子どもの冷え性が増えている! 夏冷えを防ぐ、今すぐできる対策とは?

子どもの夏冷え

大人だけでなく、最近は子どもにも増えているという身体の「冷え」。実は、夏こそ注意が必要です。夏冷えの原因や初期サイン、予防法について、冷え治療の専門家であるイシハラクリニック副院長の石原新菜先生にお聞きしました。

<教えてくれた人>
石原新菜先生
石原新菜先生
イシハラクリニック副院長。ヒポクラティック・サナトリウム副施設長。健康ソムリエ理事。クリニックで漢方薬処方を中心とする診療を行うかたわら、テレビ・ラジオへの出演や執筆、講演活動なども積極的に行い、美容と健康増進の効果を広めることに尽力している。2児の母。

子どもの冷え性(低体温)が増加!その原因とは?

保育園の検温で、子どもが35度台だったことはないでしょうか。冷えの悩みは、大人だけだと思いがちですが、年々、冷え性の子どもは増えています。子どもの平熱は36.5〜37.5度前後が正常と言われるものの、35度台前半という子も多く、子どもの2人に1人以上が36.5度に満たないというデータ(※)もあります。大人よりも体温が高く、冬でも外で駆け回る子どもを「風の子」と呼んだのは、一昔前の話になりつつあるのです。
※2016年「冷え性ママと子どもの不調に関する調査」養命酒製造株式会社調べ

では、なぜ冷え性の子どもが増えているのでしょうか? 

食生活の変化

かつての食卓には、みそ汁や煮物、納豆や漬物など、健康に必要な栄養素をバランスよく摂れる和食が当たり前のように並んでいたものです。それが今では、ファストフードや加工食品で済ませる食事が増えたり、以下のような「身体を冷やす食品」が季節を問わずいつでも食べられるようになったことが、子どもの冷えにつながっていると考えられています。

身体を冷やす食品

牛乳・バター/白米・白パン・うどん/葉野菜・きゅうり・トマト/脂身の肉・白身の魚/バナナ・みかん・パイナップル・アボカド/豆乳・豆腐/緑茶・麦茶・コーヒー/酢・マヨネーズ/白ごま/白砂糖/洋菓子 など

運動不足と睡眠不足

今の子どもたちは、空調の効いた室内で遊ぶことが増えているため、昔にくらべて運動量が減り、筋肉量も低下ぎみに。体温の約40%は筋肉からつくられるため、筋肉量が少なくなると体温の低下を招いてしまいます。また、習い事などで忙しい子どもも多く、睡眠不足や不規則な生活リズムが続くと、体温を調節する自律神経の働きが悪くなり、その結果、冷えを招いてしまうのです。

湯船に浸かっていない

毎日、湯船に浸かっていますか?今はシャワーだけで済ませている家庭もあり、湯船に浸からない子どもが増えています。シャワーだけでは身体の芯まで温まらず、低体温の状態が続くことになってしまいます。

上記にあげた生活習慣のほか、子どもの冷えは親からの遺伝もあります。ただし、体質的に冷えやすい子どもでも、日々の食事や生活を改善すれば、冷え知らずの身体を手に入れることはできるのです。

夏に起こりやすい「内臓冷え」とは?

「夏冷え」とは、夏の暑い時期に身体が冷えてしまうこと。夏場はどうしても、長時間クーラーの下で薄着のまま過ごしたり、冷たい食べ物や飲み物をたくさん摂ってしまいがちです。そのため、身体の表面だけではなく、胃腸や肝臓などの内臓まで冷えてしまうというケースが多いのです。
内臓が冷えてしまうと、胃腸の消化・吸収が上手く働かなくなり、胃もたれや食欲不振、便秘、下痢を起こしたり、免疫力もダウンしてしまいます。

また、夏場は温度差が激しい場所の行き来で自律神経が乱れたり、寝苦しさから睡眠不足になったりと、ただでさえ身体に疲労がたまりやすいもの。そこに冷えが加わると、いっそうエネルギーを消耗し、頭痛やめまい、倦怠感といった症状が出やすくなるのです。
「夏バテ」とよく言いますが、今は大人も子どもも、内臓や身体が冷えることによって、さまざまな不調が起きる「冷えバテ」になっていることが多いと言えるでしょう。

冷えていませんか?子どもの冷え性チェックシート

子どもの夏冷えに気づくためにも、身体が冷えているサインを知っておくといいでしょう。
以下の項目にひとつでも当てはまるものがあれば、子どもの身体は冷えている可能性も!

□普段の体温が36.5度以下
□顔色が青白かったり、薄茶色をしている
□いつも鼻水をたらしている
□風邪をひきやすい、嘔吐・下痢・中耳炎になりやすい
□手足が冷えている
□おなかを触ると冷えている
□疲れやすく体力がない、だるそうにしている
□貧血の症状がある
□寝起きが悪い、いつも眠そうにしている
□夜泣きをする、夜中に何回も起きる
□落ち着きがない、かんしゃくを起こしやすい
□乗り物酔いしやすい
□湿疹、じんましん、ぜん息などがある

今すぐできる子どもの夏冷え対策

夏冷えを防ぐためには、外側からも内側からも身体が冷えない生活をすることが大事。子どもはもちろん、冷えを感じている保護者も以下の対策を実践してみるといいでしょう。

夏こそ肌着。寝る時は腹巻きも忘れずに

肌着は汗を吸収して肌の保湿状態がよくするため、夏でも着せるようにしましょう。綿100%でジャストサイズを選ぶと、体温調節がしやすくなり、吸水性の高い肌着であれば、汗をかいても肌がベタベタせず、逆に涼しく感じることもあるでしょう。
また、入浴する際は10分でもいいので湯船に浸かり、寝る時は内臓を冷やさないために腹巻きをするようにしましょう(詳細は後編参照)。薄手で汗を吸収する夏用の腹巻も市販されています。

身体を温めるココアがおすすめ

冷たいものがおいしい季節ですが、これが冷えの大敵に。クーラーの効いた空間では、キンキンに冷えた飲み物は避け、できるだけ常温以上のものを摂るようにしましょう。子どもが好きな飲み物の中では、ココアがおすすめ。主成分のカカオポリフェノールは身体を温め、冷たいココアでも効果は同じです。夏場は冷やして飲むといいでしょう。

「身体を温める」食材に置き換えを

冷たいものを摂りがちな夏場は、いつも何気なく口にしている身体を冷やす食材や食品を、身体を温めるものに置き換えるといいでしょう。麦茶をほうじ茶にしたり、生野菜は根菜を加えた煮物にするなど、下記を参考に置き換えを。

・麦茶→ノンカフェインのほうじ茶
・生野菜→煮物(かぼちゃ、さつまいも、大根などの根菜を加えて)
・白米→玄米1:白米1(白米に黒ゴマ塩をふるだけでもOK)
・白砂糖→黒砂糖
・バナナ→焼き塩バナナ
・洋菓子→和菓子

また、旬の夏野菜を生で食べたい時は、きゅうりにみそをつけたり、トマトには塩をかけるなど、身体を温める調味料と一緒に摂るようにするといいでしょう。

身体を冷やすからと、夏の楽しみであるアイスクリームやかき氷を我慢する必要はありません。ただし、身体が冷えた状態で食べないように気をつけて。外から帰ってきた時やお風呂上りなどに、できるだけ身体を温める作用があるあずきやチョコレートのアイスを選ぶといいでしょう。

夏用の寝具で寝冷え対策

寝苦しさや熱中症予防で冷房をつけることも多い夏の夜に、気になるのが子どもの寝冷え。まずは通気性・吸湿性が高いパジャマや、速乾性のある寝具で睡眠環境を夏用に整えることが大切です。子どもは布団を何度かけても寝返りしたり、暑さで蹴飛ばしてしまうことが多いので、先にも述べたように、おなかだけは冷えないよう必ず腹巻きを。
なお、いつも子どもが寝汗をかいていたら、暑がりではなく冷え性の可能性があります。寝ている時に出る汗は、身体を温めようとする反応なので、無理にたくさん水を飲ませないように注意しましょう。

夏期講習を受ける際の夏冷え対策

夏期講習や習い事などでクーラーの効いた空間に長時間いる場合は、子どもに腹巻きを着用させ、カーディガンなど温度調整ができる上着を持たせるといいでしょう。小さな保温水筒に、温かいみそ汁やスープを持たせてあげるのもおすすめです。


いかがでしたか? 前編では、夏冷えの原因や対策を紹介しました。後編では、冷えによる身体への影響や改善に役立つ「温活」について解説します。

取材・文:サカママ編集部 取材協力:石原新菜(イシハラクリニック副院長、内科医) 参考文献:石原新菜著『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)、『「アレルギーにならない」子どもが育つ本』(三笠書房)

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