<教えてくれた人>
フリージャーナリスト 中野円佳さん
中野円佳さん
東京大学教育学部卒、日本経済新聞社入社。2014年、立命館大学大学院先端総合学術研究科で修士号取得、2015年4月よりフリージャーナリスト、 東京大学大学院教育学研究科博士課程修了 。厚生労働省「働き方の未来2035懇談会」、経済産業省「雇用関係によらない働き方に関する研究会」委員。著書に『「育休世代」のジレンマ』、『なぜ共働きも専業もしんどいのか』等。キッズラインを巡る報道でPEPジャーナリズム大賞2021特別賞。現在シンガポール在住、2児の母。


パパには結論だけを伝えるのではなく
日常的に相談することが大切

女性 ママ 再就職 話し合い
ママの再就職によるパパのメリットについては前編で教えていただきましたが、そうは言ってもいきなり「この仕事がしたい。だからパパも家事をやって」と結論だけを切り出してお願いしたのでは、パパの理解は得にくいと中野さんは言います。

「これまで私が取材して感じているのは、やはり再就職には夫がネックになることが多いということ。結局は『再就職はしていいけれど、家事はこれまで通りやってね』と考える人が大多数で、それでは単に女性の負担が増えるだけですよね。ですので、夫には再就職のメリットを伝えることから始め、思いや悩みを共有し理解を得ながら、一緒に考えるようにプロセスを踏むことが必要です。妻にとってはずっと思い悩んでいたことでも、夫にしてみたら『突然そんなことを言い出して・・』とならないように、少しずつ地ならしをしておきましょう」。

再就職のことに限らず、夫婦といえども言葉にしなければ伝わらないことはたくさん。見解の行き違いをなくすためにも、普段からコミュニケーションを密に取り、ママの再就職をまさに「夫婦で叶える」共同作業にしてしまうことが、再就職を成功させ、その後の生活も円滑にするポイントといえるでしょう。


20年30年先の
なりたい自分を思い描こう

女性 ママ 再就職 20年後
では、再就職に向けてどんな準備していけばいいのでしょうか。前編では、リハビリの感覚でまずはゆるゆると動き始めてみることを中野さんに提案していただきました。

「子どもが巣立つ20年30年先の自分を考えて、今の自分ができることをまずやりましょう。今は育児が第一で仕事は第二という考え方でもいいと思います。人生はまだまだ何十年も続いていきますし、長い目で見ると今どんな仕事をしたとしても、自分らしく人生を生きる価値につながるはずですから」。

確かに、家事・育児は目の前のやるべきことに追われがちで、中野さんの言う「先を見る」という感覚は持ちにくいかもしれません。たとえば、もしあなたが20年後にショップオーナーになっていたいと思い描いたなら、今は接客業のパートに就いて経験を積むこともいいですし、在宅でオンラインショップのHPを作る仕事を請け負ってみるのもいいでしょう。

収入という面も重視するなら、「無理のない範囲で複数かけもちするのもおすすめ」と中野さん。再就職の道には正解はなく、パパの理解と協力が得られ、ママ自身がなりたい自分を常に描き続けていけるような環境を整えることが大切でしょう。


オンラインの講座やセミナーが
再就職やステップアップに役立つ

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次に、中野さんが再就職の準備としておすすめしてくれたのは、キャリアアップのための学びについてです。

「コロナの状況下で、オンラインで講座やセミナーなどを受けられる機会が増えています。これまでは家事・育児の制約があり講座に通うのは難しかった人でも、自宅で自分のペースで受講ができるので、再就職やステップアップに役立てることが可能になるでしょう」。

中には、パパのリモートワークが進み、今まさに家事・育児の分担を見直しているというご家庭もあるかもしれません。積極的に勉強に取り組む姿をパパに見せることで、ママの再就職への本気度を伝えることになり、パパの家事・育児への協力体制も変わってくるのではないでしょうか。そして、ときには夫婦一緒に講座を受けてみるというのもお互いにとっていい刺激になりそうです。


多様化する働き方
自分に合った仕事を見つけよう!

さらに、中野さん曰く、最近はよりママの働き方が多様化し、仕事を見つけやすい状況だそう。

「ママや女性としてのキャリアを活かせるような仕事を多く扱うママ向けの就職エージェントも人気です。また、不都合な契約や安価で仕事を担い続けることにならないか注意は必要ですが、自宅で家事・育児をしながらインターネットを使ってフリーランスで働く業務提携の仕事(クラウドソーシング)も増えています。気軽にセミナーに参加したり、登録したり、まずは単発で仕事をしてみるのもおすすめです。仕事の評価やフィードバックを得ることは自分の実績や今後の自信になりますし、労働の対価として少額でも給料を得ることはモチベーションアップにもつながります」。


「何のために働くのかは人それぞれで、再就職してもはじめから希望するような仕事ができるかどうかも不確かです」と中野さん。でも、「社会で人とかかわり、認められながらお金を稼ぐという経験は、子どもがいい学校に入学できたとか、おしゃれなインテリアをSNSにあげて『いいね!』がたくさんついたといったようなものとはまったく別次元の承認欲求を満たすことができるはずです」。再就職をしてイキイキと働き暮らすママの姿は、パパの目にとても魅力的に映ることでしょう。より充実した毎日のために、再就職への第一歩をぜひ夫婦で踏み出してみてください。

前編はこちら