子どもがお手伝いを楽しみながら、
進んでできるようになる5つの工夫

子どもがお手伝いを楽しみながら、進んでできるようになる5つの工夫

洗濯をしないと着る洋服がなくなります。ゴミを捨てなければ部屋がゴミで溢れて大変なことになります。忙しい毎日の中で、家事をこなすのは大変なことですが、快適な生活を送るためには、最重要タスクの一つです。そしてその経験は、子どもの将来につながっていきます。今回は、子どもが自ら進んで、楽しくお手伝いができるようになるコツやサポートの仕方を、“お手伝い至上主義”を掲げる大学教授・三谷宏治さんに教えていただきました。

<教えてくれた人>
三谷宏治さん
三谷宏治

東京大学理学部物理学科卒業後、外資系コンサルティング会社2社で、経営コンサルタントとして働く。現在は、大学教授や講義・講演者として全国で活躍中。子どものお手伝いにまつわる主な著書に『お手伝い至上主義!』(プレジデント社)や『戦略子育て 楽しく未来を生き抜く「3つの力」の伸ばし方』(東洋経済新報社)などがある。3姉妹のお父さん。


01
大人が創意工夫しながら
家事に楽しく取り組む姿を見せる

家事に取り組む大人

「まずは大人自身が『分担した家事を必ずやる』こと。親がサボっていたら、当然子どももやりません。そして、できれば楽しげに。子どもは『遊び』が大好きです。“お風呂掃除の唄”や“食器洗いの唄”なんてつくりながらやっていたら、子どもは自然と手伝ってくれるかも。前向きに家事に取り組む姿は、子どもたちを家事分担の係に誘うのにとても大切です。作業を効率化するなど、創意工夫している姿を子どもたちに見せましょう」

責任感を持って家事に取り組む大人の姿勢は、きっと子どもに伝わります。その中で、大人が楽しんだり、時短になるような工夫をしていたら、子どもにもよい影響がもたらされるはずです。


02
お手伝いしてくれたことに感謝の気持ちを伝え、
失敗したら一緒に対策を考える

子どものお手伝い ご飯を炊く子ども

「子どもが約束通りにお手伝いを完了したとき、ちゃんと“感謝の気持ち”を伝えていますか?子どもにとって、自分の行動で大人が喜んでくれることは、とても大切なモチベーションになります。過度に褒めすぎず、『ありがとう、助かったよ!』くらいがベターです」

前編では、『責任あるお手伝いを任せよう』という話をしていただきましたが、もちろん最初はなかなかうまくできないことも多いと思います。そういうときの対処も重要なポイントだそう。

「例えば、子どもにご飯を炊く係を任せたとします。水の量を間違えたり、スイッチを押し忘れたりすることもあるでしょう。そんな事件が多々起こります。でもそういうとき、決して怒ったり、叱ったりしないこと。笑って『ご飯炊けなかったね~。じゃあ、どうしようか?』と家族みんなで考えてみましょう」

サボったり失敗したりすると、家族みんなが困る家事を子どもに任せるのは大変ですが、成功には感謝や笑顔を、失敗には上手な対処で臨みましょう。それを繰り返すことで子どもは、どうしたら失敗しないか、失敗したらどうしたらいいか、を学びます。


03
家庭菜園や季節の手仕事に
チャレンジさせる

子どものお手伝い 水やり 家庭菜園

家庭菜園など、普段の家事以外のことを任せることも効果的。楽しい季節のイベントとして、子どもの自立心育成につながるでしょう。

「家庭菜園や季節の手仕事も、家事の分担と位置づければいいだけです。例えばベランダでのミニトマト栽培なら、『このプランターは任せるね。毎日どんな様子か見てあげて、お母さんに教えてね』と、水やり係に任命してみます。もちろん、万が一枯らしてしまっても叱らないこと。こっそり隠れて水やりをするのも厳禁です。ときどき“ミニトマトの唄”を口ずさむくらいで(笑)」

家事を任せるときと同様に、責任の所在を明確にして役割を与えること。失敗しても叱らず、一緒に解決策を考えることがポイント。そして成功したら大いに称賛しましょう。


04
テレワーク中のサポートを
任せてみるのも効果的

子どものお手伝い テレワークのサポート

現在は自宅で仕事を行うテレワークも多くなり、仕事をしている姿を子どもに見せる機会も増えました。それは大人の仕事の大変さを知り、進んでお手伝いをするきっかけにつながることの一つです。せっかくなので、大切な仕事のお手伝いを子どもに任せてみましょう。

「例えばテレワーク中、宅配便の受け取りや固定電話への応対など、困りますよね。こういったことこそ、子どもにしっかり任せましょう。応対の仕方を教え、『わからなかったら聞きに来て』と伝えます。無事やり遂げたら、感謝の言葉を忘れないこと!自営業の方は、家の仕事のお手伝いもお願いしてみてください」

三谷さんは実家が八百屋さんで、その仕事を小さな頃からきょうだい3人で手伝っていたそう。だからこそ仕事の大変さを体感し、両親への感謝も自然と生まれたとか。三谷さんの娘さんたちにも、雑誌や本の原稿書きを手伝ってもらっていたそうです。「原稿を読んでわかりにくいところや面白くないところを教えて」と。その時の経験が、今では娘さんの仕事に役に立っているそうです。


05
誕生日パーティーなど、家族イベントの
企画・運営を“予算付き”で任命してみよう

子どものお手伝い 家族イベントの企画
家族イベントの企画は、普段なら大人がやること。これを子どもたちに任せてみましょう。文字通りイベント感覚で楽しめそうですが、責任重大な立派な家事手伝いのひとつです。子どもたちは、楽しみながらさまざまな経験ができます。

「例えば、お父さんの誕生会を子どもたちに任せるとします。子どもには、予算のお金を渡して、趣旨を伝えます。あとはお任せで、自由に企画してもらいましょう。誕生会のアイディアを考える、必要なものを調べる、お店に行って買い物をする、お金の計算をする。『花束とケーキとプレゼント、予算内ですべては買えないから、プレゼントはお手紙やお父さんの似顔絵にしよう』などの発想力を育むことにもつながります。任せるのですから、子どもたちに『お母さんはここで歌をうたって』と言われたら従いましょう。Noは、なしです!」

似顔絵を描く子ども

「限られた予算と時間をどう使うのか。家族イベントの企画は、子どもたちの大きな成長につながります。成功したら、ともに喜び、ほめてあげましょう。自分で決めたことだからこそ、成功は自信につながり、失敗は反省につながります」

また、子どもが大きくなったら家族旅行の企画を任せてみるのもおすすめだそう。

「わが家では、次女が小学5年生のときに、予算10万円で家族5人の1泊旅行の企画を提案しました。次女は最初“自分にはムリ”と逃げていきましたが、翌週“やっぱりやる”と私に言ってきてくれました。それからは、2歳上の長女の助けをもらいながらも、ほとんどすべて自分で調べ、考え、電話して、予約を取って……。結果、とても楽しんで企画し、当日もツアーコンダクター役を見事にやり遂げました」


子どもが自ら考え、行動する練習にもなる家事や家業のお手伝い。子どもが創意工夫し、ときには失敗しながら頑張る姿を温かく見守ることが、大人の役割と言えます。今回、三谷さんに教えていただいたお手伝いメソッド、ぜひ親子でチャレンジしてみてくださいね。

前編はこちら

撮影/上原朋也 モデル/木村りょうさん、さやこさん、いとちゃん 取材・文/阿部里歩 監修/HugMug編集部

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