人気の習い事「体操」で身につく力とは? 習い始める年齢やメリット

子どもの習い事の中でも人気の体操。体操を習うことで身につく力や習い始めるベストな年齢、体操の力を伸ばす方法をバク転・体操教室「Jump UP」代表インストラクターの五十里優歩さんに教えていただきました。

<教えてくれた人>
五十里優歩さん

少人数制!バク転・体操教室「Jump UP」代表インストラクター。MAHOLOBA株式会社代表取締役。都内で体操教室・バク転教室を3店舗運営。体操競技歴19年、体操指導歴7年、特技はバク転、バク宙、倒立。

子どもに人気の習い事「体操」の魅力とは?

「バク転ができるなんてすごい!」と思う方も多いのではないでしょうか。
体操を習うことの魅力は、なんと言っても、いろいろな技ができるようになることです。バク転のような誰もが憧れる技や自分ができないと思っていたことも、練習を重ねることで習得できるようになっていきます。
他のスポーツと同様に、目標を立てて取り組んでいくことで、できなかった技ができるようになる喜びも味わえます。体操の技は、反復練習することで身についていきます。何度も同じ練習をする中で諦めずに取り組み、技ができるようになった時の達成感は、他のスポーツでは味わえない喜びではないでしょうか。一度、この喜びを体験できれば、長く続けることにもつながります。

体操で身につく力やメリット


体操は、細かい力のコントロールが必要になるスポーツです。子どもの頃に習うと、身体の動かし方を自然に覚え、身体の使い方やコントロールする力が身についていきます。
また、体操では柔軟性を高めることが大事になります。身体の可動域が広いほど技の習得につながり、怪我の予防にもなるのです。
水泳や野球、サッカー、バスケットボールなどのスポーツでも練習の前後にストレッチや柔軟体操は行うものです。でもそれは、運動前のケガ予防や、運動後のクールダウンが主な目的です。体操では、毎回、技のトレーニング前に、柔軟性の向上を目的とした体操をしっかり行います。身体の硬い子どもは柔軟を嫌う傾向にありますが、継続するとある程度は必ず柔らかくなり、結果も自分で見えるので苦手克服につながっていくでしょう。
身体をコントロールする力や柔軟性が身についていくと、身体能力そのものが高まっていきます。他のスポーツを行った際、自然に体操で培ったことが生きてくると言えるでしょう。

体操では、マット運動、跳び箱、鉄棒の技の習得を目指すので、学校の体育の成績にもつながります。器械運動は苦手な子どもも多いため、体操を習っていれば他の子と差をつけることができ、自信にもなるでしょう。

最近の子どもたちは、日常生活の中でどうしても前傾姿勢になりがちです。また、身体を伸ばしたり、反らしたりする動きを滅多にしないのではないでしょうか。体操は、バランスよく全身を鍛えることができるスポーツです。腹筋や背筋も鍛えられ、ブリッジの練習など身体を反らすトレーニングも多いので、姿勢の良さにもつながっていくのです。

体操で子どものメンタルが鍛えられる理由

先にも述べたように、体操では反復練習が重要になってきます。例えば、鉄棒の場合、腕の力がない子は、まずは腕を曲げたまま鉄棒に引きつける力が必要になり、懸垂や腕を曲げて自分の身体を持ち上げる練習を1~2カ月は続けます。逆上がりができない場合は、1回のレッスンで20回ほど繰り返して練習することもあります。
子どもは反復練習が嫌になったり、何度繰り返してもできないと「やりたくない」「やめたい」と思う場合も多いものです。それを諦めずに続けて技を習得していくので、メンタルの強さにつながっていくのです。選手クラスになると技を完成させるために、1年以上同じ練習を繰り返すこともよくあります。

体操を習い始めるベストな年齢は?


子どもは、遊びの中で、身体の動かし方を習得していきます。体操を習うことが遊びの延長だと感じる3~4歳から始めると身体の動かし方が自然と身につき、身体能力が伸びていくでしょう。また、この時期から始めれば、身体を動かすことが習慣になるのもメリットです。
小学校中学年、高学年から体操を習い始めた場合、身体能力を劇的に伸ばすことはむずかしいかもしれませんが、この時期から始めても、ある程度の能力向上と成功体験を多く積むことは変わらずできます。体操教室では、学校の体育で取り組んでいるような内容が多く、難易度もそれほど高くないため、できる技がたくさんあり、自信につながっていくのです。

体操教室で習うのは3種目

跳び箱
体操教室では、マット、跳び箱、鉄棒の3種目を行うことが基本です。
マット運動は、前転、後転、倒立、側転、バク転へとステップアップしていきます。選手を育てている教室では、その後、より難しい技の習得を目指します。
跳び箱は、学校の体育の授業でも学ぶ開脚跳び(両足をパーのように大きく開いて跳び箱を飛ぶ技)、閉脚跳び(跳び箱の上に両手をついて、手と手の間を足を閉じたまま跳ぶ技)、台上前転(跳び箱の上で前転する技)の習得を目指し、さらに、高い段数で飛べるようにステップアップしていきます。
鉄棒は、ぶら下がり、つばめ(鉄棒にお腹をくっつけて、腕で身体を支持する技)、足抜き回り(鉄棒にぶら下がった姿勢から、足を鉄棒の下につけてクルンと後ろに回る)と進み、前回り、逆上がりの習得を目指します。その後、鉄棒に身体を支持した状態がから1回転する技などへ発展していきます。

ベースになるのはマット運動

体操教室では、先に述べた3種目を練習するのですが、ベースになるのはマット運動です。例えば、マット運動では、クマのようになって手足を使って歩く動きからスタートし、その動きにジャンプをプラスし、でんぐり返しのような動きへとステップアップ、やがて前転を習得します。
前転ができれば、鉄棒にも生きてきます。鉄棒の基本の「つばめ」という技は、腕で身体を支える力が必要ですが、前転を習得するまでに行っていたクマ歩きなどで自然と腕で身体を支える力がついているのです。前転ができれば回転感覚も身についているので、つばめの姿勢から前回りで降りることもできるでしょう。

子どもの体操の力を伸ばすには?


体操は反復練習が多いので、子どもは「飽きた」と口にしたり、つまらなそうに取り組んでいることもあるかもしれません。体操の力を伸ばすには、そうした時に保護者が、今取り組んでいる練習がどんなふうに技につながっているかを伝えてあげるといいでしょう。保護者自身がわからない場合や子どもに質問されて返答に困った際は、通っている体操教室の先生に遠慮なく聞いてみるといいでしょう。体操を長く続けていくためにも、保護者と先生とのコミュニケーションが大切です。
より上達してほしいと思ったら、体操教室の中で取り組んでいる内容で真似できそうなことを親子で一緒にやってみるといいでしょう。子どもは親に教えようと率先してやりたがるはずです。

子どもが楽しく体操教室に通うためには、技の習得だけに固執せず、外で走り回ったり、公園で思いきり遊ぶ機会を増やしてあげることです。先に述べたように、子どもは遊びの中でいろいろな動きを身につけていきます。外遊びをたくさんすれば体操につながり、気分もリフレッシュするでしょう。
体操を習っていない子どもも、日常生活の中で外遊びをしたり、少しでも広い空間で身体を動かす機会を増やしてあげると、体操の能力につながっていきます。

せっかく体操を習い始めたのに、逆上がりなど習得したい技ができると、やめてしまう子どももいます。すぐにやめてしまうと、技はできても、身体の使い方などが定着しなかったり、元に戻ったりしてしまうのです。体操は続けることで、身体を自分でコントロールする力がより身についていきます。他のスポーツを習い始めても体操を継続すれば必ず役に立っていくと言えるでしょう。

取材・文:サカママ編集部 取材協力:五十里優歩(少人数制!バク転・体操教室「Jump UP」代表インストラクター。MAHOLOBA株式会社代表取締役)

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