「スマホ依存」「ゲーム依存」って、聞いたことありませんか？　子どもがスマホやゲーム依存になってしまうど、どんな影響が出てしまうのか、依存していないかを見極める方法について、ネット依存啓発団体エンジェルズアイズ代表の遠藤美季さんに伺いました。

＜教えてくれた人＞
遠藤美季さん

ネット依存啓発団体エンジェルズアイズ代表。ネット依存アドバイザー、情報モラルアドバイザー。著書『脱ネットスマホ中毒』『小学生のスマホ免許』『中学生のスマホ免許』成文堂新光、『子どものネット依存』かもがわ出版、他多数。

スマホに依存しやすい子どもとは？

忙しい時、つい「スマホで動画を見てて」と言ってしまうことはありませんか？未就学児や低学年の子は、自分のスマホを持っていなくても、親のスマホで動画を視聴することが多いかもしれません。

小学生の場合、スマホを持ったり、使用時間が増え始めるのは4年生以降。学童保育に行かなくなる子どもが、自宅でひとりで過ごす時間が増えたり、塾に通い始める際の連絡手段としてスマホを持たせるようになることなどが要因です。

では、どんな子どもがスマホに依存しやすいのでしょうか。
今の子どもたちは、家庭で決めたルールの中でスマホを使っている子と、とくにルールを設けず利用している子に分かれています。後者の子の場合、保護者は、子どもの自主性を尊重して使わせいるつもりかもしれません。でも、そうした環境の中では、子どもは自分をコントロールすることが難しく、スマホ依存になりやすいのです。

小学校高学年頃からスマホを手にした子の中でも、暇な時間の使い方を思いつかない子がつい長時間使ううちにそれが習慣化していき、依存に発展しまうケースは多いものです。また、普段からストレスを上手く発散できない子は、身近にあるスマホでストレスを発散するようになってしまう場合もあるでしょう

性別に関係なくスマホは依存しやすいもの

スマホの中には、男の子だったらゲームや動画はもちろん、大人が見せたくない内容や暴力的なものなど、依存しやすいコンテンツが多くあります。特に思春期は依存度合いが深いと言えます。ゲームに関する実況動画にはまり、絶え間なく動画を見続けたり、コミュニケーションツールを使って自分の年代以外の人と繋がり、夜中までゲームをしているというケースも。
女の子の場合も、ゲームや動画を利用しますが、特にSNSによる人間関係に依存しやすい傾向に。最近は、「推し活」に依存し情報収集や推しに貢ぐことに時間やお金を浪費してしまうことも少なくありません。

ネット依存って何？ゲームやスマホ依存との違いとは

「ネット依存」という言葉、聞いたことはありませんか？
ネット依存とは、インターネット依存症の略で、下記のような状態になってしまうことです。

・自分の意思でインターネットの利用をコントロールできない
・インターネットが使えないと不安になる、イライラする
・常にインターネットのことを考えてしまう
・現実から逃避したい心理状況などから、過度に利用してしまう

ネット依存には、いろいろなタイプがあり、ゲーム依存やスマホ依存もその一つです。
ゲーム依存の場合は、とくにオンラインゲームをするようになると、生活リズムが乱れてしまったり、夜逆転しまうケースが多いと言えます。また、家族に注意されると腹が立ち、
家庭内暴力などの事件になってしまうこともあるのです。

スマホ依存は、スマホを家に忘れると不安でしかたなくなったり、イライラしたり、親とスマホの使用時間を決めても守れずに親子喧嘩が絶えないというケースも。スマホを持ってからスマホにしか興味が持てなくなり、他のことができなくなってしまう子もいます。

他にも、SNSがやめられない、SNSでつながっていないと不安になる「つながり依存」や、動画や音楽、マンガなどインターネットのコンテンツに夢中になってやめられなくなってしまう「コンテンツ依存」、何時間も関係ない情報を眺めていたり、つねにSNSなどで情報をチェックしてしまう「情報依存」なども、ネット依存に含まれます。

子どもがネット依存になってしまうとどうなる？

ネット依存になってしまうと、心身の健康に影響を及ぼします。悪い姿勢のまま長時間画面を見続けていたり、瞬きをしないことで視力が低下したり、眼病になることもあります。勉強する時間が減るため、学力が落ちるのはもちろん、運動不足により体力が落ちたり、大事な成長期に骨や筋肉の成長にも影響を及ぼします。
悪い姿勢でスマホを長時間使っていると、猫背になったり、肩や首のこりに苦しんだり、自律神経が乱れ気持ちが落ち込んだりする場合もあります。また、内臓の働きに影響することもあるのです。

寝不足で朝起きられず、学校へ行けなくなる、リアルの人間関係が減る、なにもかも面倒になり必要最低限のことしかしなくなる、といったケースもあります。物忘れがひどくなり、何かに興味を持っても、それを広げる余裕がなく、想像力が働かなくなってしまう場合も。
さらに、家族や先生、友だちに暴言をはいたり、暴力的な行動をとるようになることも多く、保護者とのトラブルも増えていくように。また、ネットの中で、他人を誹謗中傷したり、煽って、ストレスをはらすケースもあります。

何よりも一番危惧しているのは、ネットだけを信じて、間違っている情報を信じてしまうことです。自分と同じ価値観の人とSNSなどでやり取りし、その情報だけが正しいと思い込み、都市伝説やフェイクニュースさえも信じてしまうのです。「自分は世間を理解している」「ニュースを知っている」と思い込み、確かめることをせず、たとえチェックしたとしても、公的サイトではなくSNSや動画でするというわけです。あらゆる情報をネットから仕入れ、凝り固まった自分のイメージの中にいると、抜け出すには時間がかかり、保護者もコントロールできないケースもあるでしょう。

ネット依存の子どもの特徴・兆候は?

子どもがスマホばかりしていると「うちの子、ネット依存では？」と不安になる保護者もいるのではないでしょうか。
下記のような状態が見られると、ネット依存予備軍になっている可能性も考えられます。

・「スマホをやめる時間だよ」と言ってもやめない、怒ってしまう
・「スマホをやめなさい」と言うと、「この動画は〇〇に必要なんだ」など、理不尽な理由をつけたり、自分を正当化しながら反論する
・本当は１時間以上使用していても「30分しかやってない」などと嘘をつき、隠れて使用している
・友だちと遊ばなくなり、スマホに夢中になっている
・遅刻や忘れ物などが増え、日常で最低限しなくてはいけないことができなくなっている

また、スマホを使うようになってから明らかに視力が落ちたり、学力が低下している場合もネット依存を疑ったほうがいいかもしれません。
心配であれば、下記のサイトで依存チェックをし、スクールカウンセラーなどに相談するのも一つの方法です。
インターネットAddiction－依存症－小学生版

また、ネット依存が心配であれば、一度子どもと一緒に使用時間を見直してみるといいでしょう。

小学校高学年頃からネットにはまって依存傾向になってしまうと、友だちとコミュニケーションを取ることがむずかしくなり、ますます依存していく場合があります。
子どものネット依存を防ぐためには、幼い時期からネットとの関わり方を親子で話し合い、保護者は子どものネット利用を監視するのではなく、関心を持って見守り続けることが大切です。

いかがでしたか？前編では、スマホ依存になりやすい子やネット依存の徴候などについてお届けしました。後編では、スマホやゲームのやりすぎ防止に役立つ約束の作り方についてご紹介します。