インタビューの後編では、“学習環境を整える”という観点から、教室レイアウト*や掲示物についてお話しいただきました。「教室は生き物」と語る植本瑛子先生ならではの、掲示物へのこだわりや、2つの教室を開設しているからこそのレイアウトの工夫など、普段は聞けないエピソードがいっぱいです。
*教室レイアウトとは、教室内の机や椅子などの配置のこと
目に入る掲示物は
モチベーションを上げるための仕掛け
子どもたちにとっての理想の学習環境を目指して、これまで多くの先輩の先生方の教室を見学させていただいたり、地域の仲間の先生と相談しながら、色んなアイディアや工夫を重ねて試行錯誤してきました。そして今、私が思う理想の学習環境は、子どもたちが学習に集中できるようにするため、必要最低限のものだけが見えるようにし、常に整理整頓されてキレイであること。そして、モチベーションを上げるための仕掛けが施されていることです。その仕掛けの一つが、掲示物。私の教室では、「最終教材を目指しましょう」というメッセージとともに「教材内容一覧」を貼り付けています。「最後の教材までまだこんなにもあるの?」と思うかもしれませんが、最終教材までの道のりを知っているか知らないかで、気持ち的にも差が生まれると思います 。先へ進むことが楽しみになってほしいですし、「最後まで行くぞ!」という気持ちを持ってもらいたいのが狙いです。「KUMONを最後までやったことが自信になっている」と、卒業していった教え子が言ってくれたことがあります。そんな風に、日々の成長で自信を積み重ね、最後までやり抜くことでさらに大きな自信を手に入れてほしい。何年経っても身についた自信は力になるので、そんな自信を育める学習環境づくりを心がけています。

子どもたちがステップアップを
イメージできるように教室をレイアウト
理想の学習環境における私なりのもう一つの仕掛けが、レイアウトです。子どもたち全体の様子を把握できるようにしておくのはもちろんですが、子どもたち自身もステップアップをイメージできるようにするのが私のこだわりポイント。例えば、もう少しで幼児席から卒業できそうな生徒さんは、少し先の教材を学習している子どもたちの近くに配置することで、「あっちの席で学習したい!」という感覚を持ってもらえるように工夫しています。実際に保護者の方から「席が変わってすごく喜んでいました!」との報告を受けた時は、こちらの意図が伝わっていてとてもうれしかったですね。また、現在2つの教室を運営していて、公民館で開いている1つ目の教室で、いつも試行錯誤しながら実験的なレイアウトにトライしています。そして、狙い通りの効果があれば第2教室でも応用して試せるのが、2つの教室を運営していることのメリットだと感じますね。子どもたちは常に成長しますし、その日のコンディションが学習姿勢にも影響するので、私にとってレイアウト調整は理想の学習環境を実現するためには不可欠な要素。常に進化と変化を続けていくものでもあるので、教室ってやっぱり生き物だなと思いますね。

教室の景観には
親しみやすさと安心感を
第1教室は11年目までは貸会場で運営し、その後、町内の公民館が新築された際に移転しました。そして、第2教室は恩師から引き継ぐ際に、小学校の並びにあって目の前が公園という理想的なロケーションの会場に移ったんです。常に掃除をしてキレイな景観を保つようにし、ポスターも季節ごとにチェンジしています。また、外観部分のガラスは全面を透明にせず、真ん中より下を磨りガラスにすることで、子どもたちの顔は見えないけど学習の様子は感じられる仕様に。上部は透明にしてポスターの隙間から、なんとなく教室の雰囲気が見られるようにもしています。机やレイアウトが進度に合わせて変わったり、絵本がたくさん置いてあったりと、見せたい部分が見えるように工夫を施しているのもポイントです。今通っていただいている子どもたちや保護者の方々はもちろん、これから通われる方々にも親近感を持っていただき、安心して子どもたちを送り出せる。そんな教室でありたいと思っています。