、大人よりも多く摂る必要があることがわかります。女子の場合は男子に比べて成長が早いので、8~9歳でも大人の女性以上のカルシウム摂取が推奨されています。
カルシウムは、日本人全体で見ても不足しがちな栄養素なので、積極的に摂るように心がけましょう。

カルシウムを効率よく摂る食材とレシピ例

カルシウム 食材

カルシウムといえば牛乳をイメージする方もいるのではないでしょうか。

カルシウムが多い食品表
※参考:文部科学省日本食品標準成分表(八訂)、数値は小数点以下切り上げ

上記は、カルシウムが多い食品をまとめたものです。
上記の表からもわかるように、カルシウムは乳製品に多く含まれています。カルシウムは身体に吸収しづらい栄養素と言われているものの、乳製品に含まれるカルシウムは、他の食品に比べて吸収率が高いのが特長です。

とくに牛乳には、1杯(210g)で231mgものカルシウムが含まれ、乳糖などカルシウムの吸収を助ける栄養素も入っています。カルシウムはミネラルの一つであるリンと2対1の割合で摂ると吸収がいいと言われ、牛乳にはカルシウムとリンがその割合で入っているのです。

一方、「牛乳は脂肪をとりすぎてしまうのでは?」と思う方もいるかもしれません。確かに牛乳には脂肪が多く含まれているものもあるので、気になるようであれば低脂肪乳を選ぶといいでしょう。カルシウムの量は牛乳と低脂肪乳で差はありません。

野菜の中では、ほうれん草や小松菜、ブロッコリー、春菊など色の濃い緑色の野菜にカルシウムが多く含まれています。中でもおすすすめは、小松菜です。比較的安価で、通年手に入りやすく、炒めたり和えたりスムージーにしたりと、様々な料理に使えるからです。牛乳が体質的に合わない場合は、小松菜などの野菜類や大豆製品、魚類を積極的に摂るといいでしょう。

手軽にできる小松菜を使ったレシピがこちら。

小松菜とツナのグラタン

カルシウムを効率よく摂るレシピ 小松菜とツナのグラタン

<材料(1人前)>
・小松菜…80g
・しめじ…1/5袋(20g)
・水煮ツナ…1/2缶
・クリームソース
ホワイトソース…120g
牛乳…100ml
コンソメ顆粒…小さじ1
・塩、こしょう…適量
・バター…10g
・ピザ用チーズ…お好みの量

<作り方>
①小松菜は根元を切り落とし、3cm幅に切る。しめじは石づきを除き、手でばらばらにしておく。ツナは水気を切っておく。
②中火に熱したフライパンにバターを入れ、①のしめじと小松菜の茎を入れてしんなりするまで炒めたら、小松菜の葉とツナを加えてさらに炒める。
③クリームソースの材料を入れたら手早く混ぜ、ひと煮立ちしたら弱火にし、とろみが出るまで煮込む。
④火を止めて耐熱皿に盛りつけ、ピザ用チーズを散らし、トースターまたはオーブンでチーズが溶けて焼き色がつくまで5分程焼く。

小松菜入りスムージー

カルシウムを効率よく摂るレシピ 小松菜入りスムージー

<材料(コップ2杯分)>
・小松菜の葉…1束分
・グリーンキウイ…1/3個
・バナナ…小1本
・ヨーグルトドリンク(低糖)…200ml
・氷…お好みで

<作り方>
ミキサーにキウイとバナナをつぶしながら入れ、小松菜の葉をちぎって入れる。ヨーグルトドリンク、好みで氷を入れてミキサーのスイッチを入れる。


骨を強くするためには、ビタミンCやビタミンDも大事

スポーツに打ち込んでいる子どもは、運動をしていない子どもよりも骨折などのケガが起こる機会が多いと言えます。カルシウム不足や栄養が偏っていると、骨折などのケガをした際、治りが遅くなる可能性があるので、日頃からバランスのいい食事に加え、カルシウムを不足しないように摂ることが大切。
また、骨を強くするためには、カルシウムだけでなく、ビタミンCやビタミンDも重要です。ビタミンCは骨の成分コラーゲンを生成するのに必要で、ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあるからです。

ビタミンCは加熱に弱いので、グレープフルーツやキウイ、イチゴなどのフルーツから摂るといいでしょう。ビタミンDは、鮭やぶり、しらす、さんま、カレイ、しいたけなどに多く含まれています。手軽な鮭フレークを活用するのもおすすめです。

上記に加え、納豆やブロッコリーに豊富に含まれているビタミンKも骨の形成を助ける働きがあります。


子どもの「間食」の役割について知っておこう

子どもの間食

子どもにとって間食は、「補食」という考え方がメインになります。
子どもは消化機能が十分発達していないので、一度にたくさん食べることができません。そのため、3食でまかなえない栄養を間食で補うことが大切です。
保育園でおやつの時間があるのもそのためです。

子どもの間食には、砂糖や油がたっぷり含まれている菓子類よりも、ヨーグルトや果物、芋類など、ビタミンやミネラル、カルシウムが摂れるものがいいでしょう。

お菓子は食べてはいけないわけではなく、食べる分量を決めることが重要です。例えば、スナック菓子なら両手にのる分だけ、個包装なら1袋など、決めて摂ること。お菓子を食べることで、その後の食事が食べられないことのないよう気をつけましょう。

スポーツをしている子どもにとって、間食は栄養を補うだけでなく、運動をした後に摂ることで、身体の回復がしやすくなります。おにぎりやパン、果物などエネルギー補給ができるものを中心に摂るといいでしょう。おすすめは、熟しているバナナ。熟しているほうがより消化が早く、すぐにエネルギー源になるからです。疲れている時は、クエン酸が豊富に含まれている柑橘系の果物や梅干しをプラスするといいでしょう。コンビニの梅干し入りおにぎりでもかまいません。運動後は消化機能が落ちていたり、食欲がない場合もあるので、オレンジジュースやゼリー飲料などで糖質を補給してから、消化のよいものを摂ることです。

また、練習が夜遅くまである場合は、練習前にも間食を摂るといいでしょう。空腹の状態でトレーニングをしてしまうと、エネルギー不足になり筋肉がつきづらくなったり、集中力が低下してしまうこともあるからです。スポーツに打ち込んでいる子は3食にこだわらず、間食を上手く使って1日分の栄養を摂るように心がけましょう。

気をつけてほしいのは、運動するまで1時間程しかないのに、唐揚げなど油っこい物を食べてしまうと、お腹に溜まり、腹痛を起こしてしまうことも。運動するまでに時間がない時は、おにぎりやシンプルなパン、うどんなど消化のよいものを選びましょう。


子どもにとって必要な一日のエネルギー量とは?

大人の場合、あまり動かなった時は食事を減らしたりするものですが、子どもは動いていない時でも、しっかり食べてエネルギーを補うことが大切です。
では、子どもはどのくらいのエネルギー量が必要なのでしょうか。

推定エネルギー必要量(kcal/日)

子ども 一日に必要なエネルギー量 表
※この値は平均的な身長・体重を基にしたものであり、体格によって必要量は異なります
※身体活動レベル1/Ⅰ(低い):生活の大部分が座位で静的な活動が中心の場合、Ⅱ(ふつう):座位中心の仕事だが職場内での移動や立位での作業接客等、あるいは通勤、買い物、家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合、Ⅲ(高い):移動や立位の多い仕事への従事者、あるいはスポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586556.pdf

上記の表で、例えば男性を見てみると、幼児期は大人の半分程度、小学生になると徐々に増え、中学年では大人の女性と同じくらい、高学年になると大人の男性と変わらない程のカロリーが必要になってきます。子どもの食事は、大人が食べている量を少なくすればいいと思っていると、エネルギーが足りていない場合も。子どもの健やかな成長のために、まずは必要なエネルギーをしっかり摂るように心がけましょう。


いかがでしたか?今回は、子どもの成長に欠かせないカルシウムの必要摂取量や効率的な摂り方、さらに間食についてお届けしました。日々の生活の中で、できることから取り入れてみてくださいね。

取材・文:サカママ編集部 取材協力:河村美樹(日本スポーツ協会・日本栄養士会公認スポーツ栄養士、管理栄養士)

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