今どきママのリアルトーク
私らしく働くには?[前編]

結婚・妊娠・出産は、現代の女性にとっても大きなライフステージの転換点です。そして続く育児は、働き方、さらには生き方に大きな影響を与えていきます。働く母親の割合が70%を超えるという今、どうすればみんながハッピーに「私らしく働く」ことができるでしょうか。そこで、子育て真っ最中のママたちに仕事や育児に対する想いや悩みを聞きながら、キャリアコンサルタントの岩橋ひかりさんと一緒に理想の働き方を見つけていきたいと思います。

ワークスタイルに悩むママ4人に集まってもらいました

PROFILE
(左から)
館石瑞穂さん
夫と5歳女児との3人家族。高校卒業後、自分のためになる知識を身につけたいとインポート下着メーカーの接客・販売の仕事に就く。その後、ロンドンへの語学留学のため退職、アルバイトを掛けもちしつつ資金を貯め、1年後に渡英。帰国後はアクセサリーショップなどで働き、結婚・出産。現在はコンビニでパート中。

石渡愛弓さん
夫と4歳・2歳・0歳の男児との5人家族。歌手を目指していたが、シンガポールからのデビューか結婚かで結婚を選択。他にも音楽番組のリポーターやインポートの靴屋など、異色の経歴をもつ。現在はアメリカ在住の友人と古着などのオンラインショップを手がけているが、育児との両立が難しく後回しになっている。

星千枝さん
夫と8歳女児、4歳男児との4人家族だが、夫は仕事が不規則で不在がち。子どもが生まれるまでは都市銀行に勤めていたが、育児への夫の協力が難しいこと、長い人生の数年をとことん子どもと向き合うのもいいと考え、専業主婦に。その後は、司法書士事務所で1年間パートをしていたが、昨年10月に退職。現在は求職中。

近江谷みゆきさん
夫と5歳(4月から小学1年)の双子男児との4人家族。子どもが生まれる前は百貨店の美容部員として働いていた。「家にいるお母さん」が結婚前からの理想像で、専業主婦として子どもとの時間を一番大切に考えつつも、社会とつながりが薄くなってきているのが不安な毎日。しかし、臆病な気持ちもあり就活など実行に移せずにいる。

今回、相談にのってくれたアドバイザーの岩橋ひかりさん

PROFILE
株式会社MYコンパス 代表取締役/キャリアコンサルタント
岩橋ひかりさん
大手流通企業グループ傘下の銀行の新卒2期生として入社。広告利用促進・プロモーション業務や人事業務などに従事。仕事にやりがいをもちつつも、育児と仕事を両立させる中でワーキングマザーの働きづらさを痛感。「自分と同じように悩む女性を救いたい」との思いから第2子出産後に独立し、キャリア支援者としてスタートを切る。ワーキングマザーも受講しやすいコミュニティ型オンライン講座の開講や、女性の活躍に必要なスキルや経験を積むための実践型キャリア開発コミュニティの発足、キャリア専門ラジオ番組のメインパーソナリティ、自治体や教育機関での講演活動など広く活躍。国内外の多忙な子育て中の女性たちが場所や時間の制約なく軽やかにキャリアを楽しめるように、Webを活用した新しい支援のスタイルを提供している。プライベートでは8歳男児と4歳女児のママでもある。


答えは一つではない女性の生き方や働き方。
だからこそ何がやりたくて大事かを決めよう!

岩橋さん:今日はキャリアコンサルタントとしてはもちろん、同世代の子育て中のママとしても、皆さんと一緒に「私らしく働く」ことについて考えていきたいと思います。まず、星さんは昨年までパートをされていたそうですが……。

星さん:10月まで働いていた会社は、自分が興味ある仕事内容だったので長く働きたいと考えていました。ですが、残業や休日出勤が多く、子育てとの両立が難しくなり退職しました。今は次の仕事を探しているんですが、勤務時間などの条件と自分のやりたいことが合致する会社がなかなかない状態です。フルタイムなども考えたのですが、下の子がまだ幼稚園生なのと、夫が仕事で不在が多く、一人で子育てをしているような状態なので、自分が今一番にやるべきことは子育てかなと思い、両立できる職場を探しています。

岩橋さん:女性の生き方や働き方には選択肢がたくさんあって、基本的に答えは一つではないと私は思っています。だからこそ、自分がどうしたいか、何が大事かを決めることが大切です。星さんの場合は、自分の中で大事にしたいものがすでに明確にあり、素敵だと思います。

星さん:ありがとうございます。でも、銀行時代の同世代の昇進話を聞いたりするたびに、働くという手段を手放してしまったのは正解だったのかという葛藤もずっとあるんです。ですから、何か次につながることをしていたくて、ファイナンシャルプランナーの資格を取ったり、勉強も続けています。

ネガティブ思考を捨てて、
プラス方向にアンテナを張ろう!

岩橋さん:近江谷さんは、今年の春に息子さんたちが小学校に入学されるんですね。

近江谷さん:はい。自分の自由な時間が増えるので、具体的には未定ですが、何かできたらいいなとは思っています。でも、子どもが風邪引いたらどうしようなどマイナスなことばかり考えがちで……。あと、条件がいいなと思う仕事があっても、出遅れてすぐに募集が終わってしまうんです。もうそろそろ社会人だった年数と専業主婦の年数が同じになるので、それを越えるのは怖いですね。社会人だったって言えなくなるんじゃないかって。

岩橋さん:子どもの預け先など現実的な解決は必要ですが、ネガティブなことばかり考えてしまう思考を少しプラスの方向に向けると、動きやすくなるかもしれません。ネガティブなことを考えすぎると、誰でも怖くなりますからね。例えば、身近に身内がいなくても働いている人はどんなことをしているんだろう、というプラスの方向にアンテナを張ってはどうでしょうか。一つの事柄をどの角度から見るかによって、捉え方は随分変わってきますよ。

近江谷さん:なるほど。私は臆病になりがちで……。

岩橋さん:あとは、そもそも主婦層に人気の求人をあえて狙わないというのも一つの選択肢です。既存の求人に自分が合うか合わないかだけで選ぶ必要はないと思います。世の中にはもっと違う働き方をしている人がたくさんいて、会社に通うことだけが答えではないし、例えばインターネットを使って在宅で仕事をする人もたくさんいます。

頑張りスイッチを入れてくれる環境に
時には身を置いてみよう!

岩橋さん:館石さんは行動力があってパワフルな印象を受けました!

館石さん:働いていないとダメなタイプで、家にいるのが苦手なんです。コンビニのパートは、私にとってはずっとやりたい仕事ではないけれど、娘との時間を大切にしたい今の私の状況に合わせてできる仕事ということで納得しています。そして、娘が小学生になったらやりたい仕事を始めたいんですが、新しいことをするには勇気もお金も必要で……。物を作るのが好きなので、作ったものをオンラインショップなどで売るような在宅の仕事がしたいと思っていて、今は情報収集と資金集め中です。確かに、自分でやらないと何も始まらないなと思っています。でも時間が足りなくて。娘が寝た後にいろいろとやってはいるんですけれど。

岩橋さん:自分の進む方向を決めていて素晴らしいですね。これまでのお仕事や留学の体験など、過去の成功体験を踏まえて「行動力次第」とおっしゃっているから、その言葉は強い。私の場合は、疲れていて腰が重い時などは、一緒に頑張ろうとしている仲間や環境に身を置くことでパワーをもらっています。そういう自分の頑張りスイッチを入れてくれる環境をもっておくことも大事だなと思います。

やりたいことが明確なら、
まずは発信することから始めよう!

岩橋さん:石渡さんは経歴がとても個性的な印象を受けました。

石渡さん:結婚前までは興味をもったことをいろいろ仕事にしてきたんですが、結婚を機に全部辞めてしまいました。子どもも続けて3人生まれたので、今は働きたくても働けない状態です。私も家にずっといられない性格なので、オンラインショップだけではなく、地元にママや子どもたち、若い人やお年寄りまでが集まれるようなお店を作りたいと最近考えています。でも、まだどうやったらできるのか漠然と考えている段階です。

岩橋さん:もちろん今すぐはお子さんも小さいので難しいかもしれませんが、ブログなどに今の夢を書いておくと、応援してくれるファンや仲間が広がって、将来お店ができた時につながっていくかもしれません。やりたいことが明確な人は、まずはやりたいことを発信する。そうすると、たくさんのよい情報が集まってきますよ。挑戦して成長しようとしている人に対しては、みんな応援したくなるんです。漫画などの物語でも、主人公が壁を乗り越えて成長していくのを見て、応援したくなりますよね。

石渡さん:確かに、書いたら「やらなきゃ」という気持ちにもなりますよね。さっそくブログで発信してみます!


―いかがでしたか? 4人のママの悩みや理想は千差万別で、岩橋さんからのアドバイスもそれぞれ違ったものでした。はじめに岩橋さんがおっしゃっていたように、女性の生き方や働き方の答えは一つではなく、だからこそ面白いのかもしれません。では、次回の[後編]もお楽しみに。

撮影/有坂政晴 取材・文/鈴木志野

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