3人のママに聞いた、わが子の個性の見つけ方と伸ばし方のヒントとは

わが子の個性の見つけ方と伸ばし方のヒントとは01

日々の子育てを楽しみながら、お子さんの個性を大切に育んできた黄川田としえさん、村上萌さん、前田有紀さんの3人のママたち。お子さんが小さい頃、どんなふうに”好き”や”興味”を見つけて寄り添ってきたのかを伺いました。すぐに取り入れられる、個性を大切にした子育てのヒントも見つかるかもしれません。「わが子の”好き”にどうやって気づいたのか」「その気持ちをどう支えてきたのか」、3人のエピソードを紹介します。

料理家
黄川田としえさんの場合

黄川田としえさん
料理家・フードスタイリストとして、雑誌やTVなど多くの媒体でレシピ開発やスタイリングを担当。アスリートフード・食育インストラクターの資格を持ち、家庭料理をベースに、成長期の子どもやアスリートを支える食事づくりを提案している。夫・賢司さんは、サッカーJリーグで活躍した元トップアスリート。お子さんは24歳と19歳。Instagram:@tottokikawada

わが子の“好き”にとにかく共感すること

子どもたちが好きなコトやモノに出合ったときは、親も興味を持って共感することを大切にしてきました。「そういうのすごいよね」「とってもかわいいね」「たくさん知っているね!」と声をかけて一緒に楽しむと、本当に嬉しそうに話してくれます。そんな時間が、子どもたちの心を育み、親子のコミュニケーションを豊かにしてくれたように感じています。習い事だけでなく、週末にはイベントやワークショップに出かけ、興味の幅が広がる体験も意識してきました。

なかでも印象的だったのが長男のサッカーの話。夫がサッカー選手だったこともありスクールに通っていましたが、本人は砂遊びや友だちとのおしゃべりに夢中で、あまり楽しそうではありませんでした。小学1年生の頃に「サッカーは好き?本当は何をやりたいの?」と聞くと、「ダンスがしたい!」と即答されて驚きました。

ヒップホップダンスの教室に通い始めると、まるで水を得た魚のようにいきいきと踊る姿がありました。その様子を見て、「好きなことを自分で選ぶことの大切さ」を実感しました。その後「またサッカーがしたくなったら言ってね」と伝えていたところ、小学5年生になって「サッカーをやりたい」と。再び通い始めると、以前とは比べものにならないほど楽しそうで、観戦に行ったり、選手やチームの知識もどんどん増えていきました。

小学校卒業とともにサッカーは卒業しましたが、“好きに出合うこと”と“自分で選ぶこと”。そのふたつが楽しさにつながるのだと、長男から改めて教わった気がします。

毎日の遊びの積み重ねで、得意なことが見えてきた

長女は、小さい頃から何でも器用にこなすタイプでした。歩き始めるのも早く足腰もしっかりしていたため、「身体能力が高いかも?」と感じていましたが、すぐに習い事を始めるのではなく、まずは遊びのなかでたっぷり体を動かすことを大切にしてきました。走る、泳ぐ、縄跳び、アスレチック……。日常の積み重ねから、娘の身体能力の高さを確信していったように思います。

わが子の個性の見つけ方と伸ばし方のヒントとは02

小学校入学後、本人に合いそうな競技をいくつか提案してみました。そのなかで自ら選んだテニスを始め、高校3年生でプロに転向し、現在はプロテニスプレイヤーとして、グランドスラムを目指して奮闘しています。

子どもの個性を伸ばすには親がリラックスして、ゆったり寄り添うこと

もしも苦手なことがあっても、日常のことなら「いつかできればいいよね」と、穏やかに寄り添う姿勢を大切にしてきました。学校生活の悩みも、ひとりで抱え込まず、先生や周囲の大人に相談しながら気長に向き合うように。親が重く考えすぎず、リラックスした気持ちで接することが、子どもたちの安心につながると思ったからです。

また、子どもたちだけでなく、子育てをしている自分自身に対しても「誰かと比べない」ことを意識していました。きょうだいや友だち、ほかの家庭、そして自分の子ども時代とも比べず、目の前のその子らしさを尊重すること。親の弱さも含めてありのまま向き合うことで、何でも話してくれる関係が今でも続いていると感じます。「きっと大丈夫だよ」「いつも味方だよ」という言葉は、変わらず伝え続けています。


ライフスタイルプロデューサー
村上萌さんの場合

村上萌さん
大学卒業後に株式会社ガルテンを設立。CEOとして「1.5歩先の提案」を軸に、コミュニケーションデザインを手がける。自社事業として、ライフスタイルブランド「NEXTWEEKEND」やカフェの運営にも携わる。プロサッカー選手・都倉賢さんとの結婚を機に全国各地で暮らし、10年以上に渡り二拠点生活を送る。お子さんは8歳と0歳。Instagram:@moemurakami_

「正解」はひとつじゃない。プロセスを知って考えてほしい

娘が生まれた頃から全国を転々とする暮らしだったこともあり、決まった“正しさ”に縛られない子育てを大切にしてきました。「普通」という言葉は使わず、娘のやってみたい気持ちをそのまま受け止めるように。危険なことや誰かに迷惑をかけることでなければ、思いつきや好奇心を自由に試せる環境で育てたい、何より私自身もそれを楽しんでいたように思います。

そして、目の前の“当たり前”は、たまたまの状態にすぎません。だからこそ、その背景やプロセスを自分で感じ取ってほしいという思いで、さまざまな体験ができる環境づくりを心がけてきました。拠点が変わるたびに自然や地域の文化、人との関わりに触れる機会を増やし、旅先で現地のこども園に通わせることも。調べればわかる情報ではなく、土地の空気や人の会話から文化が生まれることを体感してほしかったんです。そうした経験が、「答えはひとつじゃない」という感覚につながり、自分の意見への自信になると考えていました。

わが子を“対話の相手”として尊重すること

「自分はまだ子どもだから、考える立場にない」と思ってしまうのは、とてももったいないこと。だからこそ、娘が小さな頃から「どう思った?」と問いかけ、対話を大切にしてきました。親が結論を示すのではなく、「あの人はこんなふうに思ったから、これを作ったのかもね」と、一緒に考える相手として向き合うスタンスです。年齢を理由に距離を置かず、フラットに接することで、娘自身も自然と考える姿勢を持つようになったと感じています。

今では大人とも対等に会話し、積極的に質問する姿を見るたび、思考を止めない環境づくりの大切さを実感します。どんな場面でも、好奇心や違和感をそのまま言葉にできる関係でいたい。プロセスを大切にする姿勢が、娘の“好き”や個性を育てていったのだと思います。

娘の好奇心を、未来につなげるための関わり方を

わが子の個性の見つけ方と伸ばし方のヒントとは03

娘が4歳の頃、とあるモデルさんがファッションショーに出演されている様子のインスタグラムの投稿を何気なく見せたときのことです。「この人は何をしているの?」と聞かれ、モデルやデザイナーという職業について話すと、突然大号泣。「自分がこの世界に関わっていないことが悔しい」と、泣き疲れて眠ってしまうほどでした。翌日には「デザイナーになるにはどうしたらいいの?」など質問が止まらず、ファッションショーの仕組みや仕事の流れを伝えると、「デザインをする人になりたい!」とはっきり口にするようになりました。

その後も、「ピアノって必要?」と聞かれれば「音楽がデザインのインスピレーションにつながるかもしれない」と話し、算数に苦戦しているときには「計算力は布の買い付けや会社経営に欠かせないよ」と伝えるなど、目指す未来の延長線として自然につなげることを意識してきました。また夫は、習い事や勉強をゲームのように楽しく変えてくれる存在で、やらされる時間ではなく、親子のコミュニケーションとして前向きに向き合えるよう支えてくれています。

今はひたむきにデザイナーという夢に向かっている娘。これから挫折することがあっても、「何があっても自分なら大丈夫」と思える揺るがない自信こそ、何より大切な力だと感じています。


フローリスト
前田有紀さんの場合

前田有紀さん
テレビ局アナウンサーを経て、ロンドンでガーデニングを学ぶ。帰国後に都内のフラワーショップで修行し、2018年にフラワーブランド「gui」をスタート。2021年に表参道の花屋「NUR flower」、2025年に2店舗目となる「gui Kamakura」をオープン。現在は空間装花やプロダクト制作など幅広く手がけながら、植物のある暮らしを提案。お子さんは9歳と5歳。Instagram:@yukimaeda0117

やりたい!という気持ちを軸に進んだら、世界が広がった

好き嫌いがはっきりしている長男は、小学1年生の頃からサッカーや野球、バスケットボールなどの球技にまったく興味を示しませんでした。当初、私たち夫婦は「体を動かしてほしい」と期待していましたが、少しずつ“誰かに習う形で体を動かすスタイル”が合わないタイプなのだとわかってきました。

その経験から、「親が促すのではなく、本人が心から『行きたい!』『やりたい!』と思えることに時間を使ってほしい」と考えるように。保育園時代から山や海での自然遊びが好きだったこともあり、自然に触れられる活動を中心に探してみることにしました。

そんななかで見つけた自然学校に参加すると、体験時から珍しく「楽しかった!」と声を上げ、それ以来3年間通い続けています。今は魚の研究に夢中で、近所の海で釣りをしながら、魚の形や生態を調べています。その自然学校ではほかにも、自動販売機づくりや磁石・駒の研究、海水から塩を作る実験、かまどでご飯を炊く体験など、自分の興味に合わせてさまざまな探究を楽しんでいます。

家や学校以外にも、“自分らしくいられる場所”ができたことは、親としてもとてもうれしいことでした。これからも、その時々の「やってみたい!」という気持ちに寄り添いながら、子どもたちの世界が広がっていくのを見守っていけたらと思います。

現地でのリアルな体験を通して、世界の広さに触れてほしい

わが子の個性の見つけ方と伸ばし方のヒントとは04

私たち夫婦は海外に出たことで視野が広がり、人生が豊かになったと感じてきました。だからこそ、子どもたちにも現地での体験を通して、世界の広さや日本とは違う文化や価値観にできるだけ多く触れてほしいと思っています。

旅にはテーマを決めるのがわが家のスタイルです。以前スリランカには「自然との共生」をテーマに訪れ、街中や滞在先で野生の象や猿と出会うなど、日本では味わえない体験をすることができました。そして今夏は、「未来の環境を考える」をテーマに家族でバリ島のグリーンスクールのファミリーキャンプへ。インドネシアをはじめ、さまざまな国の子どもたちと友だちになり、「この国はこういう文化なんだ、と学べたことがよかった!」と知る喜びを味わえたようです。

“自分を大切にする生き方”ができるよう、そっと支えていく

日々のなかで「いいな」と感じたことを、具体的に褒めることを意識しています。長男の実験がうまくいったときや工作が完成したときは、一緒に喜びを分かち合い、達成した気持ちをしっかり感じてもらえるように。次男が家事を手伝ってくれたときも、「ありがとう」と感謝を伝え、褒めるようにしています。

子どもたちがどう育っていくのかはまだわかりませんが、私自身はアナウンサーの仕事や、会社員からフローリストへの転身を経て、“自分を大切にする生き方”を学んできました。その経験からも、他者を思いやることと同じくらい、自分の気持ちを大切にできることが、豊かな人生につながるのではないかと感じています。

イラスト:きじまももこ 取材・文:阿部 里歩

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