006‐後編

自分の人生を自分でつかみ取れる
子どもたちを育てていきたい

平原 久永さん(広島県在住)

くもんの先生 平原先生interview3

大学で英語教育について学んだ後にくもんの先生になり、教室を続けながら結婚、出産を経験。大学3年生の長女、高校3年生の長男、高校1年生の次女、中学1年生の三女の4人の子どもをもち、子育ても仕事も趣味も常にアクティブな姿勢で充実の毎日を過ごしています。

後編は、大学を卒業してすぐにくもんの先生となった平原さんのお仕事についてフォーカス。当時、子育て経験がなかったからこそできたこと、やりがい、これからの目標など、いろいろ語っていただきました。

くもんの先生 平原先生interview2
 

たくさんの先輩先生と出会い、生き方を学ばせてもらった

私は大学を卒業してすぐに、くもんの先生として働き始めました。会社員を経験したり、子育て中のママでもなかったので、ちょっとレアなケースかもしれません。もともと高校の英語教師になりたいという夢があったんですが、当時は県内での採用がたった数名という狭き門。教員採用試験には、あえなく不採用になってしまって…。それがキッカケでもありますが、一方で幼い頃からくもんの先生への憧れもありました。実は、幼稚園から高校まで公文式教室に通っていて、赤ペンを持って採点ごっこをするほど、くもんの先生に憧れていたんです。

新卒で、指導の経験もなく、不安だらけだったんじゃないのと思われるかもしれませんが、内心は「仕事が見つかってよかった!」という気分でしたね(笑)。それに、研修などではいろんな先生たちと出会うんですが、その方たちからすると当時の私は娘や孫みたいな年齢。初対面でも皆さんが「大丈夫?」「困ってない?」と声をかけてくれ、何十人という先生たちが私を育ててくれました。「この悩みはあの先生に聞いてみよう!」ということができる環境だったため、不安を感じることは意外となかったんです。

むしろ、周りの先生方が自分を磨いてどんどん成長されている方ばかりだったので、会う度に刺激を受けていましたね。KUMONのことだけではなく、人生のお話もたくさん聞かせてもらったことで、女性としての生き方も学ばせてもらっていたような気がします。くもんの先生として20年以上働いている今でも、いろんな先生から刺激をもらえる環境は、とても贅沢なことだなと思いますね。

 

くもんの先生 平原先生interview10

子どもの気持ちがわかる私だからこそ、できることがある

4人の子どもを育てている今と違い、教室を始めた当時は子育ての経験もない上、どちらかといえば子どもの感覚に近い立場でした。保護者の方の気持ちをどう汲み取ろうか悩んでいたんですが、ある先生から「子育てをしていないあなただから伝えられることを考えてみたら」と言われたんです。私自身、小学生の頃はお世辞にも優秀と言える生徒ではなく、KUMONに対する様々な感情や経験もあったので、「子どもの気持ちなら代弁できる!」と、今の自分にしか言えない言葉があると思えるようになりました。そこで保護者の方には「今はこんな状況なので、これからこんなことが起きるかも」と伝え、とにかく子どもたちの今を話すようにしていましたね。親にとって不安なのは先が見えないことだから、先の見通しがつくことで、心構えもできるし、対応もできますから。

それにしても、子どもたちの成長って本当にすごいんです。最初は教室に慣れなくて不安な表情で来ていた生徒さんが、1ヶ月もしないうちに「先生こんにちは!」と笑顔で入って来ると、心の成長をすごく感じますね。また、難しい問題にチャレンジしていてなかなか解けない苛立ちからプリントをクシャクシャっとする音が聞こえることもありますが、数分後には自分でプリントを伸ばして、100点に仕上げて帰っていく。逃げないで戦い、自分で乗り越えたんだなと思うと、そのプリントがとても愛おしくて。私はあくまでもサポートする存在だから、その瞬間には手を差し伸べず、見守っているサインだけは出すようにしています。

そして、最後に「よくやりとげたね!」と声をかける。そうやって子どもたちが自分の力で成長していく姿を間近で見られるのは、やっぱりくもんの先生ならではだと思いますね。最近は、卒業した生徒さんがわが子を連れて来てくれることもあるんです。私にとって教え子はわが子のようだし、その子どもは孫のような感覚。教室を続ければ続けるほど、わが子や孫がどんどん増えていくこの仕事は、本当にしあわせな仕事だなと改めて実感していますね。

 
くもんの先生 平原先生interview7


子どもたちの内面的な成長もサポートしていきたい

たくさんの生徒さんを見てきたことで、自分の子育てにも生かせることがあります。それは、客観的な視点です。例えば、わが子で悩んでいることが他の子にも起きていれば、「あ、同じだ!」と思えるじゃないですか。もちろん、その逆もそう。今の状況を冷静に見られることで、根本的な原因を客観的な視点で探れるようになるんです。「あの声かけが原因なのかな」とか「これは、年齢的にも葛藤が生まれているな」とか。わが子や育児書を見ているだけでは分からないことが、たくさんの生徒さんを見てきたことで分かるようになるのも、くもんの先生をしているからだと思いますね。

くもんの先生は、子どもたちが大きく成長していく大切な時期に携われる仕事です。単純にテストで点が取れるという意味での頭のよい子を育てるのではなく、“18歳の時に、自分の人生を自分でつかみ取れる子”をたくさん育てていきたい。そして、子どもたち一人ひとりの内面的な成長にも役立っていきたい。育てると言うと少しおこがましいですが、子どもたちの成長をサポートする存在として、これからもたくさんの生徒さんたちと関わっていくことが、私のビジョンです。

失敗を怖がる子どもたちもいますが、たくさん失敗してもいいんです。そこで立ち上がる時にサポートすることが、私の役目であり、「そういえば困っていた時に、くもんの先生がいてくれたな」と思ってもらえれば、本望。そんな先生になっていきたいですね。そのためには、もっと自分を磨いていかなければいけない!これからも新しいこと、やりたいことにどんどんチャレンジし、たくさんの先生仲間と刺激し合いながら、女性としても、くもんの先生としても成長していきたいと思っています。

 

くもんの先生 平原先生interview1

撮影:上原 朋也 イラスト:宮城 奈月  文:前出 明弘

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