日々、子どもの食事に「補食」を摂り入れていますか?スポーツや勉強を頑張っている子にとって、とりわけ補食は重要です。そこで補食に摂り入れたい食べものや常備しておくと便利な食材、簡単に栄養補給ができる補食レシピを、サッカーキッズとママを「食」でサポートしている永田綾子さんに伺いました。
<教えてくれた人>
永田綾子さん
SOLEIL support club代表。サッカーチームやスクールでの栄養指導や遺伝子検査で、多くのサッカー選手や家族を食でサポートしている。
子どもの補食。回数や必要な量は?
補食とは、1日3度の食を補うために摂る食事のこと。成長期の子どもは、朝・昼・夜の食事だけでは必要なエネルギー量や栄養素を摂りきれないため、補食は不可欠です。
分食(食事を分けて摂ること)することで、栄養素はより身体に吸収されると言われていることから、補食は午前と午後に分けて摂るのが理想的。休日はできるだけ午前と午後、2回に分けて補食を摂り入れるように心がけましょう。少食の子どもの場合、朝食をしっかり食べることができなくても、午前中に補食を摂ればその分を補え、夏休みなど長期の休みの間、午前と午後に補食を摂れば、身体を大きくすることにもつながります。
「補食は、どれくらい摂ればいいの?」と気になる保護者もいるのではないでしょうか。
子どもの成長に伴う1日のエネルギー必要量は、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に記されています。ただし、同じ年齢であっても体格の差やスポーツをしているかどうかなどの活動量によりエネルギー必要量は変わってくるもの。そのため、カロリーを気にして無理に補食を摂らせたり、高カロリーなもので補おうとしなくても大丈夫。上記の基準は、あくまでも目安として頭に入れておく程度でいいでしょう。大事なのは、補食の量やカロリーよりも「何を摂るか(中身)」です。
補食で摂りたい、たんぱく質と糖質。手軽で便利な食材は?
補食で心がけたいのは、エネルギー源になるたんぱく質や糖質を摂ること。1食の中で、ごはん、味噌汁、野菜、魚・肉などのたんぱく質、果物や乳製品を揃えるのは大変なので、果物や乳製品は、補食にまわすといいでしょう。また、じゃがいもやさつまいも、かぼちゃを使ったおかずを出すと、子どもはすぐ満腹になってしまいがち。そのため、いも類やかぼちゃは、補食で出すのがおすすめです。じゃがいもをレンチンし、塩とバターを加えて「じゃがバター」にすれば、それだけでたんぱく質や糖質、ビタミン類も補えます。
「補食に、お菓子は出さない」など神経質になってしまうと、子どもはその反動により、友だちの家でお菓子をたくさん食べていたりなど悪循環になるケースも。お菓子が好きな子には、子どもが食べたいというものに、小さなおにぎりなどの食事をプラスしてあげるといいでしょう。
補食として常備しておくと便利な食材は、ちくわやかまぼこ、魚肉ソーセージなどの練り製品です。たんぱく質が摂れ、そのまま食べることができるので、冷蔵庫に常備しておけば、子どもも自ら食べることができるはず。ビタミンやミネラルなどが摂れるドライフルーツやナッツ、カルシムが豊富な小魚もおすすめです。これらはしっかり噛むことが必要になるので、脳の刺激にも。スポーツを頑張っている子どもは、噛む力がつくとプレー中に踏ん張る力が養われ、パフォーマンスアップにつながると言われています。
たんぱく質が豊富で噛む力がつく「あたりめ」も、補食に活用してほしい食べ物の一つです。あたりめは、いかと塩でシンプルに作られ、その多くが無添加。子どもの頃に添加物を多く含むものや濃い味に慣れてしまうと、素材そのものの味を感じなくなってしまうこともあります。添加物の少ないものを摂り入れるように心がけるといいでしょう。
3度の食事で、魚はどうしても不足しがちです。練り製品や小魚、あたりめなどを補食にすれば、しっかりと補うことができるのです。
勉強する前には、枝豆(冷凍でも可)、しらす、炒り卵を混ぜ込んだおにぎりもおすすめです。たんぱく質とカルシウム、さらにレシチンも摂れるからです。レシチンは栄養素の中でも、記憶力や学習力の向上につながると言われ、卵黄や大豆製品、小魚、レバーなどに豊富に含まれています。
おにぎりを作るにときに使う塩。塩を選ぶ際、成分表をチェックしていますか?
塩には99%が塩化ナトリウムの精製塩と、ミネラルやマグネシウム、カルシウムなど栄養素を含んだものがあります。栄養素入りの塩は精製塩と比べるとやや値段は上がるものの、不足しがちなミネラルやマグネシウムなどが補えるので、ぜひ活用を。おにぎりを握る、魚・肉を焼く時にミネラルやマグネシウム入りの塩を使えば、より栄養素が摂れる一品に仕上がります。また、ミネラル入りの塩はほんのり甘いので、濃くなりがちな料理の味を抑えるのにも役立ちます。
スポーツをしている子、学習塾に通っている子の補食で大事なことは?
スポーツをしている子どもは、補食を摂るタイミングが大切。練習に行く前に、炭水化物中心の補食を摂ってエネルギーを補いましょう。練習前におすすめの補食は、お餅。腹持ちがよく、きな粉を加えれば、体内の代謝を促すビタミンB群やミネラルも補えます。糖質も欠かせませんが、食べ物により消化吸収の時間に差があるため、何を摂るかが重要です。練習前は、消化が早い果物で糖質を摂るといいでしょう。また、脂っこいものは消化に時間がかかってしまうので避けるように。
運動後は、成長ホルモンの分泌が多いため、この時に身体が枯渇した状態でいるとエネルギー不足になって疲労回復に時間がかかってしまい、身体が大きくなっていかないことにも。運動後は、たんぱく質と糖質に加え、疲労回復につながるビタミンも補うようにしましょう。
勉強をすると頭を使い、エネルギーを消費するため、学習塾に通っている子どもの補食の摂り方も先の内容と同様です。学習塾に行く前、手軽に糖質を摂ろうとして、甘いジュースや菓子パンのみにしてしまうと、食後に血糖値が急激に上がりその後急激に下がる血糖値スパイクを起こしやすくなり、集中力の低下や眠気、またイライラしやすくなってしまいます。
補食に最適のおにぎり。栄養をアップさせるコツ
習い事に行く前などの補食で大活躍するのは、なんといってもエネルギー源になるおにぎり。おにぎりの具は、たんぱく質が摂れる鮭が打ってつけです。ただ、鮭ばかり続いてしまうと子どもも飽きてしまうため、おすすめは手づくりの鮭フレーク。テフロン加工のフライパンに鮭の切り身を並べて、フライ返しで皮ごとほぐしながら焼くだけです。骨は最初にとり、残っていても火が通っていくと簡単にとれるので大丈夫。鮭フレークをごはんに混ぜておにぎりにするのはもちろん、ごまやしらすを加えればより栄養価もアッア。また、鮭フレークをつくる時に、エリンギやシメジなどきのこ類を細かく刻んで一緒に炒め、ほんの少しニンニクと醤油を加えてアレンジするのもおすすめです。きのこが苦手な子どもも気づかずに食べてくれるでしょう。
鮭と同様に、たらこもフライパンで焼いてフレークにしておくと便利。皮が気になれば、火が通った後、取り除くといいでしょう。たらこには、たんぱく質やビタミンBが豊富に含まれています。
たんぱく質がしっかり摂れるうずらの卵もおにぎりの具におすすめの食材です。ゆでたうずらの卵をめんつゆに1時間程漬けておくとしっかり濃い味付けに。急ぎの時は30分程度でもOKです。うずらの水煮を使えばより簡単に作れます。
子どもの補食におすすめの軽食&おやつレシピ3選
余ったごはんで簡単補食!「五平餅」
余ったごはんで簡単に作れる「五平餅」。甘じょっぱい程度の味にすると、子ども好みに。
<材料>
・ごはん…適量
・みそ…大さじ1~2
・砂糖…小さじ2~3
・すりごま…適量(お好みで)
・ナッツ…適量(お好みで)
<作り方>
1. ジップロック(または食品保存袋)に炊いたごはんを入れ、上からめん棒でつぶす。軽くつぶれる程度でOK.
2.1をジップロック(または食品保存袋)から取り出し、丸めて、ホイルを敷いたトースターに並べる。
3.みそ、砂糖、すりごまを混ぜ合わせて味を調え、2の表面にべったり塗り、軽く焦げ目がつく程度に焼く。お好みで、すりごまやナッツを加える。
POINT!
ごはんを丸めるときの大きさや薄さはお好みでOK。食欲がない日の朝食にも!
豆乳が苦手な子にもおすすめ「豆乳プリン」
シンプルな材料で作る「豆乳プリン」は、豆乳が苦手な子にもおすすめ。バニラアイスをのせてパフェ風に、しっかり食べる補食にしたいときは、白玉やバナナをプラス。
<材料>
・豆乳…300ml
・砂糖…適量
・粉ゼラチン…5g程度(箱に記してある分量)
・黒蜜…適量
・きな粉…適量(お好みで)
<作り方>
1. ボウルに豆乳、砂糖を入れて混ぜて80度程に温め、粉ゼラチンを入れてよく混ぜ溶かす。
2.ゼリー容器などに1を流し入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
3.2に黒蜜ときな粉をかける。
POINT!
固めのプリンにしたい時は、豆乳を250mlに。黒蜜が苦手な場合、ハチミツやジャムを加えるといいでしょう。豆乳をバットに流し込んで冷やし固め、食べるときに分けてもOK!
「骨貯金」って、聞いたことありますか?
子どものときに、どれだけカルシウムを体内にためておけたかで、将来の身体は変わっていくものです。補食にカルシウムを摂り入れることを意識して、子どもの骨貯金を増やしましょう。
たんぱく質&カルシウムが摂れる「肉みそ」
習い事や学童にお弁当を持参することがある場合、簡単に栄養補給できるのが「肉みそ」です。挽き肉だけで作るのではなく、しらすを加えることで、たんぱく質とカルシウムが補えます。
[肉みそ]
<材料>
・合い挽き肉…250g
・しらす…30g
・玉ねぎ…1個
・舞茸(他のきのこでもOK)…1パック
・塩胡椒、、みりん、にんにく(すりおろす)、赤みそ、しょうゆ、すりごま…適量
<作り方>
1.玉ねぎ、舞茸をみじん切りにする。
2.合い挽き肉と1 をフライパンに入れて、塩胡椒、みりん、にんにくを入れて炒める。
3.火が通ったら赤みそ、しょうゆを入れる。味見をしながら、少し濃いと感じる程度に調える。
4.最後にすりごまをかける。
上記のレシピでは、赤みそを使用していますが、お好みのみそで作ることができ、みそをケチャップに代えればオムライス風、カレーパウダーに代えるとキーマカレーに。また、舞茸の代わりにえのきを使うと、とろみのある肉みそに仕上がります。
朝夕の忙しい時間帯につくるお弁当は、丼スタイルにするのもおすすめです。
ごはんの上に肉みそ、炒り卵を一緒にのせると、さらにたんぱく質がアップ。卵黄には先に述べたようにレシチンが含まれるので学習能力向上も期待できるでしょう。
また、勉強をする時のお弁当には、しっかり噛むメニューを加えてあげると脳に刺激がいき、集中力アップにも!
補食をコンビニで買う場合は、鮭おにぎり、パックの野菜ジュースまたは豆乳、ゆで卵、果物を選ぶといいでしょう。果物は、生菓子が置いてあるコーナーに並んでいる、カップに入っているものが便利です。