サッカー元日本代表 鈴木啓太さんに聞いた
「免疫と腸内環境との関係」とは?

サッカー元日本代表 鈴木啓太さんに聞いた「免疫と腸内環境との関係」とは?

サッカー元日本代表の鈴木啓太さんは、現役引退後、腸内細菌に関わる研究を続け、腸内環境からアスリートをサポートしています。腸の専門家でもある鈴木さんに、免疫と腸内環境との関係を伺いました。

サッカー元日本代表 鈴木啓太さん

鈴木啓太さん

サッカー元日本代表、AuB(オーブ)株式会社代表取締役社長。腸内細菌の研究からアスリートをサポートする事業を中心に行っている。


腸は栄養素を吸収する土台
免疫機能の7~8割が“腸”にある!

日々、お子さんのために食事や栄養のことに気を配っていらっしゃると思うのですが、腸内環境について意識されているでしょうか?
実は人の臓器の中でも腸はとても重要なのです。というのも、腸は栄養素を吸収する土台。腸内環境がよければ、栄養素の吸収率がよく、しっかり摂り込むことができるからです。

また、免疫機能の7~8割が“腸”にあると言われています。そのため、腸内環境をよくすることが、免疫力を高めることにもつながるのです。腸内環境は人それぞれ違うものの、腸内細菌(腸の中にいる細菌)の数が多く、いろいろな種類がいたほうがよいと言われています。

以前、研究の中で、免疫力と腸の相関性を調べたことがあるんです。免疫力を測る一つの指標に、血液中のNK 細胞活性値を調べる方法があり、とある大学生アスリートチームの60名程を対象に「高強度の練習」「普通の練習」「軽い練習」後の数値を継続して測りました。

すると、高強度の練習をした後は、NK細胞活性値と腸内細菌の多様性(種類や数)がともに低下。けれど、ヨーグルトなど腸に働きかける食事を摂ってもらうと、数値が定位置に戻るという結果になりました。つまり、免疫機能の働きと腸の働きは、つながっていると言えるのです。


腸内細菌の役割とは?

腸内細菌の役割 サッカー元日本代表 鈴木啓太さん

腸内には100~500兆個(重さにすると1.5~2kg)の腸内細菌がすんでいて、
・消化、吸収、排便の促進
・免疫機能の調整
・感染予防
・エネルギー、ビタミン類産生
・セロトニン(幸せホルモン)産生
・短鎖脂肪酸産生
などの役割があります。腸内環境が整えば腸内細菌が増えて活発になり、これらの働きがより高まるようになるのです。

また、腸内細菌は肌やストレスにも関係するので、ママたちも腸を整えることを意識するといいでしょう。


腸内細菌を増やす方法

きのこの味噌汁

腸内細菌を増やすためには、2つポイントがあります。1つは、ヨーグルト、納豆、キムチなどから生きた菌を摂ることです。もう1つは、腸内細菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を摂ること。この2つを摂ることが、腸内細菌にとって大事だと言われています。

ちなみに日本の伝統的な食文化の中には、菌を育てたり、摂り込むような食材が多いのも特徴です。ですので、味噌汁を積極的に摂ったり、白米の中にもち麦を加えたりするといいと思います。とくに、きのこを食べると「免疫力を調整する役割をもつとされる菌が増加」という結果が得られました。そのため、きのこの味噌汁は身体を温め、腸内環境を整える免疫力向上メニューと言えるでしょう。

僕自身は、子どもの頃から、できるだけ冷たいものを摂らないようにして、食後には必ず温かいお茶を飲むようにしていました。それは今でも続けています。免疫機能が一番働くのが37度前後だと言われているので、温かい食事を摂り入れてお腹を温めることも意識してほしいと思います。

腸内環境を整えていれば感染症予防にも!

お子さんの体調が悪いと、すぐに薬に頼ってしまう……というママも多いのではないでしょうか。

でも、日頃から腸内環境を整えていれば、風邪や感染症予防にもつながるのです。風邪をひいて病院に行くとすぐに抗生物質が処方されるケースもあるかと思います。ただ、抗生物質を使用すると腸内細菌(良い菌、悪い菌を含め)まで殺されてしまうので、結果的に腸内環境のバランスが崩れてしまうことも。薬も適正な使い方をしたいですね。


便は自分からの“お便り”
「どんなウンチだった?」と聞くことが大事

みなさんは、自分の便をみていますか? 便の形状や色をみれば、腸内環境が整っているかがわかり、健康のバロメーターにもなりますよね。つまり「便は自分からの“お便り”」なんです。

便の状態チェック表

上記の表は便の状態を7段階に分けたもの。腸内環境が整っていれば、③~⑤(下記図)のような便がでるはずですし、また「スッキリした!」という感覚も大事です。

ですので、日頃からお子さんに「どんなウンチだった?」と聞くことが大切。悪い便がでたと言った時は「昨日、何を食べていたかな?」と今一度思い返してみてください。そうすると、何が身体に合わないのかなど次第に傾向がわかっていくように。また、どういった食材が足りてないかなども気づくようになり、子どもの体調管理にもつながっていくのです。

取材・文/サカママ編集部

この記事のタグ

あわせて読みたい

前へ
次へ

新着記事

前へ
次へ