知りたい子どもの「枕選び」と「寝具の衣替え」
早く寝かしつける秘訣とは?

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<教えてくれた人>
ヒラノマリさん

ヒラノマリさん

スリープトレーナー・寝具コーディネーター。「スポーツ×睡眠」をコンセプトにした日本で唯一のアスリート専門の睡眠パーソナルトレーナー『スリープトレーナー』としてプロ野球選手、Jリーガー、五輪代表選手など、多くのプロアスリートの睡眠をサポート。
https://expartner.co.jp/talent/hirano-mari/


普段、何気なく枕を使っている方も多いのではないでしょうか。大人にとって枕は、頭を支えるだけでなく、マットレス(敷布団)と首との隙間を埋めて寝姿勢を支えたり、背骨のS字カーブを保つという役割があります。一方、成長途中の子どもの場合、大人とは枕の役割が異なります。子どもの睡眠の質を上げるためにも、枕の役割やどんな枕が最適なのか、枕の選び方などを知っておきましょう。


子どもにとって枕の役割とは?

子どもの場合、年齢によっても枕の役割が変わってきます。
0~1歳までは、吐き戻し防止、1~5歳ぐらいまでは汗の吸収や湿気の発散、6~9歳ぐらいまでは汗の吸収や湿気の発散に加えてマットレスと頭の隙間を埋めるため、10歳(小学校高学年)以降は、6~9歳の内容に加えて、寝姿勢を支えたり、背骨のS字カーブをサポートすることも枕の役割になります。
ただし、未就学児は枕がなくても寝返りがスムーズにできる場合が多いので、必ずしも必要ではありません。下記の枕選びのポイントを参考に、子どもの成長にあった枕を選びましょう。

大人と子どもの体の構造の違い

子どもの年齢によって枕の役割が変わるのは、背骨の形が年齢により変化するためです。赤ちゃんの背骨はC字カーブですが、歩き始める頃には背骨の湾曲が始まります。小学校低学年からは大人のような緩やかなS字カーブの背骨が形成されるようになり、10歳前後の小学校高学年ぐらいになると背骨のS字カーブが大人に近づいていきます。
赤ちゃんが抱っこされるとスヤスヤと寝つくのは、背骨のC字カーブが自然に保たれるためだと言われています。

子どもは何歳から枕が必要?

未就学児は、身体が柔軟で、枕がなくても寝返りがスムーズにできる場合が多いため、必ずしも枕は必要ではありません。ただし、うつぶせ寝の時間が長い、寝相が悪すぎるなどの場合は、未就学児でも枕の使用を検討してもいいでしょう。

個人差もありますが、小学校低学年頃が、大人のような緩やかなS字カーブの背骨が形成される時期にあたるので、1年生ぐらいから首の長さ・カーブに合った子ども用の枕を使用することをおすすめします。また、小学校1年生の平均身長が110㎝前後ですので、未就学児でも身長が110㎝前後の場合は枕の使用を検討してもいいでしょう。
なお、子ども用の枕の一般的なサイズは40㎝×29㎝、大人用の枕の一般的なサイズは63㎝×43㎝になります。

何歳から大人の枕に切り換える?

小学校の高学年くらいになると、子ども用の枕ではサイズが小さくなり、高さが足りず、寝返りがしにくくなってしまうことがあります。ですので、身長や体型にもよりますが、小学校高学年ぐらいからは大人用の低めの枕に切り換えるといいでしょう。


子どもの枕選びのポイント

どのような視点で子ども用の枕を選んでいますか?
一口に子ども用の枕といっても様々な大きさがあります。子どもは日々成長し、身長や骨格が変わると身体に合う枕も変わってきます。また、子どもは、枕が身体にあっていなくても眠れる場合が多いのですが、それにより睡眠の質が悪くなってしまうと、成長ホルモンの分泌量などにも影響が出てしまいます。下記のポイントを参考に、子どもにあう枕を見つけましょう。

理想の寝姿勢が保てるものを選ぼう

子どもの枕選び

理想の寝姿勢(仰向け)は、自然な立ち姿のまま横になったような姿勢です。この寝姿勢なら無理なくS字カーブを保つことができるのです。
子ども用の枕は、理想の寝姿勢が保てるものを選ぶといいでしょう。
今使っている枕が合っているかどうかを確かめるには、子どもの寝姿勢を真横からチェックしてみてください。理想の寝姿勢になっていれば、合っていると言えるでしょう。

また、マットレス(敷布団)と首との隙間を埋めるようなものを選ぶのがポイントです。枕の高さの目安を知るには、使用しているマットレス(敷布団)の上に子どもを仰向けに寝かせて、首との隙間にバスタオルを入れて測ってみるといいでしょう。

高さを測るのが面倒な場合は、スポンジやウレタンなど枕の中身の素材が出し入れでき、高さが調整できるタイプの枕もおすすめです。

体型や身長に合わせて高さで選ぼう

子どもの場合、1年間で5~10cm身長が伸びることもあります。身長がそれだけ伸びているということは、筋肉や骨も同じように成長しています。身長や骨格が変わると身体に合う枕も変わってくるので、身長が急激に伸びたときなどは枕の見直しのいいタイミングです。
枕の横幅は子どもの肩幅よりも大きめのものを、縦幅は頭の形よりも大きいものを選ぶようにしましょう。
枕のサイズが合っていないと、首を寝違える原因にもなりやすいので、半年に1回は枕が身体に合っているかチェックしてあげましょう。

買い替えが面倒な場合は、最初から高さが調整できるタイプの枕を選ぶのもおすすめです。先に記したように、中身の素材の量を出し入れできるものや、折りたたみ方で高さを変えることができるタイプなど、たくさん種類があるので調整しやすいものを選ぶといいでしょう。

通気性の良さで選ぼう

子どもは大人よりも体温が高いため、枕の通気性が悪いと頭に熱がこもりやすくなってしまいます。そうすると、深部体温(脳や内臓の温度)が下がりにくくなり、睡眠の質が下がってしまうケースも。そのため、枕表面の側生地は、通気性のよい綿素材など天然素材のものがおすすめです。低反発や高反発の枕を選ぶ場合は、通気性が悪くなりがちで蒸れやすいので、カバーの中に除湿シートを一緒に入れるといった工夫をすると寝苦しさを軽減できるでしょう。

汗の処理ができて清潔に保てる素材で選ぼう

子どもは大人より多く汗をかきやすく、枕が汗や皮脂で汚れやすいものです。汗が枕に染み込んだままにしておくと、カビやダニの発生につながってしまいます。そのため、丸洗いできる枕を選ぶと衛生的です。高反発ファイバーやパイプ、ポリエステルわたのタイプは枕本体を洗えるものが多くあります。丸洗いが難しくても、外側のカバーが取り外しでき、自宅で洗濯できるものを選ぶといいでしょう。

子どもの好きなデザインで選ぼう

枕は毎日使うものです。子どもが寝るのが楽しみになるようなデザインや色を選んであげるといいでしょう。ピローケースなどで工夫してあげるのもおすすめです。


子どもを早く寝かしつけるための方法とは?

子どもを早く寝かしつける方法

子どもを早く寝かすには、寝室の環境や小さい頃からの習慣も大事になってきます。また、自然に眠くなる身体をつくることもポイントです。睡眠不足がきっかけで学校生活や心身の健康に支障が出ている子どもたちも増えているようですので、子どもを早く寝かせるようにしましょう。

自分からベッドに行く習慣をつけよう

子どもを早く寝かすには、できるだけ小さいうちから「自分からベッドに行く習慣」をつけることが重要です。そのため、子ども用のベッドや寝床を早いうちから用意して「自分の城」を作ってあげるといいでしょう。

温湿度計を置いて、寝室環境を「見える化」に

質の良い睡眠 温湿度計

寝室には、温度と湿度を計ることができる「温湿度計」を置いておくのがおすすめです。温湿度計を置いておけば、寝室環境を「見える化」することができるので、エアコンや加湿器を使用する目安になったり、夏場は睡眠時の熱中症予防にも活用できます。

また、洋服を衣替えするように、寝具も季節に合わせて衣替えをすることが大切。室温が15~19℃であれば冬用の羽毛布団が快適ですが、20℃を超えたら薄手の肌掛け布団に切り替えるといいでしょう。子どもは大人よりも体温が高いため、20℃を超えると、寝相が悪くなってしまったり、布団を蹴飛ばしてしまったりするものです。
また快適な睡眠には、湿度は50%がベスト。梅雨時は、すぐに湿度が上がってしまうので除湿器などで調整するようにしましょう。

毎日続けられるご褒美を用意しよう

子ども自身が早く寝ることを楽しみながら取り組むことも大事です。おすすめの便利グッズは、子ども用のスマートウォッチ。睡眠時間や睡眠の質が測れるので、睡眠の見える化ができ、中には数値や点数が出るものあるので、子どもはゲーム感覚で早く寝ることが楽しみになるでしょう。子どもが自らベッドに行ったらシールを貼ってあげる、絵本を多めに読んであげるなど、親御さんにとって負担にならない形で毎日続けられるご褒美を用意するのもおすすめです。

ブルーライトカット対策をしよう

「自然に眠くなる身体」「眠たくて自分からベッドに行きたくなる身体」をつくるためには、ブルーライトカット対策が大事です。夜にブルーライトを浴びると、睡眠ホルモンと言われているメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。メラトニンは、脈拍、体温、血圧を低下させてくれる役割があり、自然な眠りには必要不可欠なホルモンで、睡眠の質の良し悪しを左右していると言っても過言ではありません。
メラトニンの分泌が抑制されてしまうと、脳が昼間だと勘違いしてしまい、なかなか眠くならなかったり、睡眠の質を低下させてしまいます。
ブルールーライトをカットするためには、下記の①~③を行うといいでしょう。
①ブルーライトのカットメガネを着ける
②パソコンやスマートフォンをブルーライトカットモードにする。ブルーライトカットのシートを貼る
③夕方以降は、お部屋の明るさを落とし、電球を白色のLEDから電球色(オレンジ色)に変える

ブルーライトと聞くと、パソコンやスマートフォンを思い浮かべる方も多いかと思いますが、実は白色系のLED照明やテレビの画面からもブルーライトが出ています。夕食後にテレビを観るときにも、ブルーライトカットメガネを着けた方が、メラトニンや成長ホルモンへのダメージを最小限にすることができます。ブルーライトカットメガネは数千円で手に入るので、ひとつ持っておくといいでしょう。

タオル枕って何?使い方は?

タオル枕とは、バスタオルを折ってつくる枕のことです。枕を使うと落ち着かない、眠れないなど、枕自体が苦手という子どもには、タオル枕をつくってあげるといいでしょう。タオル枕のメリットは、バスタオルを折っているだけなので枕の高さを簡単に調整でき、他の洗濯物と一緒にそのまま、毎日洗濯できるという点です。汗をたくさんかく子どもにとって、清潔に枕を保つことができます。デメリットしては、バスタオルを折っているだけなので形が崩れやすいという点です。枕カバーに入れるなどしてできるだけ崩れにくくすることがポイントです。林間学校や合宿などで枕が合わなくて眠れない場合にもバスタオルを折って枕がわりにすることができるので、子どもにタオル枕のつくり方を教えておくといいでしょう。


まとめ

睡眠の質が悪くなってしまうのは枕が原因の場合もあります。子どもの場合、睡眠の質が悪くなってしまと、成長ホルモンの分泌量などにも影響が出てしまうことに。子どもの健やかな成長のためにも、今回紹介した枕選びのポイントを参考に、子どもの身体にあったものを選んであげるといいでしょう。また、子どもは日々成長し、身長や骨格が変わると身体に合う枕も変わってくるため、半年に1回は枕が身体に合っているかチェックしてあげることも大事です。寝室の環境や寝具選び、早く寝ることが楽しみなるようなご褒美を用意してあげることも質のよい睡眠につながるので、できることから取り入れてみてください。

睡眠は子どもの脳の発育に影響!?
今すぐできる睡眠の質を上げる方法

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子どもの眠りが浅いかも…と感じたことはありませんか?子どもにとって睡眠は、身体を休めるだけでなく、脳を育てるためにも大事だと言われています。そこで、日々の生活の中で、子どもの睡眠の質を向上させるための方法をご紹介します。できることから取り入れてみましょう。

子どもの睡眠は脳の成長にも重要!?

子どもの睡眠

大人と子どもでは、睡眠の役割が違うのをご存知ですか?
大人にとって睡眠は、脳と体のメンテナンスが主な役割。一方、子どもにとってはそれだけでなく「脳を育てる」という大きな役割があるのです。
睡眠は、脳も体も眠っている状態の「ノンレム睡眠」と、脳は起きていて体は眠っている状態の「レム睡眠」を交互に繰り返しているのですが、その割合が脳の成長と密接に関係しています。

脳の成長と睡眠が関係している理由

大脳は、乳幼児期から12歳くらいにかけて、大人の脳へと成長していきます。脳の神経回路はレム睡眠により形成されるため、新生児の睡眠はレム睡眠が約半分を占めています。それが7歳以降になるとレム睡眠が20%程度減少し、ノンレム睡眠が増加していきます。これは、増えすぎた脳内の神経回路を整理する役割をノンレム睡眠が担っているからです。
思春期になると、深いノンレム睡眠が脳の最後の総仕上げを行い、認知スキルや合理的思考、客観的思考なども育っていきます。こうした脳を育てる作業は睡眠中にしか行われないため、子どもの大脳の成長に睡眠は不可欠なのです。

睡眠が不足すると、キレやすく情緒不安定になることも!

睡眠は、記憶や感情のコントールを司る脳の前頭連合野(ぜんとうれんごうや)と頭頂連合野(とうちょうれんごうや)にも影響します。睡眠が不足すると脳機能の働きが落ちてしまうため、注意力や記憶力、論理的思考力が低下したり、キレやすく情緒が不安定になってしまったりと、子どもにダイレクトに影響を及ぼしてしまうのです。

日光を浴びずに不規則な睡眠をとっていると、脳の発達に影響する

日光浴をすることによって脳内に分泌されるのが「セロトニン」です。セロトニンが分泌されると、睡眠ホルモンである「メラトニン」のもとが分泌されます。
つまり、セロトニンがきちんと分泌されていないと、質の良い睡眠がとることが難しくなってしまいます。子どもの脳の発達のためにも質のよい睡眠は大事ですので、日光を浴びてセロトニンを分泌させることが必要です。

日光浴をすることによって生成されるビタミンDは、セロトニンを分泌させるためにも重要だと言われています。また、ビタミンDは骨の成長に必要なカルシウムを体内に取り込みやすくし、骨化を正常に進行する働きがあるので、子どもの成長にとっても大切な役割をはたしています。

ビタミンDは食べ物からも摂取できますが、日光を浴びて肌でつくられるビタミンDのほうが得られる量が多いので効率的でしょう。

子どもの睡眠は運動技能向上にもメリットが?!

プロのアスリートに話を聞くと、親御さんの睡眠への意識が高く、「子どもの頃は9~10時間は寝ていた」「毎日お昼寝をするのが当たり前だった」という方が多いことがわかります。
実は、十分睡眠をとることは運動技能の上達につながると言っても過言ではありません。先にも述べたように、眠っている間は、ノンレム睡眠とレム睡眠を交互に繰り返し、睡眠前半は深いノンレム睡眠、睡眠後半は浅いノンレム睡眠やレム睡眠が多いのが特徴です。睡眠前半と後半とでは、子どもにとって大切な「記憶」への役割が変わってくるのです。
睡眠前半の深いノンレム睡眠では学習の記憶力が向上し、睡眠後半の朝方の浅いノンレム睡眠では、運動技能の記憶を定着させる役割があると言われています。つまり、睡眠後半に日中の練習やトレーニングの効果を定着させる役割があるので、とくにスポーツに打ち込んでいる子にとっては、睡眠後半も重要なのです。睡眠時間が少ないと、朝方の浅い睡眠が出現せずに起床することになってしまうので、十分な睡眠時間を確保することが大切です。

子どもにとって適切な睡眠時間は?

子どもの睡眠にとって大事なことの1つは睡眠時間の確保です。
子どもの睡眠時間は、下記の時間が適切と言われています。

・新生児(0~3か月):14~17時間
・乳幼児(4~11か月):12~15時間
・幼児(1~2歳):11~14時間
・未就学児(3~5歳):10~13時間
・就学児(6~13歳):9~11時間

適切な睡眠時間は幅が広く設けられていますよね。ですので、もし睡眠時間が足りていなかったとしても、例えば小学生であれば、いきなり11時間を目指す必要はなく、まずは9時間を目指し、少しずつ睡眠時間を伸ばすように心がけましょう。

とはいえ、毎日睡眠時間を確保しようとすると、親御さんにとってもプレッシャーになるもの。そのため、1日の睡眠時間で考えるのではなく、遅くなった次の日は30分早く寝るなど1週間単位で考えるのがおすすめです。また、1週間のスケジュール確認する際に、この日なら早目に寝ることができそうという日をチェックしておくのもいいでしょう。


子どもが夜なかなか寝ない原因は?

子どもが夜なかなか寝ないのは、生活リズムの乱れや、環境の変化、心理的ストレスなどが原因になっていることもあるでしょう。その原因により、対策の仕方が変わってくるので、まずはが何が原因で眠れないのかを突き止めることが解決の最短ルートになります。

生活リズムの乱れ

夜更かしがしばらく続くと、体内時計も後ろにズレて深部体温(脳や内臓の温度)が下がる時間帯や眠気のホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌も後ろ倒しになり、早く寝ようとしても身体が眠る体勢になっていないので、なかなか寝付くことができなくなってしまうのです。


睡眠の質を向上させるための生活習慣の工夫

巷でよく耳にする「質のよい睡眠」。その意味をご存知ですか?
質のよい睡眠とは、スムーズに寝つくことができ、心身ともに回復できる睡眠のこと。子どもにとっても、質のよい睡眠をとることが重要です。成長ホルモンは、入眠して最初の深い睡眠時に70~80%が分泌され、とくに最初の90分に途中で目覚めず深く眠れているかどうかが影響します。成長ホルモンの分泌を促すためにも、質のよい眠りが大切なのです。日々の生活の中で、夕食や入浴時間に気を付け、ブルーライトを抑制するよう働きかけるだけでも、睡眠の質の向上につながると言えるでしょう。

夕食は就寝3時間前、入浴は就寝1時間半前までに済ませる

睡眠の質を上げる方法 就寝前のお風呂

質のよい睡眠をとるためには、就寝前のお風呂と食事の時間大切です。お風呂は湯船にしっかり浸かり、就寝1時間半前にはあがるようにしましょう。食事は就寝3時間前に食べ終えるのがポイントです。少し気をつけることで、子どもの寝つきは変わってくるものです。
子どもの睡眠にとって、睡眠時間の確保と質のよい睡眠の両方が大切ではあるものの、日々忙しい中では、むずかしいという方も多いかもしれません。そういう方は、やりやすい方から始めてみてください。また、継続することで習慣になり、いずれ子ども自身でできるようになるでしょう。

眠る前のスマホ・タブレットなどブルーライトを控える

睡眠の質を上げる方法 照明 ブルーライト対策

子どもの目は水晶体が澄んでいて、瞳孔も大きいので、大人よりもブルーライトや光の影響を受けやすく、とくに夜、ブルーライトや明るい光を浴びてしまうと、睡眠中に成長ホルモンの分泌を促すメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。また、メラトニンは、脈拍、体温、血圧を低下させる役割があるので、自然な眠りを促すためにも必要不可欠なのです。

手っ取り早くブルーライトや明るい光を抑制するには、夕方以降、部屋の明るさを少し落とすといいでしょう。間接照明を使って少し部屋を暗くしたり、LED照明なら色を切り替えることができるので、白色系にしていた場合は、電球色と呼ばれるオレンジ色の明かりに替えることです。ブルーライトと聞くと、パソコンやスマートフォン、テレビを思い浮かべがちですが、実は白色系のLED照明からもブルーライトは出ているのです。

また、ブルーライトのカットメガネを活用するのもおすすめです。ブルーライトのカットメガネは数千円で手に入るので、習い事などで帰宅が遅くなる時や、夜パソコンを使ったり、テレビを見る時などに着けるといいでしょう。

日中適度な運動をする(公園に行く)

⽇中に最⼤酸素摂取の60%の強度で運動を1時間⾏うことで、夜は時間が短くても質のよい睡眠がとれ、睡眠が安定するという筑波大学の研究が出ています。最⼤酸素摂取の60%の強度の運動というのは、しっかりめのウォーキングに相当します。子どもの場合、公園で思いきり遊べば、睡眠の質が高まりやすいと言えるでしょう。
参照論文:https://www.nature.com/articles/s41598-021-83817-6

眠る前に軽くストレッチをする

首や肩、背中は睡眠にも大切な自律神経が集中している部位でもあり、これらの筋肉が凝って硬くなってしまうと自律神経が乱れやすく、睡眠の質が下がってしまうことがあります。ですので、お風呂上りや就寝前にストレッチをして、首や肩、背中の筋肉を緩めてあげると、眠りやすくなでしょう。

寝る環境を整えよう

温度や湿度、寝具など寝室環境を整えたり、照明などの光を工夫すること大事です。上記に記したように、夕方以降、部屋の明るさを少し落とすといいでしょう。寝室や子ども部屋に、白色のLED電球を使っている場合は、調色(電球の色を白色~オレンジ系にリモコンひとつで変えられるタイプのもの)ができるシーリングライトにするのもおすすめです。量販店やネットなどで1万円以下で手に入るものも出回っています。

寝つきをよくする音楽を聴く

寝るときに静かな音楽を聴くと寝入るまでの覚醒度が低下して眠りやすくなりますが、眠ったあとも音楽を聞き続けると睡眠を妨害して目が覚めやすくなってしまいます。ですので、タイマーなどで時間設定をしておくようにしましょう。


睡眠の質を向上させるための食習慣の工夫

睡眠の質を向上させる食習慣としては、「朝食をとること」と「トリプトファンを含む食べ物をとる」ことが大事です。朝食を食べることによって胃腸の体内時計がリセットされ、自然と眠くなるような体を作ることができるようになるからです。また、トリプトファンは必須アミノ酸の1つで、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンのもとになるので睡眠と深く関係があると言われています。トリプトファンは体内では合成できないため、毎日食べ物から摂取するように心掛けることが大事です

朝食をとる習慣をつけよう

胃腸は「第2の体内時計」と呼ばれているほど、生体リズムに重要な役割を果たしています。体内時計がズレてしまうと、深部体温(脳や内臓の温度)が下がる時間帯や眠気のホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌も後倒しになり、早く寝ようとしても身体が眠る体勢になっていないので中々寝付くことができず、睡眠の質が下がってしまう原因に。

そこで大切になってくるのが、朝食です。朝食を食べることによって胃腸の体内時計がリセットされ、然るべき時間に眠くなるような体を作ることができるのです。

トリプトファンを含む食べ物をとる

トリプトファンは必須アミノ酸の1つで、体内では合成できないため毎日食べ物から摂取する必要があります。トリプトファンは、肉、魚、卵、大豆、乳類、バナナ、白米などに含まれ、特に鮭、納豆、たまご、白米、みそに多く含まれています。

摂取したトリプトファンは、トリプトファン(必須アミノ酸)→セロトニン(幸せホルモンと呼ばれており、精神の安定にも大切)→メラトニン(睡眠ホルモン)と時間をかけて体内で進化(変化)します。約15時間をかけて睡眠ホルモンのメラトニンになるため、逆算をして朝食でトリプトファンを意識して摂取するといいでしょう。


まとめ

睡眠の質を上げることは、子どもの成長や脳の発育にとっても大事です。今回ご紹介したように食事や入浴の時間、朝食を習慣にするなど、できることから取り入れることで、子どもの睡眠の質は変わってくるはずです。また、眠る前のスマホ・タブレットなどブルーライトの抑制は質のよい睡眠はもちろん、自然に眠くなる身体をつくるためにも大切ですので、実践してみるといいでしょう。


いかがでしたか?前編では、睡眠と脳の成長の関係、子どもにとって適切な睡眠時間や質のよい睡眠をとる秘訣をお届けしました。後編では、枕選びのコツや寝具の衣替えのタイミングをご紹介します。