子どものアレルギーも冷えが関係!?冷え改善につながる「温活」とは?

子どもの夏冷え

「冷えは万病のもと」と言われるように、身体の冷えが子どものアレルギーやメンタルにも影響を及ぼすって知っていますか? その理由や冷え改善に役立つ「温活」について、イシハラクリニック副院長の石原新菜先生にお聞きしました。

子どもの冷えとアレルギーが関係している?

子どもの冷えとアレルギーが関係している?

子どものアレルギーに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。今、子どもの10人に1人はアレルギーを持っていると言われているほど、アレルギーのある子は増えています。
アレルギーは遺伝的な要因と環境的な要因が重なって発症すると考えられています。それを発症するかどうかの引き金が身体の「冷え」という場合もあるのです。

身体が冷えると血流が悪くなるため、酸素や栄養が全身に行き渡りにくくなり、免疫機能が低下してしまいます。体温が1度下がると、免疫力は約30%も落ちると言われ、免疫バランスが崩れてしまうと、その結果として食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を発症しやすくなってしまうのです。

アレルギーだけでなく、身体が冷えている子どもは、虚弱体質で、発熱や嘔吐、下痢、イライラしやすい、眠れないなどの症状を起こしやすいと言われています。また、子どもの肥満も、身体の冷えにより代謝が落ちることが要因の場合もあるでしょう。

冷えがもたらす心と身体の不調とは?

思春期前後の子どもに増えている「起立性調節障害(OD)」は、自律神経のバランスが乱れ、朝起きられなかったり、立ちくらみやめまいを起こしたりする症状が現れる疾患です。人間関係などの心理的なストレス、生活習慣の乱れなどが関与しており、近年では身体の冷えも一因のひとつとして注目されています。

身体が冷えて血流が悪くなると、脳や筋肉へのエネルギー供給がスムーズにいかず、だるさや起きにくさを感じやすくなる可能性があると言われています。その結果、学校に行きたくても身体がついていかず、不登校の要因になることもあるのです。

また、冷えている子どもは、疲れやすく、気分が落ち込んだり、やる気が出なかったり、うつ傾向になりがちとも言われています。
最近では、冷えが関連する肩こり、腰痛、便秘、生理痛、生理不順、不眠といった症状が小学生の頃から表れるケースもあります。
まさに「冷えは万病のもと」。冷えない身体をつくることが、身体と心の健康の基本でもあるのです。

子どもの冷え改善につながる「温活」。3つのポイント

子どもの冷え改善につながる「温活」。3つのポイント

子どもの冷えを感じていたり(前編の「子どもの身体が冷えているサイン」参照)、冷えに悩んでいる方に、ぜひ取り入れてほしいのが、基礎体温を上げて血のめぐりをよくし、冷えの改善を目指す「温活」です。温活を習慣にすれば、身体の隅々までしっかりと血液が届くようになり、冷え知らずの身体に近づくことができるでしょう。また、夏冷え予防にもつながります。

①湯船に毎日10分つかる!

とくに夏場は、シャワーだけの入浴になりがち。でも、身体を芯まで温めるためには、40度前後の湯船に10分程度浸かることを習慣にしましょう。ぷつぷつと汗が出てくれば、体温が1度上がった証拠です。炭酸ガス系の入浴剤を使うと、お湯に溶けた炭酸ガスが皮膚から吸収されて血管を広げ、血流を促すので温活に最適。ひんやり涼しい湯上がり感のあるクールタイプも効果は同じなので、夏の間は活用するといいでしょう。
また、子どもがしっかり湯船につかれるように、ひらがなや算数を学べるお風呂用のポスター、お湯で洗い流せるクレヨンなどを使って、バスタイムを楽しく過ごせる工夫を。就寝する30分〜1時間ほど前に入浴すれば、スムーズな眠りも促されます。

②腹巻きでおなかを保温!

先述のように内蔵が冷えると免疫力の低下に直結してしまうため、おなかを温めることが大事。そこで毎日活用してほしいのが、腹巻きです。冷えを感じている方は24時間、夏場も腹巻きを習慣にすると、身体が温まるように。子どもにも、寝冷え対策も兼ねて、寝る前に着用させるといいでしょう。最近はいろいろなタイプがあり、腹巻きが一体化しているパジャマを着せれば、寝ている間にずれる心配もありません。

③1日1杯のみそ汁を心がけて!

日本人の食生活を支えてきた伝統的な発酵食品のみそは、腸内環境を整えて免疫力を高めるだけではなく、乳酸菌やアミノ酸、ビタミン、ミネラルなどがバランスよく含まれています。そのため、みそ汁は腸も温まるスーパーフード。1日1杯飲むだけでも、冷え対策になるでしょう。余裕がある時は、野菜をたっぷり入れて、時間がない時は、みそをお湯に溶かして飲むだけでもOKです。

温活に役立つ3つの食材や食べ物

3つのポイント以外にも、温活に役立つのが薬味やスパイス、あずき。意識して摂るようにするといいでしょう。

薬味やスパイスをちょい足し

手軽に使えて、身体を温める食材が、しょうが、にんにく、ねぎ、ニラ、大葉などの薬味や、七味唐辛子、こしょう、山椒、シナモンなどのスパイス類です。特にしょうがは、身体を温める作用が強く、体力、気力、免疫力を高める「食べる薬」。いろいろな料理に“ちょい足し”するのを心がけるといいでしょう。

市販の無糖ゆであずきを活用

身体を温め、むくみや便秘を解消し、食物繊維やたんぱく質、鉄分、ポリフェノールなどが摂れる栄養満点のあずきもおすすめの食材。フライパンで茶色っぽくなるまで炒ったあずきを、2リットルほどのお湯でわかして作る「あずき茶」は、ノンカフェインなので子どもにも最適です。便利なのが市販の無糖ゆであずき。カレーやサラダに加えたり、ごはんと炊いたり、豆乳と一緒にスムージーにしたりなど、何にでも合うのでぜひ活用を。

その他、身体を温める作用があるキャベツや玉ねぎ、血流や代謝を促す納豆、漬物、キムチ、甘酒、ヨーグルトなどの発酵食品も積極的に摂るように心がけるといいでしょう。

身体を動かすことを習慣に

温活 子どもの夏冷え
前編でも伝えたように、体温の約40%は筋肉から生み出されるため、運動をして筋肉を使うことが、冷えに負けない身体づくりには重要です。運動習慣がない子なら、ウォーキングや軽いジョギング、縄跳びなど、うっすら汗をかく程度の運動を週に2~3回は取り入れるよう心がけましょう。また、全身の筋肉の約70%が集中している下半身を鍛えれば、効率よく体温を上げられます。スクワットを毎日30回、親子で一緒にやってみるのもいいでしょう。子どもが小さいなら、子どもを抱っこしながらスクワットするもおすすめです。10回程度でも十分よい運動に。

親子で楽しく!冷え体質は変えられる

冷え体質は、いくらでも改善できます。温活を取り入れ、身体を冷やさないことを意識していけば、1カ月で体温が1度上がることもあるのです。一番大切なのは、あきらめずに続けること。例えば、忙しくてお惣菜を買ってきたなら、みそ汁を付けるだけでもいいのです。
子どもにも、お風呂で温まること、腹巻き、みそ汁の大切さをわかりやすく教えてあげれば、一緒に習慣にしていけるはずです。毎日の食事や生活で身体は変わっていくので、親子で楽しみながら取り組むといいでしょう。

取材・文:サカママ編集部 取材協力:石原新菜(イシハラクリニック副院長、内科医) 参考文献:石原新菜著『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)、『「アレルギーにならない」子どもが育つ本』(三笠書房)

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