前編

子どもたちの伝えたいことを
全身全霊で受け止める

北川 愛美さん(愛知県在住)

くもんの先生インタビュー 北川先生

小学2年生の長男と年中の次男をもつママ。日々の小さな楽しみを自分で生み出しながら、子育てと仕事を上手に両立中。13年間勤めた保育士を経て、2020年9月にくもんの先生に。

今回の私らしく働くママへのインタビューは、保育士からくもんの先生となった北川さん。たくさんの子どもたちと接してきたからこそ大切にしたいと感じた子育ての瞬間やわが子との関わり方、両立のポイントなど、たっぷりお話いただきました。

くもんの先生インタビュー 北川先生02

振り返った時に後悔したくないから、
わが子と過ごす時間を増やそうと思った

高校生の頃から、将来は保育士になりたいと思っていたんです。実は、私の母がくもんの先生をしていたので子どもたちの存在が近くにあり、可愛さや素直さ、ストレートな優しさに触れる機会が何度もありました。そんな体験から「子どもたちからたくさんのことを学びたい!」と思ったのが理由です。育休期間も含めると、13年間に渡って保育士として働いていました。0〜5歳の間は本当に小さな成長がいっぱいで、その瞬間を間近で見られることはもちろん、保護者の方々と喜びを分かち合えるのが何よりもうれしかったですね。

また、私自身も出産と子育てを経験したことで、フルタイムで働きながら子育てを両立しているママさんたちの気持ちが一段と分かるようになりました。例えば忘れ物をしたとしても「全然大丈夫です!いつもお疲れ様です」と寛容になれましたし、子育ての悩みや葛藤も自分のことのように思えるように。共感という部分では、出産前よりもさらに保護者の方々に近くなったと思います。

ただ、私も子育て真っ最中の身になると、たくさんの葛藤があったんです。いつも慌ただしくてわが子の成長の日々を振り返ることもできませんでしたし、わが子が病気で体調を崩しても100%心配できなくて…。すぐ仕事のことを考え、休むなら誰に交代を頼もうかなと思ってしまう。それに、子どもって行事やイベントの度に成長していくんですが、肝心のわが子の成長の瞬間はほとんど見ることができませんでした。主人が撮影してくれた発表会のビデオを夜に見て、わんわん泣いてしまったこともあって…。自分で選んだ道で、一生続けようと思っていた仕事でしたが、親になって「わが子の成長を見逃したくない!」という気持ちになってしまったんです。振り返った時に後悔が大きくなったらどうしようと不安になって、長男が小学校に入学するタイミングで保育士の仕事は卒業し、子どもと過ごす時間を増やそうと決心しました。

くもんの先生インタビュー 北川先生09

「いつでも聞いてもらえる!」と
感じられる雰囲気や空気づくりを

退職後は子育てに専念するつもりでしたが、母から「くもんの先生にも向いていると思うよ」と言われたんです。自分では思ってもいませんでしたが、「そうなのかな!?やってみるのもいいかな?」と前向きに思うようになり、ちょうどわが子が通う学校の校区内で新規開設するというお話もあったので、長男が小学1年生になった2020年9月にくもんの先生として働き始めました。元々ずっと家にはこもれない性格でしたし、通学路の途中に教室を開けるというお話だったので、「ここならわが子も帰宅途中に教室に通える!」と思えたのも大きな決め手でしたね。

くもんの先生は保育士の仕事と比べて時間にゆとりが持てるので、子育てにおいてもこれまでできなかったことをしようと思いました。バタバタしていた頃は、子どもたちの話をちゃんと聞いてあげることができていなかったかもしれません。「ねぇ聞いて」と言われてもないがしろにしていたかもしれず、しっかりと向き合えていなかったなと。その反省もあって今は、自分の気持ちをちゃんと伝えられる人になってほしいからこそ、伝えたい意志がある時は全身全霊で聞くようにしています。子どもたちにとって「いつでも聞いてもらえる!見てもらえる!」と感じられる、そんな雰囲気や空気づくりを大切にしたい。それが、子どもと過ごす時の私のルールですね。

人生は楽しいことばかりじゃないですし、悲しいこと、辛いこともこの先どんどん訪れるはず。そんな時、楽しいことはもちろんですが、「困ってる」「ちょっと助けてほしい」と正直に言えるようになってもらいたいからこそ、親としては子どもたちがいつでも話せる環境を整えておきたいと思っています。また、子どもが自分で考えた意見や言葉を頭ごなしに否定しないのも守っておきたいことです。大人が先回りして答えを出すようになると、自分で考えなくなってしまいますからね。

完璧を求めない。スキマ時間を上手に使う。
これが、両立のポイント

仕事と子育てを両立する上でのポイントを挙げるとすれば、まずは完璧を求めないこと。これは、4年半の育休が終わって保育士に復職する時に先輩から教わったものなんです。4年半も子育てに専念していたので、復職してからの両立が不安だと打ち明けると「家事は完璧主義になったらダメ!完璧になると、アレもコレもできていないという風に、常にマイナス面に目がいくようになる。だから、今日はコレだけと決めてやればいい。まぁ、いいかと思えばいい」と言ってもらえて。その言葉を聞いて、なんだかすごくスッキリしたのを覚えています。

今は時間的に余裕もありますが、完璧を求めないスタイルは継続中(笑)。掃除は土日にまとめてしたり、家電の機能にもしっかり頼ったりしながらですね。でも、量より質だと考えて、できる時にとことんするようにしています。料理も同様で、これまでは平日に揚げ物を作るのがとても億劫でしたが、気持ちにも少し余裕が生まれているので子どもたちのリクエストに応えながらという感じです。中でも「ヒレカツが大好き!」と言ってくれるので、作る喜びも感じていますね。ただ、一番好きなのは義母が作るクリームシチューだそう。教室がある日の晩ごはんは義母にお願いしているので、その時によく食べているみたいです。ちょっと悔しさもありますけど…(笑)。とは言え、そうした義母の味を知っていることも、素敵な思い出になるなと思っています。

また、両立のポイントとしてもう一つ挙げるなら、スキマ時間を上手に使うことですね。くもんの先生の仕事は時間のやりくりを自分でできるため、子どもとの時間や学校の行事、習い事の送迎など、やるべきことに優先順位をつけてスケジューリングすることができます。私の場合はそのスケジュールの中に生まれたスキマ時間も大切にして、やりたいことをどんどん詰め込んでいるんです。毎日鬼ごっこなどをしていた保育士時代と比べて体力の低下を感じているので、最近はスキマ時間を活かしてジムにも通い始めました。他には子どもの服を見に行ったり、友人とランチに出かけたり、そんな小さな楽しみを自分で生み出していくと、仕事と子育ての両立もストレスなくできると思います。

くもんの先生インタビュー 北川先生03

撮影:栗原 康 イラスト:宮城 奈月  文:前出 明弘

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