子どもに栄養満点な朝ごはんを食べさせたいと思っても、忙しい朝は簡単なメニューになりがちではないでしょうか。そこで、サッカーキッズとママを「食」でサポートしている永田綾子さんに、手軽に栄養が摂れる方法や朝ごはんに便利なレシピについて教えていただきました。
<教えてくれた人>
永田綾子さん
SOLEIL support club代表。サッカーチームやスクールでの栄養指導や遺伝子検査で、多くのサッカー選手や家族を食でサポートしている。
子どもの朝ごはんで大事なのは「水分、糖質、たんぱく質」
朝ごはんに、何を食べていますか?
トーストだけ、ふりかけごはん1杯のように単品のメニューでは、朝ごはんを食べたとはいえ、元気のもとにはなりません。
朝ごはんでエネルギーを補給するために意識してほしいのは「水分、糖質、たんぱく質」です。朝起きた身体の中は、空っぽに近い状態なので水分が必要ですし、脳にエネルギーを与えるために、糖質は欠かせません。
そして、とくに大事なのがたんぱく質です。
成長期の子どもにとって、たんぱく質は欠かせない栄養素であり、朝、たんぱく質を補うことで、寝ている間に下がっていた体温が上がり代謝量もアップします。
また、朝ごはんにたんぱく質を摂取すれば、睡眠に影響を与えるホルモン「セロトニン」が作られるので、質のよい睡眠にもつながります。ぐっすり眠れば朝の目覚めもよくなり、食欲もわいてくるでしょう。
手軽にたんぱく質を摂る方法
たんぱく質は、魚や肉、卵、大豆、乳製品などに多く含まれています。そのため、朝ごはんには卵料理が最適です。朝からフライパンを使いたくないのであれば、ゆで卵で十分ですし、前日にゆで卵を作っておけば、そのまま出すだけでいいので時短にもなりますよね。
また、日頃から、納豆、かまぼこ、ちくわ、しらす、魚肉ソーセージなどを常備しておくのがおすすめです。これらは、そのまま出すだけでたんぱく質が補えるので、時間がない朝には打ってつけです。ちくわや魚肉ソーセージなら、子どもも冷蔵庫から出してそのまま食べられるので便利ですね。
水分はもちろん、ビタミンやミネラルも手軽に摂れる果物も朝ごはんにプラスするといいでしょう。忙しくて果物を切る時間もない・・・という時には、包丁を使わずに食べられるバナナやブドウを出したり、スーパーやコンビニで売っている冷凍フルーツを活用するのも一つの方法です。
果物が苦手な子どもには、ヨーグルトに果物とはちみつをプラスしてフルーツヨーグルトにしてあげるといいでしょう。
はちみつは、速効性のあるエネルギー源なので、朝ごはんには最適です。
朝ごはんがどうしても食べられない子には、野菜や果物をスムージーにしてあげるといいでしょう。
朝ごはんはパンとごはん、どっちがいい?
朝はパン派という方も多いですよね。
パンは、それほど噛まなくても食べやすいので、朝ごはんにパンを好む子どもは、胃が疲れていたり、お腹がそれほど空いていない場合もあるでしょう。朝から食欲がある子は、ごはんを好む場合が多いです。
朝ごはんはエネルギー源なので、できればパンよりごはんのほうがベターです。
ごはんはおかず作りが大変だと思いがちですが、ごはん、納豆、ゆで卵、味噌汁のような組み合わせで十分ですし、先に挙げたかまぼこやちくわなら、そのまま出せばいいのです。
味噌汁を作るのが面倒であれば、前日の夕飯に多めに作っておいて、残りを朝ごはんに出すのでもかまいません。お椀に味噌とだし、乾物を入れてお湯を注げば、火を使わず簡単に作ることもできます。洗いものを減らしたい場合は、ワンプレートにまとめたり、おかずをのせて丼にするといいでしょう。
朝ごはんがパンの方は、可能な日はごはんにすることをおすすめします。
小麦製品は身体を冷やす食材なので、2食続くのは避けたほうがいいですし、依存性が高いのでパンばかり食べていると、さらにパンが食べたくなってしまいます。
また、パンの時は、しらすやチーズをのせてトーストにしたり、ロールパンにウィンナーとレタスを挟んで、ゆで卵をプラスするなど、たんぱく質が摂れる組み合わせにすることを心がけましょう。
ごはん、パン、どちらの場合も、単品メニューにならないことが重要です。
朝ごはんの量の目安は?
子どもの朝ごはんは、どれくらいの量を食べさせればいいの?と気になる方もいるかもしれません。
子どもはそれぞれ体格も違いますし、消化吸収能力やスポーツをしているかどうかによっても、食事の量は異なります。
目安にするのであれば、給食の量を参考にするといいでしょう。給食は1日に必要な栄養素のうち3分の1が摂れるように作られているので、朝ごはんも給食と同じくらいの量が食べられるといいのではないでしょうか。
ただ、日によって食欲がある日とない日があると思うので、量はそれほど気にせず、食べたい量を食べるのがイチバンです。また、高学年になるにつれて、この量だとお昼までもたないなど、子ども自身で朝ごはんの量をコントロールできるようになっていくものです。
なお、食が細い子は、どうしても量が食べられないので、同じ量のごはんでも茶碗で出すより、小さなおにぎりなどにして、見た目の量を減らしてあげるといいでしょう。
ごはんにもパンにも活用できる朝食メニュー「肉そぼろ」
ごはんにもパンにも活用できる、便利で簡単なレシピが「肉そぼろ」です。
【簡単!すぐできる!肉そぼろ】
<材料>
・合いびき肉…200g
・ミックスベジタブル…200g
・塩、コショウ…適量
<作り方>
フライパンに材料をすべて入れて炒めるだけ!
ごはんにはそのままのせて、食パンには、肉そぼろとしらす、ケチャップ、ピザチーズをのせて焼けば、不足しがちな魚もとれる「そぼろトースト」が簡単に作れます。
時間がある時に、玉ねぎとにんじんをみじん切りにして冷凍しておいて、ミックスベジタブルの代わりに使うのもいいでしょう。
下記が、写真のごはんプレートのメニューです。
・そぼろごはん
・ゆで卵
・きなことはちみつがけバナナ&りんご
・トマトツナ和え(カットしたトマトとツナをあえるだけ)
・味噌汁(春雨、乾燥ワカメ、ねぎ、味噌、だしを入れてお湯を注げばOK)
・オレンジジュース
メニューはたくさんあるものの、どれも簡単なものばかりです。ごはんの場合もワンプレートにのせると、子どもは茶碗で出すよりも食べてくれはずです。ぜひ、このプレートを参考につくってみてください。
朝ごはんは、毎日のこと。家事、子育て、仕事と、1日があっという間に過ぎるほど大忙しの中で、バランスを考えた食事作りは決してラクではありません。時には自分に甘い日があってもいいと思います。子どもの健やかな成長のためには、親御さんの健康が何よりも大切です。
前編「忙しい朝のイライラが減る! 子どもが朝ごはんを食べないときの対処法とは?」はこちら