KUMONでは、自分らしく働く、くもんの先生にご登壇いただき、先生になったきっかけや、働き方についてお話しいただく「くもんの先生ウェビナー」を定期的に開催しています。2025年8月の開催では、学校の先生からくもんの先生にキャリアチェンジをし、活躍されている二名がご登壇。キャリアコンサルタントの金子加代子さんの進行のもと、仕事のやりがいや、子育てと仕事の両立について、参加者からの質問にもお答えしながら、リアルな体験談をお話しいただきました。
キャリアコンサルタント・金子加代子さん
Colorful-Life代表。行政機関、キャリアセンターなどで累計3000人以上の働き方の相談業務に従事。その後独立し、ライフステージの変化に影響されずに、人生の舵を自分で取る「自己理解メソッド」を開発し、30代40代の女性を中心としたライフキャリア支援を行う。
平山智子先生(東京都)
公立小学校の元教員。先生としてのやりがいを感じながらも、家庭との両立を大切にしたいという想いから、わが子が小1、年長の時に、くもんの先生へキャリアチェンジ。子どもたち一人ひとりに長く寄り添えるやりがいや、公文式の「学力だけでなく非認知能力も育む力」を実感している。
中澤未佳先生(新潟県)
公立中学校の元教員。「子どもたちの成長に関われて、子育てや家庭とも両立できる仕事がしたい」と、くもんの先生になることを決意。開設当時、わが子は3歳。わが子との時間を大切にしながら、地域の子どもたちの成長を長く見守れる、やりがいのある仕事だと感じている。
くもんの先生と教員の働き方の違い
金子さん 本日ご登壇いただいた先生方は、お二人とも元教員。そこからキャリアチェンジをされて、くもんの先生になられました。まずは学校の先生とくもんの先生のお仕事で、大きく違うと感じる点を教えてください。
平山先生 どちらも教育に関わる仕事であることに変わりはありませんが、やはり立場が異なると感じています。大きく違うのは、くもんの先生は個人事業主であるため、自分でコントロールできることが多いという点です。自分が「こうしたい」と思えば、教室の運営や雰囲気を変えていける、そうした自由度の高さが違いだと思います。
金子さん ある程度ご自身の裁量で、様々なことを組み立てていけることが大きな違いということですね。中澤先生はいかがですか?
中澤先生 私も時間の使い方は教員時代とは大きく異なると感じています。平山先生がおっしゃった通り、教室を運営するのは自分ですので、時間の使い方にはかなり融通が利きます。また、中学校で教員をしていた頃は部活動の指導もあり、土日に出勤することもありました。しかし、くもんの先生の場合は、例えば土日でも午前中だけ仕事をするなど、自分で調整ができる点が大きな違いだと思います。
金子さん 参加者の方から、中澤先生にご質問をいただいています。先生は、お子さまが3歳のときに開設されたと伺っていますが、「3歳の子どもがいる状態での両立は可能ですか?」という質問についてはいかがでしょうか。
中澤先生 私の場合は同居している母がおりましたので、仕事の際は息子を母にお願いしています。ですので、両立が可能かどうかというと、私は家族の協力があってこそ、この仕事と子育てを両立できているのかなと思います。
金子さん 周囲から協力を得ながら、続けてこられたということですね。平山先生もお子さまがいらっしゃいますが、そのあたりはいかがでしょうか?
平山先生 私は近くに頼れる親戚がいないため、教室のある日はシルバー人材の方にお願いして、わが子を教室まで送っていただいたこともありますし、自宅で夕食を用意するお手伝いをお願いしたこともあります。わが子が体調を崩してしまったときは、教室日は夫にお願いし、それ以外の日は私が面倒を見るというふうに、折り合いをつけながらやってきたと思います。

金子さん ご家族のサポートはとても大きな役割を果たしてきたのではないかと思います。では、くもんの先生になろうと考えたとき、ご家族からは最初どのような反応がありましたか。
平山先生 私自身、教員の頃は子どもたちを保育園に通わせながら毎日バタバタしていました。その様子は家族にも伝わっていたと思います。ですので、仕事を変えてみようかなと思ったときに、夫は「やってみたらいいんじゃない?」と前向きな言葉をかけてくれました。
中澤先生 我が家の場合も賛成で、「やってみたら?」と背中を押してもらいました。当時、息子はまだ小さく、お母さんが働くというイメージ自体がなかった頃です。幼稚園に上がるタイミングで「お母さん、ちょっと仕事をしてみたいんだけど、いいかな?」と話したところ、「ちょっとだけならいいよ」と返ってきたんです。「ちょっとだけ」が、むしろ私にとってちょうどいい働き方だなと思って、くもんの先生を始めることができました。
金子さん 素敵ですね。当時3歳とはいえ、きちんとコミュニケーションを取りながら、新しいお仕事をスタートされた中澤先生、本当に素晴らしいと思います。
▲当日のトークセッションの様子
元教員から見る、公文式の魅力とは?
金子さん ではここで、教員としてのご経験からもお聞きしたいのですが、元教員の立場から見た公文式の特長や魅力は、どのような点にあるとお考えでしょうか?
中澤先生 公文式の一番の魅力は、何といっても教材だと感じています。KUMONの教材は唯一無二で、本当によく考え抜かれてつくられていますし、常に新しいものへ進化し続けているのを感じます。教員の頃は、教員が前に立って子どもたちを引っ張るというイメージでしたが、くもんの先生になってからは、私自身が前に立つというよりも、教材を前に立てて子どもたちと並走し、ときには後ろから見守るような立ち位置へと変わったと強く感じています。

平山先生 私も中澤先生と同じで、まず教材の完成度の高さに感動したことをよく覚えています。数字ひとつにしても、「この次にこういう仕掛けがあるんだ」といった工夫が随所にあります。また、中澤先生がおっしゃった「教材を前に立てて指導者が伴走する」という点ですが、私の中では、子どもたちが真ん中にいて、その教材を使いながら「どう進んでいくか」というビジョンを一緒に考えていくイメージで、それも楽しいと感じています。
金子さん お二人とも共通して挙げられたのは、教材の素晴らしさという点ですね。教材や学習指導などに関して、研修や自己研鑽の機会はどの程度あるのでしょうか。
中澤先生 自分が求めれば求めるほど、さまざまな方法があると感じています。例えば、先生専用のサイトがあり、そこでは教材や指導などについて動画で学べますし、先生同士で集まって自主的に勉強会を行うこともあります。また、※ブランチが主催する講座もあり、本当に学ぶ機会が豊富です。自分が必要とする学びは、探せば必ずどこかにあるという環境がとてもありがたいなと思っています。
※KUMONには、全国の各地域でくもんの先生を支えているブランチというチームがあります。
平山先生 先生同士で集まると、自然と教材の話になることも多くて、「この教材のこの部分はこうなるといいよね」といった情報交換が、日常会話のように行われています。そういう意味でも、日々研鑽できる場があちこちにあると感じています。

金子さん 先生同士のつながりの中で、自然と情報交換が生まれて、それが日々の研鑽にもつながっているのかなと感じました。
先生たちが経験した“不安”とその乗り越え方
金子さん くもんの先生になろうと思ったとき、不安に感じたことはありましたか? そして、その不安をどのように乗り越えてこられたのか、お聞かせいただければと思います。
平山先生 それまで公務員だったこともあり、この仕事を始めようと決めたときは、収入面が一番不安でした。けれども「やってみないとわからない」という思いでスタートしてみると、憧れる先生との出会いや、想像以上に活発な先生同士の交流がありました。例えば「こういうときはこうするといいですよ」「こういうやり方もあります」といった情報交換を重ねるうちに、不安は少しずつ解消されていったように思います。
金子さん 中澤先生は、開設時期がコロナ禍だったとおっしゃっていましたが、くもんの先生になられる際、不安に感じたことはありましたか?その不安は、どのように乗り越えてこられたのでしょうか。
中澤先生 私は、くもんの先生が個人事業主であることを知らず、説明会に参加しましたが、挑戦してみたいという気持ちの方が強くなり、思い切って、くもんの先生の仕事に飛び込みました。どちらかというと、教室を開設してから、「ここはどうしたらいいのだろう?」という不安がたくさん出てきました。そんなとき、1年目はブランチの担当スタッフの方が並走してくださったり、先輩の先生方からアドバイスをいただいたりしました。そうした支えのおかげで乗り越えられたと、今でも感謝しています。

金子さん あっという間に終了の時間が近づいてきてしまいました。最後に一言、これからのビジョンや目標、ご参加いただいている皆さまへのメッセージをお願いします。
平山先生 教室に通う期間は、生徒さんによって様々ですし、人生の中では短い時間かもしれません。それでも、教室での経験やKUMONで学んだことが、将来「あのとき頑張れた」と思って支えになるような教室を目指して、日々頑張っています。また、陰ながら学校の先生方の支えにもなれたらと、強く尊敬の気持ちを持っています。その思いを胸に、これからもそういう教室づくりをしていきたいと思っています。
中澤先生 私も教員を辛くて辞めたというわけではありません。もちろん大変だと思うことはありましたが、本当に素晴らしい仕事だと今も感じています。くもんの先生という立場になってからは、子どもたちとの関わり方は変わりましたが、学校と家庭に加え、子どもたちにとっての第3の居場所になれるような教室でありたいと思っています。6年前にした自分の選択が正しかったのかどうか、今でも悩むことはありますが、この選択が誰かの新しい一歩のきっかけになれば嬉しいです。
金子さん 本日は、教員からキャリアチェンジされたお二人の先生にお話を伺いました。迷いや葛藤を抱えたときこそ、お二人は自分自身と真剣に向き合い、「これからどう生きるか」「どう働くか」を問い直してこられました。その選択と行動の積み重ねが、今のやりがいと生き生きとしたお姿につながっているのだと感じます。
人生の舵は、いつからでも、何度でも、何歳からでも取り直せる。今日のお話が、ご自身のこれからを見つめ直すきっかけになれば嬉しく思います。
ウェビナーでは、他にも本記事では取り上げきれなかった質問にもお答えいただいております。詳細はぜひアーカイブ動画をご覧ください。
「くもんの先生ウェビナー」は年に数回定期的に開催しております。他にも「実家が遠い × 子育て × 仕事、どうする?くもんの先生」「小1の壁、解消!?くもんの先生の働き方」などのテーマを取り上げております。上記サイト内のフォームからご登録いただくと過去開催分がご視聴いただけます。興味がある方はぜひそちらもご覧ください。