育休からの職場復帰。これから復帰を控えて、さまざまな不安を抱える育休中の方のお悩みに、先輩ママがお答えします。今回お悩みに答えてくれるのは、2児の母で、IT企業に勤務しながら育休コミュニティ「MIRAIS」を主宰する栗林真由美さん。現在育休中の方や育休中のパートナーがいる方のモヤモヤした気持ちが、すっと軽くなるようなヒントがいっぱいです。
<教えてくれた人>
新ワーママ革命コンサルタント
栗林真由美さん
IT企業に勤務する傍ら、育休コミュニティ「MIRAIS」を主宰。第一子の育休中に、「子どもがいるからこそキャリアを諦めない働き方を」という思いから、育休の勉強会の立ち上げなど精力的に活動。復帰後、社内で初めて時短での昇格を果たす。第二子の育休中に、育休コミュニティ「MIRAIS」を設立。ブログやインスタグラムなどで、ワーママのための情報を発信中。
Instagram:@mayumin_view
<育休中ママのお悩み 1>
初めての育休から職場復帰します。不安でいっぱいですが、何かできることはありますか?
初めての育休から職場復帰する方こそ、まずは復帰前に“会社と少しでもコミュニケーションを取ること”が大切です。育休中に全く連絡を取っておらず、会社の現状がわからないままいきなり復帰することにプレッシャーを感じますよね。会社側も、どうしているんだろう?ときっと気になられると思います。現状が見えないことからくる漠然とした不安もあると思うので、上司と連絡を取り合ったり、同僚に「今の会社の状況はどう?」と聞いてみたり、共有やリサーチをするだけでも、気持ちが楽になるはずです。
<育休中ママのお悩み 2>
2人目の育休中。1人目の職場復帰で大変な思いをしたので、復帰するのが怖いです。
第一子の職場復帰で何が一番大変だったかと聞かれたら、時短勤務やわが子の病気など、産休前のようにバリバリ働けないことや、職場に迷惑をかけているのではないかという罪悪感から無理をして働いてしまい、家庭へしわ寄せがいってしまったということを挙げられる方が多いと思います。育休中に自分がイメージしていた職場復帰とのギャップが激しく、逃げるように第二子の育休に入ってしまったという方も。「突発的に休んで申し訳ない」「1年も休んだから、自分で頑張らないと」と、誰にも相談ができず、自分で抱え込んでしまう方も多いように思います。
不安を感じているだけでは、どんどん不安は増大していくだけ。決して解消することはありません。「自分は何が不安なのか」を洗い出し、その不安を解消するためのアクションを考えて実践してみましょう。例えば、家事との両立に不安を抱えているなら、家事代行やベビーシッターを調べてみるなど、小さなことでも今できることが必ずあるはずです。
<育休中ママのお悩み 3>
子どもの病気で会社を休まなければならない時、職場に迷惑をかけているのではないかという罪悪感でいっぱいです。
会社やメンバーが一番困ってしまうのは、あなたが突発的に休むことではなく、突発的に休むことで“業務がストップすること”だと思います。あなたの業務を手伝いたい、代わりにやりたいけれど、誰も手がつけられない状態に困ってしまうのです。子どもはよく体調を崩すので、突発的に休むのは仕方がないことだと思います。大切なことは、休まなければならなくなったときに「ここまで作業したファイルを、手順書と一緒に共有フォルダに入れてあります」という対応が迅速にできるかということです。日頃から業務に関するコミュニケーションを積極的に取っておくのもいいですね。
中には「パートナーが協力的だから、わが家は大丈夫」という方もいますが、パートナーも一緒に体調を崩してしまう可能性もあります。いつ自分が休んでもいいように、日頃から業務を整えておきましょう。
<育休中ママのお悩み 4>
職場復帰をしたら、子どもとの時間が少なくなります。子育てに悪影響でしょうか?
「小学生になるまで近くにいたい」という方もいらっしゃいますが、関わる時間が少なくなっても、わが子への愛情が減るわけではないと思います。また、子どもは社会の中で育つとわたしは考えています。その環境を用意することも、親ができることの一つですよね。保育園や幼稚園で先生や友だちとの関係を築いていくことが、その子にとって最初に触れる社会だと思います。
考えるべきなのは、一緒に過ごす時間の長さではなく、一緒に過ごす時間に子どもとしっかり向き合えているか?ということではないでしょうか。仕事から帰ったあとの短い時間でも、一緒に遊ぶ時間を大切にする、作業の手を止めてしっかり話を聞く。密度の濃さの方が、子どもの成長にとって大切なことだと思います。
<育休中ママのお悩み 5>
昇格したり、管理職になったり、ワーママがキャリアを築くのはやっぱり難しいでしょうか?
きっとこのお悩みには、「昇格したいけど、長時間労働でないと成果が出せない、評価してもらえないですよね?」という気持ちが潜んでいるのではないでしょうか。働く時間に制約がある分、もちろん簡単ではないと思いますが、ワーママでも、やり方とマインド次第で、難しいことではないと、わたしは思っています。
とはいえ「時短の人は評価されないのではないか」「上司や管理職にママが少ないので難しいのではないか」と思う方も多いかもしれません。ですが、そういう気持ちをどこかに抱えたままだと、ことあるごとに「やっぱり難しかった!」と結論付け、気持ちが折れやすく、諦めやすくなってしまいます。さらに、ワーママの働き方も十人十色で、色んな考え方があり、迷ったりブレたりする要素がたくさん現れます。
根底にある「なぜわたしは働きたいか、なぜキャリアを築きたいか」という理由を考えてみてください。軸がはっきりしていれば、それを達成するためのやり方はいくらでもあります。自ずと長時間労働をすること以外の方法も見えてくるはずです。
育休明けの職場復帰前の不安はきっと誰もが抱えるもの。不安を解消する小さなアクションだけではなく、まずは自分の気持ちに耳を傾けてみることの大切さを改めて感じました。栗林さんのアドバイスで、これから職場復帰を控える方の心が少しでも軽くなりますように。
次回は、専業主婦の方が抱える再就職の不安と悩みについて、栗林さんにアドバイスをいただきます。
「専業主婦やパートで働くママが抱える、再就職の不安と悩み」はこちら
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イラスト:macco 編集・文:阿部里歩 監修:HugMug編集部