忙しい毎日の中での食事づくり。冷凍食品を使うとき、「何が入っているか不安」「きちんと栄養を摂れるか分からない」と感じている方もいるのではないでしょうか。
冷凍食品にまつわる疑問や上手な使い方、おいしく食べるコツを冷凍食品ジャーナリストの山本純子さんに伺いました。
<教えてくれた人>
山本純子さん

冷凍食品エフエフプレス編集長、冷凍食品ジャーナリスト。冷凍食品専門紙編集長を経て、冷凍食品専門情報サイト・冷凍食品エフエフプレスを2015年に立ち上げ、本当においしい、楽しい冷凍食品の情報を届けている。メディア出演、連載執筆など多数。
冷凍食品が体に悪いとは限らない!
最大のメリットとは?
冷凍食品には、保存料が使われていないことを知っていますか?
冷凍食品は-18℃以下で保存・流通されているため、その温度帯では食品を腐らせる微生物が活動できず繁殖しないので腐らないのです。腐らない冷凍食品には、保存料が必要ないというワケです。冷凍食品は、便利・簡単という面もありますが、保存料などを使用せずに長く保存できる点が、最大のメリットと言えるでしょう。
また、冷凍食品は食品の中の組織をなるべく壊さないように、家庭用冷蔵庫の約10倍もの速さで急速凍結しています。そのため、凍結前の食品の味わいや栄養価なども保たれるのです。
冷凍野菜の多くは、たくさん獲れておいしく、且つ栄養価が高く、価格が安い旬の時期に収穫したものを急速凍結しています。出来上がった商品は1年中「旬」なので、季節によっては冷凍野菜のほうが生鮮野菜よりも栄養価が高い場合もあります。例えば、ほうれん草は、旬の時期である冬と夏で、ビタミンCの含有量が3倍近く違うため、夏場は、冷凍ほうれん草のほうが、ビタミンCが多く含まれていると言えるでしょう。
冷凍野菜の上手な使い方

生鮮野菜は天候の影響を受けやすく、価格変動も大きいため、需要が高まっているのが冷凍野菜。きれいに洗い、カットしてあるので手軽に使え、ゴミが出ないのもメリットです。
冷凍野菜を使った際、べちゃべちゃしておいしくなかった…という経験はありませんか?
それは、加熱しすぎているからです。冷凍野菜の多くは、下茹でなど前処理がしてあるため、おいしく食べるには、加熱しすぎないことがポイントです。例えば、みそ汁に冷凍ほうれん草を使うなら、みそを溶いた後にほうれん草を加え、沸騰したら火を止める程度の加熱で十分です。
一度封を開けたものを冷凍庫に戻し、再度使おうと思ったら霜だらけになっていた…という悩みもよく聞きます。冷凍庫から出した後、温かい空気が袋の中に入った状態で冷凍庫に戻してしまうと、その空気が冷えて、霜がついてしまいます。
霜がつくのを防ぐには、使いたい分を取り出した後、袋の中の空気をしっかり抜いて密封してから冷凍庫に戻すことが大切です。残った分はジッパー付きの袋に入れて、空気を抜いてから保存するのもおすすめです。冷凍庫に戻す作業は調理する前に行うようにしましょう。
なお、おいしく食べたいなら、開封後は1カ月以内に使い切るとよいでしょう。
冷凍食品を持ち帰る時のコツとは?

スーパーやコンビニなどで冷凍食品を買う時に気をつけてほしいのは、温度管理です。先にも述べたように冷凍食品は、-18℃以下を保つことで腐敗の原因となる微生物が繁殖せず、品質や味をキープしています。一度とけてしまうと微生物繁殖のリスクが高まり、再び冷凍しても、緩慢凍結になってしまい、味や風味は落ちてしまうのです。
そのため、冷凍食品は買い物の最後に選び、解凍しないようにして持ち帰ることが何よりも大事。ドライアイスや保冷剤と一緒に保冷バッグに入れて持ち帰るのがベストです。
冷気は上から下に流れていくので、バッグの中の一番上にドライアイスや保冷剤をのせることも大切。冷凍食品をまとめて買って、保冷バッグに重なるように詰めるのもおすすめです。帰宅したら、すぐに冷凍庫にしまいましょう。温度管理に気をつけて運べば、冷凍食品をよりおいしく食べることができるはずです。
冷凍食品の解凍方法と失敗しないポイント

解凍する時は、袋の裏面をよく読んでから調理することが大事です。肉や魚、野菜の種類によって解凍方法が異なったり、ラップをするかどうかの違いがあったり、袋のままで調理ができたり、自然解凍で食べられる場合もあるのです。
電子レンジを使用して解凍する場合、500Wと600Wの表示があれば、500Wで行うのがおすすめです。500Wのほうがじっくり加熱するのでムラなく熱が伝わり、よりおいしく仕上がるでしょう。電子レンジによって能力の差があるので、まずは規定通りの時間で温め、冷たい部分があれば、10~20秒ずつ足していくのがコツです。
解凍する時に失敗しがちなのが、冷凍シーフードミックスなど魚介類です。冷凍シーフードミックスは、品質をより良く保つために、わざと「グレーズ」と呼ばれる氷の膜をつけています。
そのため、炒め物などにそのまま使ってしまうと、氷が解けてべちゃべちゃになったり、水分を飛ばそうと加熱しすぎてしまいエビやイカが硬くなったりしてしまうのです。
冷凍シーフードミックスを解凍する時は、さっとぬるま湯をかければ氷が取れ、臭みもなくなります。その後、ペーパータオルで水気をしっかりと拭き取ってから使うと、食感もよく仕上がるでしょう。
知っておきたい! おすすめ冷凍食品とアレンジレシピ

冷凍食品は、冷凍する前の調理加工技術がどんどん進化し、とてもおいしくなっています。中でも人気なのはワンプレートの冷凍食品。主食とおかずと副菜がワンプレートに収まって冷凍されているので、電子レンジで温めるだけで1食が完成します。食材を13品目も使用しているものや、野菜を100g以上使っているものもあり、それが500円ほどで手に入るので、コスパもタイパもよく、栄養面でも満足できるでしょう。
冷凍野菜だけでなく、冷凍フルーツも人気です。生のフルーツは、購入してすぐ食べると硬すぎたり、うっかり日にちが経つと味が落ちたりしてしまいがちですが、冷凍フルーツはそれぞれ適した熟度で急速凍結しているので、いつでもおいしく食べられるのです。
離乳食やキッズ食の冷凍食品も増えています。野菜をうらごししたものなどが、小分けになって冷凍されているものや、無添加の白身魚をほぐしたもの、無塩でやわらかく仕上げたうどんなどもあります。キッズ食は、管理栄養士がメニューを考えている商品もあるので、忙しい保護者の方には強い味方になるでしょう。
すぐ食べたい時に役立つのが、ラーメンやパスタ、うどんなどの冷凍めん。ラーメンは具付きタイプが多く、野菜が多めの具付きラーメンなら夕飯にも活用できるでしょう。パスタはそのリーズナブルさが人気ですが、少し価格が上がるもののリッチなソースのパスタ類も充実しています。
冷凍めんの中でも、一番お手頃なのは冷凍うどん。こしの強い讃岐うどん、やわらかくもちっとした九州のうどん、細い麺で喉越しがいい稲庭うどんなど、種類も豊富に揃っています。汁うどんだけでなく、焼きうどんやサラダうどん、鍋のしめに使う(冷凍庫から出してすぐ入れてOK)など、いろいろアレンジできるのでストックしておくと便利です。
冷凍食品はそのままで充分おいしいのですが、アレンジするのもおすすめです。
簡単なアレンジは、揚げ物の卵とじ。冷凍のコロッケやカツを加熱し、スライスした玉ねぎとめんつゆを加えて、ひと煮立ちしたら、溶き卵を加えれば出来上がり。唐揚げで作ると、ボリューム満点の親子丼に仕上がります。
冷凍食品協会のサイトには、アレンジレシピがたくさん掲載されているので、参考にするといいでしょう。
参考:冷凍食品協会
冷凍食品は、手抜きではなく「手間抜き」
冷凍食品を使うと手抜きになってしまう…と感じている方もいるのではないでしょうか。
そもそも冷凍食品は、家庭よりも衛生的な環境で手間暇かけて作られています。
だからこそ、冷凍食品を使うのは手抜きではなく、「手間抜き」と捉えてほしいのです。また、誰もが忙しい時代だからこそ、手間を「分け合っているんだ」と思うといいのではないでしょうか。
料理のスキルに関係なく、時短でできて、おいしい料理をつくれるのが冷凍食品の魅力です。冷凍食品を1品使えば、調理の手間を抜くことができるので、心に余裕が生まれ、少し凝ったサラダをつくってみよう、具だくさんの味噌汁にしてみようなどと思えるはずです。また、時短できた分、家族と一緒に過ごす時間も増えるのではないでしょうか。
取材・文:サカママ編集部 取材協力:山本純子(冷凍食品エフエフプレス編集長、冷凍食品ジャーナリスト)




























